「顎のしゃくれをどうにかしたい」「しゃくれを自力で治す方法を知りたい」とお悩みの方もいるでしょう。
そこで今回は、顎のしゃくれに対してできるセルフケア方法や歯科医院での治療方法を解説します。
結論、顎のしゃくれを自力で完全に治すのは難しいですが、できる対処法はあります。
顎のしゃくれは放置することにより起こりうるリスクもあるため、歯科医院での早期治療がおすすめです。
当記事を読んで、しゃくれの悩みに向き合っていきましょう。
自力でしゃくれを治すのは難しいが対処法はある
自力で完全にしゃくれを治すのは困難ですが、しゃくれが軽度な方や予防したい方は以下の方法で対処できる可能性があります。
<しゃくれへのセルフケア方法>
癖を直す
トレーニングをおこなう
顎のしゃくれが気になる方は、それぞれの方法を試してみてください。
癖を直す
悩んでいる顎のしゃくれは、日頃の癖が原因になっているかもしれません。
以下の行動が癖になっていないか、確認してみましょう。
・頬杖をつく
顎や歯の一部に負担がかかって変形する
・口呼吸をする
舌の位置が自然と下がって気道を確保できずに下顎が出る
・歯を舌で押す
一部の歯に集中して力がかかり、歯並びが悪くなる
・猫背になっている
首が前に出て顎が突き出る姿勢になり、首から顎の筋肉が緩みやすい
当てはまる癖があった方は、意識して直すことをおすすめします。
トレーニングをおこなう
口周りのトレーニングは、しゃくれが気になる方におすすめの方法の一つです。
ここでは、舌を回すトレーニングとスプーンを使ったマッサージを紹介します。
以下にトレーニングの手順やポイントをまとめたので、参考に実践してみましょう。
ただし、しゃくれの状態によってトレーニングの適正さや効果の度合いは異なるため、顎がかなり前方に出ている場合は、歯科医師の判断のもとおこなうようにしてください。
1. 舌を回す
メリット
舌の筋力が向上して舌の位置が上がり、下顎が出にくくなる。
手順
1.唇を閉じる
2.歯茎の外側をなぞって、円を描くように時計まわりで舌を回す
3.同様に、反時計まわりで舌を回す
ポイント
2~3秒ほどかけてゆっくり舌を回し、回す向きごとに1日20回程度おこなう。
2. スプーンを使ったマッサージ
メリット
物理的に一定の力が加わり、下の歯や顎をもとに戻せる可能性がある。
手順
1.スプーンの裏側を、上の歯の裏側に当てる
2.スプーンの持ち手を、下顎に押しつける
ポイント
短時間でも1日数回程度おこなう。
舌を回すトレーニングは20回が目標ですが、慣れるまでは数回でも問題ありません。また、しゃくれ以外にもリンパの流れがよくなるため、シワの悩みにもおすすめです。副交感神経も活性化して、リラックスできるでしょう。
一方、スプーンを使ったマッサージは即効性が低いですが、徐々に効果が実感できるとされるトレーニングです。ただし、しゃくれを早く治したいからといって力いっぱいスプーンを顎に押しつけると、歯や顎が意図していない形にゆがんだり口腔内を傷つけてしまったりする可能性があるため気をつけましょう。
しゃくれを治すことを諦めて放置する3つのリスク
しゃくれを治さずに放置すると、以下3つのリスクが生じる可能性があります。
<しゃくれを放置するリスク>
顎関節症の発症リスクが高まる
虫歯や歯周病になる可能性がある
食べ物が噛みにくくなる
しゃくれの放置は見た目が気になる以外に、身体に悪影響を及ぼす危険性があるため注意してください。
顎関節症の発症リスクが高まる
しゃくれている人は顎関節症を発症しやすくなります。
発症原因は人それぞれですが、顎や歯並びがずれて顎への負担が大きいのが原因のひとつです。
<顎関節症の主な症状>
顎が痛い
口があけにくい
顎を動かしたときに音がする
顎関節症は硬い食べ物が噛みにくくなったり、顎の音に悩んだりする症状がみられます。
虫歯や歯周病になる可能性がある
しゃくれを放置すると、口呼吸や歯並びの悪さから虫歯や歯周病になる可能性があります。
しゃくれている方は口が閉じにくいことで口呼吸になる場合があります。
口内環境を整え、虫歯菌の増殖を抑える役割をしているのは唾液であるため、口呼吸で口腔内が乾燥すると虫歯の発症リスクも上がるでしょう。
さらに、歯並びが悪いと歯ブラシが奥歯や歯のと歯の間に行き届かず、充分なセルフケアができません。
不十分な歯磨きは、虫歯や歯周病の原因につながります。
多くの人が罹患する虫歯・歯周病は軽視されやすい傾向にありますが、実は注意が必要な病気です。
虫歯や歯周病で歯を失うだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などほかの重大な病気につながる可能性があります。
食べ物が噛みにくくなる
しゃくれを放置すると噛み合わせが悪く、食べ物が噛みにくくなります。
十分に噛めないまま飲み込むと消化器官にも負担がかかり、体調不良につながる可能性もあるでしょう。
しゃくれを治さずに放置すると、新たな病気につながる可能性もあります。
そうなる前にも、早めに歯科医院で適切な治療を受けるのがおすすめです。
歯科医院でしゃくれを治す方法をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
歯科医院でしゃくれを治す方法
しゃくれた顎を歯科医院で治す方法には、以下3つがあります。
<歯科医院でしゃくれを治す方法>
ワイヤー矯正
マウスピース矯正
外科手術
最適な治療法は症状によって異なるため、それぞれの特徴を確認してみましょう。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、ブラケットとよばれる器具とワイヤーを使って、歯を少しずつ動かす治療法です。
下の歯を抜歯して奥に下げることもあります。
メリット
・矯正力が強い
・古くからある治療法で実績が豊富にある
・費用がほかの治療法より安い傾向にある
デメリット
・矯正器具が目立ちやすい
・痛みや違和感がある
・矯正器具に汚れが溜まりやすい
費用 60~150万円程度で基本的に保険適用されない
期間 1~3年ほど
ワイヤー矯正は受け口の方や、噛み合わせが原因でしゃくれている方におすすめです。
受け口は下の歯が上の歯より出ている状態のことで、反対咬合ともよばれます。
ワイヤー治療の矯正器具には、白い器具や歯の裏側につけられる目立ちにくい器具も用いられています。
ただし、追加料金が発生するケースがあるため、選択する前にはよく確認しておきましょう。
痛みや違和感が強い方は、やわらかいワイヤーや細いワイヤーを使って治す方法もあります。
矯正器具に汚れが溜まらないよう、適切な歯磨きや定期的な歯医者でのクリーニングは必要です。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明のマウスピースを歯に装着して歯並びを整える治療法です。
マウスピースは取り外し可能で、約1〜2週間おきに交換します。
メリット
・透明で目立ちにくい
・食事や歯磨き時に取り外せる
・痛みが比較的少ない
デメリット
・治療できない症例もある
・1日20時間以上装着が必要になる
・装着時間が足りないと治療が進まない
費用 30~100万円程度で保険適用されない
期間 1~3年ほど
マウスピース矯正は自己管理が重要な治療法で、マウスピースを長時間つけ忘れると治療が進みません。
また、受け口が軽度な方や一部の歯のみずれている方など、対象症例も限られており、マウスピース矯正ができないケースもあります。
外科手術
外科手術とは、全身麻酔をおこない下顎の骨を切る治療法です。
矯正による治療と併用することが多く、その場合は手術の前後に矯正をおこないます。
メリット
・顔全体のバランスがよくなる
・無理な力を加えずに済む
デメリット
約1~2週間の入院が必要になる
費用
保険適用される顎変形症は20~50万円程度、保険適用外は約100万円以上
期間
2~4年ほど
外科手術は上顎が未発達、下顎が過剰に発達などの骨格が原因でしゃくれている方や、矯正治療だけでは噛み合わせの改善が難しい方におすすめです。
なお、外科手術による矯正は見た目をよくする整形手術ではありません。
「顎の形を変えたい」「理想の顎にしたい」といった審美性を重要視する方は、美容外科に相談してください。
まとめ
自力で完全にしゃくれを治すのは難しいため、悩んでいる方は歯科医院への相談がおすすめです。
また、しゃくれを治すのを諦めて放置すると、顎関節症や虫歯・歯周病になるリスクがあります。
特に、虫歯や歯周病の悪化は歯を失うだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながる可能性があるため注意してください。
健康的に過ごすために、しゃくれの治療は早めにはじめましょう。
海岸歯科室では「患者さんに寄り添った治療を提供する」をモットーに、インプラントをはじめ矯正治療をおこなっています。
顎のしゃくれにお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。スタッフ一同お待ちしております。
監修:理事長 森本 哲郎