歯槽膿漏とは?治療法や自宅でできる予防法について詳しく解説
- 2023年11月10日
- コラム
歯を磨いていると、歯ぐきから血が出てきた。歯がぐらついて今にもとれそう。そんな経験をしたことはありませんか?それは、歯槽膿漏のせいかもしれません。 歯槽膿漏は、歯周病が進行して膿が出始めた状態のことです。 今回はそんな歯槽膿漏の治療方法や、自宅でできる予防法について詳しく解説していきます。
歯槽膿漏とは何か?歯槽膿漏と歯周病の違いを徹底解説
歯槽膿漏は、歯周病が進行し膿が出始めた状態のことをいいます。 では、歯周病とはどのような病気なのでしょうか。歯周病の原因は口腔内の細菌です。この最近は口腔内の歯石が溜まると増殖し、歯ぐきに炎症を起こすのです。 歯周病には段階があり、歯肉炎という軽い歯肉の炎症から始まります。 それが、軽度の歯周炎、中度の歯周炎、重度の歯周炎と悪化していくのです。 この重度の歯周病の症状のひとつが歯槽膿漏です。歯槽膿漏になると、歯槽骨という歯を支える骨が溶けはじめ、歯ぐきから膿もではじめます。そして、歯もぐらつきはじめてしまうのです。
歯槽膿漏の原因は歯石が原因
先ほどもお伝えした通り、歯槽膿漏の原因は歯石が原因とされています。歯石は、歯の表面に付着している細菌の塊が唾液に含まれるカルシウムやリン酸の沈着によって石のように固くなったものです。 歯肉より上の歯の表面についているものを『歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)』といい、歯周病が進行し歯と歯肉の溝が深くなったところにできたものを『歯肉縁下石(しにくえんかせき)』といいます。歯肉縁下石は黒褐色で硬く、とり除きにくいのが特徴です。
歯槽膿漏の治療法
歯周病が悪化した歯槽膿漏を自宅で治療することは困難です。歯槽膿漏は悪化するほど治療が難しくなり、完治まで長い時間がかかってしまう病気です。歯科医を受診し早めの治療を心がけましょう。
では、歯槽膿漏になるとどのような治療を受けることになるのでしょうか?
ここではその治療法について解説していきます。
基本的な治療法
歯槽膿漏の基本的な治療法は以下のとおりです。
検査・カウンセリング
はじめに検査とカウンセリングをおこない歯ぐきや歯槽骨の状態や症状、歯周病を悪化させている原因などを確認します。
ブラッシング指導
歯周病の原因である歯垢をきちんととりのぞけるよう、正しいブラッシングの指導をおこないます。正しいブラッシングを身につけることで、歯ぐきの状態も改善するのです。
スケーリング・ルートプレーニング
超音波スケーラという専用器具を使い、歯の表面についている歯垢と歯石の除去をおこないます。これを、スケーリングと呼びます。
次に、専用器具を使って歯周ポケットの深い部分に溜まっている歯石の除去をおこないます。この作業をルートプレーニングと呼びます。
ルートプレーニングは歯根の表面を削って滑らかな状態にし、歯垢を溜まりにくくすることも目的でおこなわれます。
以上が基本的な治療法の概要です。必要な場合は、虫歯や噛み合わせの治療なども同時におこなわれます。
再発を防ぐために、3カ月から半年を目安に歯のクリーニングなどの定期的なメンテナンスも必要になってきます。
外科的な治療法
基本的な治療法が難しい場合は、外科的な治療法をおこなう場合もあります。
代表的な治療方法は、フラップ手術と歯周組織再生治療などです。
フラップ手術
フラップ手術は、歯ぐきを切開して専用器具で歯根に付着した歯周病菌や歯石をとり除く治療です。この治療法は、歯石が基本的な治療ではとりきれないときにおこなわれます。
歯周組織再生療法
骨が溶けてしまっている場合に、骨を再生する治療をおこないます。歯周病菌によって破壊された部分をGTRメンブレンという特殊な膜で覆い再生を促す治療法であるGTR法。エムドゲインという特殊なタンパク質を塗り歯周組織の再生を促すエムドゲイン法などがあります。
自宅でできる歯槽膿漏の予防方法
1度悪化させてしまうと、完治するまで長期間の時間を必要とするのが歯槽膿漏です。歯槽膿漏にならないためにも、日頃から予防をすることが大切ですよね。
ここでは、自宅でできる歯槽膿漏の予防方法について解説していきます。
正しい歯磨きの仕方
歯槽膿漏の原因のひとつとして、歯磨きが適切におこなわれず歯垢が口内に残ってしまうことがあげられます。
正しい歯磨きの仕方が、歯槽膿漏を予防する方法といえるでしょう。歯磨きの正しいし仕方を解説していきます。
1.歯ブラシを45度の角度に当てる
歯と歯肉の境目に45度ぐらいの角度で歯ブラシを当てます。
2.1~2本ずつ丁寧に磨く
歯ブラシの頭を小刻みに動かしながら、1~2本ずつ時間をかけて磨いていきます。
3.軽い力で動かす
歯を磨くとき、力を入れすぎないようにしましょう。歯ブラシにかける力は150gか200gほど。ブラシの毛先が広がらないぐらいの力加減がちょうどいいです。
4.歯と歯茎の境目を磨く
歯と歯茎の境目をブラシを45度傾けた状態で当てて磨きます。隙間の汚れや歯石を掻きだせるようブラシを小刻みに動かしましょう。
・デンタルフロスの使い方
デンタルフロスは歯と歯の間の歯垢をとりのぞくときに使用する道具です。使い方は以下となります
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- 前後に動かしながらフロスを歯と歯の隙間に入れる
- 手前の歯の表面にフロスを沿わせ、接触点まで歯垢を掻きだす
- 奥の歯の表面にフロスを沿わせて、接触点まで歯垢を掻きだす
- 前後に動かしながら、フロスをとりだす
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・歯間ブラシの種類と使い方
歯間ブラシは、ホルダーに真っすぐブラシがついた『ストレートタイプ』。ホルダーにL字型のブラシがついた『L字型タイプ』のものがあります。
ストレートタイプは前歯に使いやすく、ホルダーを曲げて角度をつければどの部分にも使いやすくなります
L字型タイプは奥歯に使いやすいブラシです。
歯間ブラシは歯と歯の隙間に優しく入れ、前後に動かして歯垢をとりのぞきましょう。
歯や歯ぐきを傷つけないために、歯と歯の隙間よりも小さめのタイプがおすすめです。
・歯石予防の歯磨き粉を使う
歯磨き粉には、歯石をとりのぞく他に、虫歯予防や歯周病予防などの成分が入った配合されているものもあります。歯槽膿漏対策の成分が入った歯磨き粉を使うのも予防には効果的でしょう。
特に歯磨き粉に入っている殺菌成分は歯石を除去するのに効果的です。主な成分として、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジンなどがあります。
また、歯ぐきの腫れや赤みが気になる人は、トラネキサム酸や、グリチル酸の入った歯磨き粉を使用しましょう。これらの成分は歯ぐきの腫れを抑え、出血を抑制してくれます。
生活習慣の見直し
歯磨きの仕方だけではなく生活習慣の見直しも、歯槽膿漏の予防には欠かせないものです。
生活習慣の乱れは免疫力の低下などに繋がります。
それによって、歯槽膿漏を悪化させる歯周病菌が活性化して歯槽膿漏の症状が進行してしまう恐れもあるのです。
では、どのようなことに具体的に気をつければいいのでしょうか。それを解説していきたいと思います。
疲れやストレスを溜め込まない
免疫力が低下すると、歯槽膿漏の原因である歯周病菌の動きが活性化して歯槽膿漏の症状が悪化する恐れがあります。適度に息抜きをしてストレスを溜めない。きちんと睡眠時間をとって疲れを溜めないようにするなど体調に気をつけ免疫力の低下を抑えましょう。
栄養バランスを意識した食事をとる
歯周病菌のへの抵抗力を高めるためにも、栄養バランスを意識した食事をとりましょう。
特に抗酸化作用のあるビタミンC、血行促進作用のあるビタミンEをとり入れることがおススメです。
ビタミンCの多く入った食材
ビタミンCは水溶性ビタミンのひとつでアスコビン酸ともいわれています。ビタミンCは、細胞の結合組織にあるコラーゲンに不可欠な成分でもあります。コラーゲンは、肌にハリを持たせたり、血管や筋肉、骨や軟骨などを丈夫し、傷を修復してくれます。
ビタミンCは、皮膚や骨の健康維持に欠かせないものなのです。そんなビタミンCを多く含んだ食材には以下のものがあります。
- 柑橘類(みかんやグレープフルーツ)
- ピーマン
- キウイフルーツ
- ブロッコリー
- いちご
ビタミンEの多く入った食材
ビタミンEはトコフェロール4種と、トコトリエノール4種の化合物の総称です。ビタミンEには強い抗酸化作用があり、生体膜の機能を保つことや、赤血球の溶液の防止、生殖を正常に保つことに関与しています。ビタミンEを多く含む食材は以下になります。
- ほうれん草
- ブロッコリー
- とうもろこし
- ナッツ
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることも歯槽膿漏を予防すること繋がっていきます。よく噛むことで唾液の分泌が促され歯周病菌の増殖を抑える効果が期待できるからです。唾液にはリゾチームやペルオキシターゼといった抗菌作用があり、口内に侵入した最近の活動などを抑えてくれる働きも持っています。
また、1日1リットル以上も分泌され、口内細菌や食べ物のカスを洗い流す役割も担っています。唾液の分泌を促すことは、口内を清潔に保つことにも繋がってくるのです。
間食を控える
飲食物に含まれる糖分は口内の細菌のエサになり、歯垢を作る原因にもなります。口内を清潔に保つためにも、間食を控え歯垢が増えすぎないよう気をつけましょう。
予防歯科の勧め
歯槽膿漏は治癒することが難しい病気でもあります。そのため、自宅でのケアはもちろん、定期的に歯科医にいきメンテナンスを受けることも大切です。
3カ月から6カ月を目安に歯科医院にいき、定期的な歯のクリーニングや検診を受けるようにしましょう。
まとめ
歯槽膿漏は歯周病が進行し、膿がではじめた症状のことを指します。歯槽膿漏の原因は歯石にあります。基本的な治療では、まず検診とカウンセリングをおこないをおこない、歯石をとりのぞく治療をおこないます。場合によっては噛み合わせの治療なども合わせておこないます。
それ以外にも外科的な治療法により歯石をとりのぞいたり、歯周組織再生療法といって溶けた歯を再生させる治療法などもご紹介いたしました。
歯槽膿漏を悪化させないためには、自宅でのケアも必要です。正しいブラシの使い方や、生活習慣を見直すことで歯槽膿漏の悪化を防ぎ、予防することもできるのです。
また、歯槽膿漏は治癒が難しい病気であり、治療が終わった後も定期的なケアと歯科医によるメンテナンスが必要になってきます。
「世界一やさしい歯科医院を目指す」海岸歯科室では、歯周病治療もおこなっています。「歯ぐきから血が出る」「歯がぐらぐらする」そういった症状でお悩みの方は是非とも受診をご検討ください。
監修:理事長 森本 哲郎