下の歯だけの矯正はできる?費用や治療の種類などを徹底解説
- 2024年2月11日
- コラム
「下の歯だけ歯並びが悪い」
「上下の矯正をすると目立って嫌だ」
下の歯だけを矯正できるのか、疑問を持っている人は多いでしょう。下の歯のみ歯並びが悪い場合は、部分的に矯正が可能です。しかし、人によっては全体矯正の治療を受けた方がよい場合や、下の歯矯正だと症状が改善しない場合があります。
この記事では、下の歯矯正の種類や治療のメリット・デメリット、治療にかかる費用などを紹介します。下の歯矯正を受けるか迷っている人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
下の歯だけ矯正は受けられる
下の歯矯正の種類
- ワイヤー矯正
- 裏側矯正
- インビザライン(マウスピース矯正)
それぞれの治療法について、詳しく見ていきましょう。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、最も一般的な矯正治療法です。ブラケットと呼ばれる金属片を歯に固定し、そこにワイヤーを通して歯を移動させます。ワイヤーとブラケットを細かく調整し、目標の位置へと徐々に動かしていくことで、理想の歯並びが完成します。幅広いケースに対応できる一方で、歯に付けたブラケットやワイヤーが目立ちやすく、口を開けた時に装置が目立ちやすい点がデメリットです。また、歯磨きがしにくくなる可能性もあります。
裏側矯正
裏側矯正はワイヤー矯正の一種で、歯の裏側にブラケットとワイヤーを付ける矯正方法です。矯正装置を付けていることが周りの人に気づかれにくい点がメリットです。見た目を変えることなく矯正治療ができます。
ただし、裏側に装置を付けるため、違和感を感じたり、歯磨きが大変だったりといったデメリットもあります。また、表側に矯正装置を付けるよりも、費用が高くなる可能性があるでしょう。
インビザライン(マウスピース矯正)
インビザラインは、透明なプラスチックのマウスピースをつけて、徐々に歯を動かす方法です。正しい位置に少しずつ近づけられるようにたくさんのマウスピースを作成し、2週間に1度程度の頻度で新しいマウスピースを装着します。
透明なので周りから見て矯正していることがわかりにくく、食事中や歯磨きの際に取り外しできる点がメリットです。インビザラインのデメリットは、自己管理が必要な点です。装置を外したままにしておいたり、付け替えるのを忘れたりすると、効果が得られない可能性があります。
下の歯矯正にかかる費用
下の歯矯正にかかる費用の目安は、次の通りです。
矯正方法 |
費用の目安 |
ワイヤー矯正 |
30〜60万円 |
裏側矯正 |
40〜70万円 |
マウスピース矯正 |
10〜40万円 |
上記の費用に加えて、診察費用や矯正後の歯列を固定するためのリテーナー費用がかかります。また、装置を壊してしまった場合の修理費用などがかかる可能性もあるでしょう。また、途中で上の歯も追加で矯正すると、さらに費用が加算されます。治療を開始する前に、追加でかかる費用や、どんな場合に追加費用が必要になるのか確認しておきましょう。
下の歯矯正にかかる費用は、基本的に全額自己負担です。ただし、先天性の病気や事故による歯列の変化などの場合は、保険適用になるケースもあります。
下の歯矯正のメリット
下の歯矯正には、以下の3つのメリットがあります。
- 治療費用が抑えられる
- 治療期間が短い
- 痛みが抑えられる
全体矯正よりも金銭的にも身体的にも負担が少ない点が、下の歯矯正のメリットといえるでしょう。下記で詳しく紹介します。
治療費用が抑えられる
下の歯矯正は全体矯正と比較すると、費用が抑えられます。歯の上下をワイヤー矯正すると、30〜130万円程度が費用相場です。一方、下の歯矯正の場合は30〜60万円程度の治療費で済むケースが多いです。下の歯矯正は全体矯正と比較して治療範囲が狭く、必要な装置の数や治療期間が短いため、費用が抑えられます。
治療期間が短い
下の歯矯正は、治療期間が短い点もメリットです。下の歯矯正は歯を動かす範囲が少ないので、全体矯正よりも治療期間が短い傾向にあります。全体矯正の場合、矯正期間の目安は、1〜3年程度です。対して下の歯矯正は2ヶ月〜1年程度の治療期間で済みます。動かす範囲も歯の数も少ないため、治療期間が短く済むのです。
痛みが抑えられる
下の歯矯正は、全体矯正よりも痛みが抑えられる傾向にあります。歯列矯正は歯を動かすため、痛みを感じる人が多いです。下の歯矯正の場合は歯並びの乱れが軽度であることが多く、歯の移動距離が少ないため、痛みが抑えられるのです。ただし、痛みの感じ方はそれぞれのため、全く痛みがないわけではないので注意しましょう。
下の歯矯正のデメリット
下の歯矯正のデメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 治療できないケースがある
- 歯を削る可能性がある
- 噛み合わせ調整ができない
下の歯矯正は、費用や治療期間が抑えられる点がメリットです。しかし、上記のデメリットもあるので、治療前によく理解しておくようにしましょう。
治療できないケースがある
噛み合わせが悪い場合は、下の歯のみを矯正しても改善が望めません。噛み合わせを改善したい場合は、全体的に矯正する必要があります。また、歯並びの乱れが大きく抜歯が必要な場合も、下の歯矯正では治療できません。下の歯矯正は基本的に前歯数本のみの治療のため、奥歯や全体的に歯並びが悪い人には向いていないのです。下の歯矯正は軽度の調整に適した治療のため、大きな移動が必要な場合は、全体矯正を選択する必要があるでしょう。
歯を削る可能性がある
下の歯矯正は、場合によっては歯を削る可能性があります。下の歯矯正は大きな歯の移動ができないため、抜歯をせずに治療するケースがほとんどです。抜歯の代わりに歯を削ることで、歯が移動するスペースを確保する方法を取ります。削るのは、歯のエナメル質を0.5mm程度です。リスクがあるほどたくさん削るわけではありませんが、健康な歯を削ることに抵抗がある人は、デメリットに感じるでしょう。
噛み合わせ調整ができない
下の歯矯正では、移動した後の噛み合わせ調整はできません。歯並びはよくなっても、噛み合わせが悪くなった場合や、肩こりや頭痛などが気になる可能性があります。噛み合わせを改善するためには、全体の歯並びを調整する必要があります。下の歯矯正はあくまで下の歯の気になる部分のみを矯正する治療のため、歯並びと噛み合わせを完璧に直したいという人には向かないでしょう。
下の歯矯正の治療を受けるか迷ったときの対策
下の歯矯正を受けるか迷ったときは、以下の対策を行ってみましょう。
- 治療の完成形を決める
- 治療にかかる時間やケアができるか検討する
- 医師とよく相談する
上記の対策法について、下記で詳しく解説します。
治療の完成系を決める
下の歯矯正を始める前に、どこまで歯並びを治すのか考えておきましょう。治療のゴールを決めずに治療を始めると、途中で「やっぱり上の歯並びも治したい」「噛み合わせも治療したい」とプランを変更しなければいけない可能性があります。途中で治療プランを変更すると、治療期間が長くなったり、費用が余計にかかったりするケースもあります。場合によっては途中で変更できないこともあるため、下の歯矯正を始めるために治療のゴールをよく決めておく必要があるのです。
治療にかかる時間やケアができるか検討する
矯正には、定期的な通院や自己管理が必要です。矯正中は1ヶ月に1回程度病院で診察を受け、歯の移動状況をチェックする必要があります。また、装置を清潔に保ったり、ブラッシングやフロスなどで口内を清潔に保つことも大切です。矯正中は歯磨きが難しく、虫歯のリスクが高まるため、きちんとケアできるか事前によく考えましょう。
医師とよく相談する
矯正を始める前に、医師とよく相談しましょう。治療のメリット・デメリットや具体的な費用と治療期間はその人によって異なるため、診察を受けてきちんと確認することが大切です。
まとめ
下の歯矯正は、下の歯の一部の歯並びが悪い場合に適用される治療法です。治療には主に、ワイヤー治療・裏側矯正・インビザラインがあります。費用や自分がケアできるかなどを検討して、どの治療法を選ぶか決めてみてください。
下の歯矯正には、治療期間や費用を抑えられたり、治療中の痛みが抑えられたりといったメリットがあります。反対に、治療ができない症例や歯を削らなければいけないケースもあるため、治療をスタートする前によく医師と確認するとよいでしょう。
海岸歯科室では、矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)を行っています。一人一人の状態を見て適切な治療をご案内しているので、ぜひ一度お気軽にお越しください。
監修:理事長 森本 哲郎