入れ歯にしたくない!そんな時に歯を抜かずにすむ治療方法は?
- 2024年5月15日
- コラム
歯のトラブルが深刻化してくると、抜歯、そして入れ歯という治療が必要になってきます。
しかし人によってはどうしても入れ歯を使うのはイヤ、ということがあるかもしれません。
もし深刻な歯の問題があるのにもかかわらず、入れ歯を使わずに治療したいという場合、どのような方法があるのでしょうか。
本来なら歯を抜いて入れ歯をしなければならない歯のトラブルとは?
入れ歯を使わない治療法について見ていく前に、まず本来なら入れ歯をしなければならないような歯の問題には、どのようなものがあるのかについてチェックしていきましょう。
重度の虫歯
重度の虫歯は、エナメル質や象牙質を超えて歯の内部に進行し、神経に達することがあります。
このような場合、通常は歯を抜いて入れ歯を入れることが必要となります。
しかし、虫歯の状態によっては根管治療を行えば抜歯や入れ歯を使わずに、歯を保存できる場合もあります。
根管治療は、感染した歯の神経や血管を含む組織を取り除き、内部を消毒してから充填材を詰めることで歯を保護します。
歯周病による歯のぐらつき
歯周病は、歯を支える組織が破壊される病気です。
初期の段階では歯茎の炎症が見られますが、進行すると骨の喪失や歯のぐらつきが起こります。
重度の歯周病では、歯を抜いて入れ歯にすることが多いのですが、状態によっては歯周病治療を行うことで治療が可能な場合もあります。
歯周病治療には、スケーリングやルートプレーニング、さらには外科的な処置が含まれ、歯周ポケットの深さを減少させ、感染をコントロールできます。
歯の破折(歯の折れ)
事故や外傷によって歯が折れてしまうことがあります。
折れた部分が歯の根まで達している場合、通常は歯を抜いて入れ歯にすることが推奨されます。
しかし、折れた部分を修復することで、歯を抜かずに治療することが可能です。
破折した部位によっては、接着技術を用いて破片を再接合することもあります。
あるいはセラミッククラウンを被せることで、破折した歯の強度と見た目を回復させることも可能です。
入れ歯を使わない場合の対処法
ではもし入れ歯を使わなければならないような状況になったときにでも、入れ歯を使わずに治療したい場合、どのような対処法があるのでしょうか。
根管治療による対処
重度の虫歯や歯の破折に対して根管治療は非常に有効な方法です。
この治療法では、感染した歯髄を取り除き、内部を清掃、消毒してから充填材を詰めることで、歯を治療します。
根管治療は、適切に行われれば長期間にわたり歯の機能を維持することができ、歯内療法を行った後にクラウンを被せることで、歯の強度を補強することができます。
セラミックインレーやクラウンによる修復
虫歯や破折によって歯が大きく損傷している場合、セラミックインレーやクラウンを用いた修復が行われる場合もあります。
セラミックインレーは、部分的な詰め物として歯の欠損部を補い、クラウンは歯全体を覆う被せ物で、欠損部を修復し、歯の形状や機能を回復します。
セラミックは見た目的に優れており、自然な歯の色や質感を再現することができます。
セラミックは金属アレルギーの心配がないため、多くの患者にとって安心できる素材といえます。
ラミネートベニアによる外見的な修復
前歯の見た目が気になる場合、ラミネートベニアが有効です。
これは、歯の表面に薄いセラミックのシェルを貼り付ける方法で、歯の形や色を美しく整えることができます。
特に、前歯の軽度の破折や変色に対して効果的です。
ラミネートベニアは、歯を削る量も少なく済むため、歯への負担も少なく済みます。
重度の歯の欠損への対処法
ではさらに、もっと歯の状況が悪化している場合には、入れ歯を使う以外にどんな処置が可能なのでしょうか。
ブリッジによる補綴治療
歯が欠損している場合、ブリッジを用いてその部分を補綴することが可能です。
ブリッジは、欠損部の両側の歯を支えとして、人工歯を固定する方法です。
欠損した歯の両側の健康な歯を削って支台として使用するため、しっかりと固定するおとが可能です。
さらにブリッジは入れ歯に比べて安定性が高く、咀嚼力も優れ、外見的にも自然な仕上がりになります。
インプラントによる欠損部の処置
インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。
インプラントは、自然な見た目と機能を持つため、入れ歯の代わりとして非常に有効です。
周囲の歯を削る必要がなく、骨と結合することで高い安定性を提供し、適切なメンテナンスを行えば、インプラントは長期間にわたって機能し続けます。
部分義歯による対応
複数の歯が欠損している場合、部分義歯が選択肢になります。
部分義歯は取り外し可能で、金属フレームや樹脂で作られています。
部分義歯は比較的安価で、メンテナンスもしやすい上に、歯茎や残存歯に負担をかけずに欠損部を補うことができるため、患者さんにとって快適な選択肢となります。
噛み合わせの問題への対処法
噛み合わせの問題というのも、入れ歯や、あるいはそれに準じた処置を行った場合、大切なポイントとなってきます。
もし酷い歯の問題が起き、入れ歯を入れなければならないような問題となったときに、この噛み合わせの問題をある程度解決しなければ、口腔内全体のトラブルを解消できないかも知れません。
あるいはこの噛み合わせの問題を解決することで、入れ歯を使用した歯の治療を回避できるようになるかも知れません。
噛み合わせ調整とナイトガードによる保護
噛み合わせの不具合がある場合、噛み合わせ調整を行い、適切な噛み合わせを再構築なおします。
噛み合わせ調整は、歯の咬合面を微調整することで、過度な力が特定の歯にかからないようにする方法です。
さらに。夜間に使用するナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりによる歯への負担を軽減します。
ナイトガードは、柔らかい樹脂で作られたマウスピースで、寝ている間に装着することで、歯を保護し、咬合力を均等に分散させる効果があります。
矯正治療による噛み合わせの改善
噛み合わせの問題は、矯正治療によって根本的に改善することが可能です。
ですからコレも、選択肢の一つとして検討するべきでしょう。
矯正治療では、歯にブラケットやワイヤーを装着し、徐々に歯を正しい位置に移動させます。
これにより、噛み合わせの不具合が解消され、歯の機能や審美性が向上します。
矯正治療は、特に若年層に効果的であり、早期に始めることで最良の結果が得られます。
部分矯正による局所的な治療
全体的な矯正治療が必要ない場合、部分矯正が有効です。
部分矯正は、特定の歯や歯列の一部に焦点を当てた治療法で、短期間で効果を得ることができます。
例えば、前歯の軽度なズレや噛み合わせの微調整などに使用されます。
部分矯正は、従来の矯正治療に比べてコストも低く、治療期間も短いため、患者にとって負担が少ない選択肢となります。
入れ歯を避けるための日常の予防策
さてこのように、深刻な歯のトラブルが発生した場合でも、どうしても入れ歯を使いたくないというのであれば、状況によっていくつかの対処法があることがわかりました。
しかしもし入れ歯はどうしてもイヤだというのなら、入れ歯を使わなくても良いように、事前にしっかりと虚空衛生に気を遣い、大きなトラブルに発展しないよう気をつけておくことが非常に重要となるはずです。
では入れ歯を使わなくても良いようにするためには、どんな習慣を身につけて予防しておけば良いのでしょうか。
口腔衛生の徹底
日常の口腔衛生を徹底することが、入れ歯を避ける最も基本的な方法です。
歯磨きは、少なくとも1日2回、フッ素入りの歯磨き粉を使用して行いましょう。
さらにデンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間の汚れをしっかりと取り除くことが重要です。
このような日常からの歯に対する意識を主観化することによって、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減少させることができます。
定期的な歯科検診
定期的に歯科検診を受けることも重要です。
歯科検診では、早期に虫歯や歯周病の兆候を発見し、事前に予防的で適切な治療を受けることができます。
理想としては通常、6か月に一度のペースで検診を受けることが推奨されます。
定期検診により、口腔内の健康状態を維持し、重大な問題を未然に防ぐことができるでしょう。
バランスの取れた食生活と生活習慣の改善
食生活や生活習慣も、歯の健康に大きく影響します。
砂糖や酸性の食品・飲料の摂取を控えることで、虫歯のリスクを減らすことができます。
その他にも、栄養バランスの取れた食事を心がけ、特にカルシウムやビタミンDを豊富に含む食品を摂取することが大切です。
意外と思われるかも知れませんが、喫煙や過度のアルコール摂取は、歯周病のリスクを高めるため、これらの習慣も改善する必要があります。
まとめ
本来なら歯を抜いて入れ歯をしなければならない状況でも、適切な治療を行うことで歯を保存し、入れ歯を避けることが可能です。
重度の虫歯や歯周病、歯の破折など、様々なトラブルに対して、それぞれに適した治療法があります。
たとえば根管治療、セラミック修復、ブリッジ、インプラントなど、多様な選択肢を検討することで、歯の機能と美しさを保つことができます。
さらに、日常の口腔ケアと定期的な歯科検診を欠かさず行うことで、歯の健康を維持し、将来的なトラブルを防ぐことができます。
健康な歯を長く保つためには、日々のケアと専門的な治療が欠かせません。
監修:理事長 森本 哲郎