ムーシールドの効果や使用期間と反対咬合(受け口)治療のポイント
- 2024年6月20日
- コラム
ムーシールドは、歯科医師から推奨されている反対咬合(受け口)の矯正に効果的な矯正装置です。
特に幼少期から使用することで、成長過程にある子供の歯並びを自然な形で整える助けとなります。
しかし、効果を最大限に引き出すためには、正しい使い方と日々の習慣が重要です。
そこで今回は、ムーシールドを効果的に使用するためのポイントについて詳しく解説していきます。
毎日の装着方法から、反対咬合を悪化させない習慣づけ、さらに就寝中に無意識に外してしまう場合の対策まで、具体的な情報をお伝えしていきますので、ムーシールドの使用を検討している方、既に使用中の方はぜひ参考にしてください。
ムーシールドは反対咬合(受け口)を改善するマウスピースのこと
ムーシールドは、幼児期に多く見られる反対咬合を改善するために設計された特殊な「マウスピース」です。
反対咬合とは、下の歯が上の歯よりも前に出てしまう噛み合わせの異常で、早期に対処しないと将来的にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
ムーシールドは、この噛み合わせの問題を改善するために使用され、子供の顎の正常な成長をサポートします。
ムーシールドは就寝時に装着することで、舌や唇の圧力を適切に調整し、歯列を正しい位置へと調整していきます。
装着は簡単で痛みもほとんどなく、取り外しも自由に行えます。
このため、子供たちにも負担が少なく、日常生活に支障をきたすことなく使用することができるのです。
反対咬合をそのままにしているとどんな問題がある?
ではまず、反対咬合を放置してしまうと、どんな問題が起こりえるのかについて見てみましょう。
咀嚼がしにくくなり栄養が取れない
反対咬合を放置しておくと、食べ物を正しく噛み砕くことが難しくなります。
正しい咀嚼(そしゃく)ができないと、食べ物を十分にかみ砕けず、消化器官に負担がかかります。
その結果、栄養の吸収が効率的に行われず、栄養不足や消化不良を引き起こす可能性があるのです。
特に成長期の子供にとっては、これが大きな問題となり、健康的な発育に影響を与えてしまうかも知れません。
発音がしにくく会話に悪影響
反対咬合は、発音にも悪影響を及ぼします。
特定の音を発音する際に舌や唇の位置が不自然になり、言葉がはっきり発声できないことがあります。
これは、学校や日常生活でのコミュニケーションに支障をきたす原因となり、社会的なストレスや自信喪失につながることがあります。
特に、言葉の発達が進む幼少期に反対咬合を矯正しないと、発音の問題に悩まされてしまうかも知れません。
顎関節症になると長期的な問題も
反対咬合を放置すると顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクもあります。
顎関節症は顎の痛みや開閉時の音、頭痛、首や肩の凝りなど、さまざまな症状を伴います。
これが慢性化すると、日常生活において大きな不便を感じるようになり、長期の治療が必要になるかも知れません。
さらに、顎関節の不調は、全身の姿勢やバランスにも影響を与えるため、全体的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
ムーシールドで反対咬合をどう治療する?
続いてムーシールドを使って、どのように反対咬合を治療していくかについて見ていきましょう。
マウスピースで歯列矯正をするのと同じ原理
ムーシールドは、矯正治療で使われるマウスピースと同様に、歯列を正しい位置へと調整するように設計されています。
マウスピースを装着することで、歯に軽い圧力をかけ、徐々に理想的な位置に移動させるのです。
これは従来の矯正器具と同じ原理に基づいており、時間をかけて持続的に行うことで効果を発揮します。
舌圧と口唇圧のバランスを取る
ムーシールドは、舌や唇の圧力を適切に管理するように設計されています。
反対咬合は、舌が前方に押し出されることが原因の一つです。
そこでムーシールドを装着すれば、舌が正しい位置に保たれ、口唇の圧力もバランスよく分散されます。
このバランスを整えることで、歯列が自然な形で整い、反対咬合が改善されます。
顎の正常な成長を補助する
子供の成長期において、顎の発育は非常に重要です。
ムーシールドは、顎の成長を自然な形でサポートし、正常な発育を促進します。
顎が正しい位置で成長することで、歯列も正しく並び、将来的な噛み合わせの問題を防ぐことができます。
痛みはほとんどない
ムーシールドは、装着してもほとんど痛みを感じないように設計されています。
子供が快適に装着できるため、長期間の使用も苦になりません。
痛みがないことで、子供が嫌がることなく治療を続けることができ、治療の効果を最大限に引き出すことができます。
取り外しは自由にできる
ムーシールドは、取り外しが自由にできるため、必要に応じて簡単に装着したり外したりできます。
基本的には就寝時に装着しますが、取り外しできることで衛生的に使用することが可能です。
子供自身が管理しやすいため、自主的に治療を続ける習慣が身につきやすくなるのです。
一般的にムーシールドは何歳〜何歳までが有効?
次に気になるのが、ムーシールドはどのくらいの年齢に対して有効かということかも知れません。
顎の骨の成長期間内が基本
ムーシールドの効果が最も期待できるのは、顎の骨が成長している時期となります。
具体的には通常、3歳から12歳程度までの子供に対して使用されます。
この時期は、顎の骨が柔軟で成長を続けているため、ムーシールドによる矯正効果が高まります。
早期に使用を開始することで、反対咬合を効果的に改善し、将来的な矯正治療の負担を軽減することが可能となるのです。
乳歯から永久歯への移行期が重要
ムーシールドの使用は、乳歯から永久歯への移行期に特に有効です。
乳歯が抜け始め永久歯が生え揃うこの時期に、ムーシールドを使用することで、永久歯が正しい位置に並ぶように誘導できます。
この期間に適切な矯正を行うことで、噛み合わせの問題を未然に防ぎ、健全な口腔環境を整えられます。乳歯がまだ残っている時期から開始することで、より効果的な矯正が期待できるのです。
個々の成長速度に合わせた調整が必要
ムーシールドの使用期間や開始時期は、個々の子供の成長速度に応じて調整します。
一般的な目安はありますが、子供によって成長のペースは異なります。
つまり、歯科医師の診断を受けながら、適切なタイミングで使用を開始し、必要に応じて使用期間を延長することが大切なのです。
定期的な検診を通じて、ムーシールドの効果を確認しながら、最適な計画を立てることが、効果的な矯正治療につながります。
ムーシールドの装着時間や装着期間は?
実際にムーシールドを使用しはじめるとなると、使うのが子供ということもありどのくらい負担になるかも気になるかも知れません。
基本は就寝時に装着する
ムーシールドは、主に就寝時に装着するのが一般的です。
夜間に装着することで、舌や唇の圧力を効果的に利用し、歯列矯正を行います。
就寝時の装着は、子供の日中の活動を妨げることがなく、生活習慣に負担をかけずに治療を継続できるため、非常に効果的です。
睡眠中に自然と矯正が行われるため、子供が装着を嫌がることも少なく、習慣化しやすいというのも利点となるでしょう。
装着期間は1年程度
一般的な治療期間、つまり装着期間は1年程度とされています。
この期間内に、反対咬合の改善が期待できることがほとんどです。
1年間の継続的な装着によって、ムーシールドが歯列に与える矯正効果がしっかりと現れるはずです。
ただし装着期間中は定期的に歯科医師のチェックを受け、進捗状況を確認しながら治療を進めることが重要で、装着期間中に必要な調整や修正を実施します。
期間が延長する可能性は?
装着期間は、個々のケースによって延長されることもあります。
反対咬合の程度や顎の成長速度、治療の進捗状況によっては、1年以上の装着が必要となるケースもあります。
特に、反対咬合の改善が予想よりも遅い場合や、顎の成長が急速であったり、あるいは他の矯正治療を併用している場合などには、装着期間が延長されるかもしれません。
治療後も再発を防ぐために、一定期間のメンテナンス装着が必要なケースもあります。
ムーシールドを効果的に使うためのポイントは?
ムーシールドは使い慣れない装置ですから、効果的に活用するためには注意するべきポイントもいくつかあります。
毎日ちゃんと装着する
ムーシールドの効果を最大限に引き出すためには、毎日の装着が欠かせません。
ムーシールドは継続的な使用によって歯列の矯正効果を発揮するため、毎晩忘れずに装着することが重要です。
使用開始時には違和感を感じることもありますが、慣れるまでの辛抱が必要です。
装着を習慣化することで、ムーシールドの効果をより確実にすることができます。
反対咬合が悪化しないような習慣づけをする
ムーシールドを効果的に使うためには、反対咬合が悪化しないような日常の習慣づけも重要です。
例えば、舌の位置を正しく保つことや、悪い癖を避けることなどです。
舌を上あごに付ける習慣をつけることで、自然な力で歯並びが矯正される助けとなります。
頬杖をついたり、指を口に入れたりする悪習慣は、反対咬合を悪化させる原因となるため、これらを避けるよう心がけることが重要です。
就寝中無意識に外してしまうときはどうする?
ムーシールドを就寝中に無意識に外してしまう場合は、その原因を特定し、対策を講じることが必要です。
まずは装着方法が適切であるか確認してください。
正しい位置に装着されていないと違和感が強く、無意識に外してしまうことがあります。
就寝前のリラックスした環境作りも効果的です。
緊張やストレスが少ない状態で眠ることで、ムーシールドを外してしまう可能性が減少します。
医師に相談して、必要であればフィット感を調整してもらうことも考慮すると良いでしょう。
子供の場合、装着に慣れるまでの期間は、励ましとサポートを欠かさず行い、少しずつ装着時間を増やしていくことが重要です。
まとめ
ムーシールドは、反対咬合の矯正に効果的な装置として、多くの患者に利用されています。
その効果を最大限に引き出すためには、毎日の装着を欠かさず行うことが重要となります。
ムーシールドを有効に利用するためのポイントをしっかりと守ることで、効果を最大限に引き出し、歯並びの改善を目指すことができます。
継続的な努力と適切な習慣づけが、より早い治療の成功につながるはずです。
監修:理事長 森本 哲郎