歯の矯正期間はどのくらい?時間がかかる理由や、期間が短くなる方法を解説
- 2025年5月31日
- コラム
歯の矯正を考える際、気になるポイントのひとつが「どのくらいの期間がかかるのか」という点です。
見た目を整えるためとはいえ、長期間の治療となれば、生活への影響や費用も心配になります。
そこで本記事では、大人の矯正にかかる期間の目安や、治療法による違い、短くするための工夫などを詳しく解説していきます。
矯正治療を検討している方や、すでに通院中で治療計画に不安がある方にとって、参考となる情報を網羅しましたのでぜひ参考にしてみてください。
大人の歯列矯正はどのくらいかかる?
矯正治療と聞くと「長期間かかるもの」という印象を抱く方は少なくありません。
実際、成人矯正では成長期の子どもとは異なり、顎の骨がすでに硬くなっているため、歯をゆっくりと移動させる必要があります。
また、歯列のバランスだけでなく、咬み合わせの調整や見た目の美しさも重視することから、慎重な治療計画が求められます。
この章では、大人の歯列矯正にかかる「矯正期間」、矯正後の「保定期間」、そして通院の「頻度」について、具体的かつわかりやすく解説していきます。
矯正期間
成人が受ける矯正治療では、全体的な矯正に要する期間は平均して1年半から3年程度とされています。
ただしこの数字はあくまで目安であり、個々の歯並びの状態、骨格、年齢、さらには選択した治療法によっても大きく異なります。
たとえば、歯並びの乱れが軽度である場合、1年足らずで治療が完了することもあります。
一方で、重度の出っ歯や受け口、開咬といった複雑な症例では、3年以上の長期間を要するケースも少なくありません。
特に抜歯を伴う矯正では、抜歯後のスペースを利用して歯を大きく動かす必要があるため、治療全体にかかる時間はさらに長引く傾向があります。
また、上下の顎の大きさのバランスが悪い場合には、外科的矯正治療を併用することもあり、その際は手術の準備期間や術後の回復期間も含めて、トータルで4年近くかかることもあります。
矯正装置の種類によっても期間に差が出ます。
たとえば、ワイヤー矯正は強い力で効率よく歯を動かせる反面、痛みが出やすく、細やかな調整が必要になります。
マウスピース型矯正は見た目の自然さや清潔さが魅力ですが、装着時間の厳守が治療の進捗に大きく影響し、本人の努力が求められる治療法です。
保定期間
矯正治療が完了しても、そこで終わりではありません。
動かした歯は元の位置に戻ろうとする「後戻り」の性質を持っているため、それを防ぐための「保定期間」が必要となります。
この期間には「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着し、歯が新しい位置で安定するのをサポートします。
保定期間の一般的な目安は1年から2年程度ですが、もともとの歯並びの状態や年齢、矯正の難易度によっては、それ以上の装着が必要になることもあります。
特に大人の矯正では骨の代謝が遅いため、安定までに時間がかかる傾向があり、長期の保定が推奨される場合も少なくありません。
リテーナーの装着時間も段階的に変わっていきます。
矯正終了直後の数ヶ月間は、1日20時間以上の装着が求められることが多く、歯が安定してきたタイミングで徐々に夜間のみの使用に切り替えられます。
この段階でも自己判断で装着を中止すると、せっかく整えた歯並びが崩れるリスクがあるため、歯科医師の指導を守りながら計画的に装着を続けることが大切です。
通院頻度
矯正治療において、定期的な通院は治療の進行を確実にし、トラブルを未然に防ぐうえで極めて重要です。
一般的なワイヤー矯正では、1か月に1回の通院が目安とされています。
この際にワイヤーの調整や歯の動きの確認、場合によっては装置の交換などが行われます。
一方、マウスピース型矯正(インビザラインなど)の場合は、患者自身で新しいマウスピースに交換していくスタイルで進行するため、通院頻度は1か月半〜2か月に1回程度とやや少なめになることがあります。
ただし、装置の不具合や想定通りに歯が動いていないなどの問題が発生することもあるため、通院間隔が長いからといって油断は禁物です。
また、通院を怠ってしまうと、装置の破損や虫歯の進行、歯の動きの停滞などが生じるリスクもあります。
そのため、通院スケジュールを守り、必要があれば早めに相談する姿勢を持つことが、矯正治療の成功に直結します。
矯正期間を短くするには
矯正治療は本来、歯と顎の骨に負担をかけすぎないよう、時間をかけてゆっくりと進めることが大切です。
しかし、正しい方法を守ることで、無理なく期間を短縮することも可能です。
この章では、矯正を計画通り、あるいはより早く終えるための具体的な工夫について解説していきます。
装着時間を厳守
特にマウスピース型矯正においては、装着時間の管理が期間に大きく影響します。
インビザラインなどでは、1日20〜22時間の装着が推奨されており、この時間を下回ると歯の動きが遅れてしまいます。
また、食事や歯磨きの後に装着を忘れてしまうことも少なくないため、日常のルーティンに組み込む工夫が求められます。
装着時間を忠実に守ることで、治療計画通りに進み、結果として期間の短縮にもつながります。
通院を計画通り進める
矯正治療は定期的な調整と確認を必要とするため、通院を怠るとその分だけ計画がずれてしまいます。
予約を変更することが習慣化してしまうと、次回の調整までに歯が動きすぎたり、逆に動かなくなってしまうことがあります。
とくにワイヤー矯正では、ワイヤーの交換や締め直しがスケジュール通りに行われないと、矯正力が弱まり治療が長引きます。
どの治療法であっても、通院は計画通り確実に受けることが、期間短縮への基本といえるでしょう。
歯のケアを徹底する
矯正治療中は、装置の装着によって歯磨きがしにくくなることがあります。
そのため、虫歯や歯周病のリスクが高まり、治療中に別の治療が必要になると、矯正が一時中断されてしまうこともあります。
治療の遅延を防ぐには、矯正中でもしっかりとブラッシングを行い、フロスや歯間ブラシも活用することが欠かせません。
口腔内を清潔に保つことは、トラブルを防ぎ、予定通りに治療を完了させるための大きなポイントとなります。
短期間で治療が終わる人の特徴
同じ治療法を選んでも、人によって矯正にかかる期間には差があります。
ここでは、短期間で矯正を終えることができる人に共通する特徴について解説します。
治療開始前に自分の状況を知っておくことで、スムーズな矯正計画を立てやすくなります。
歯が健康な人
矯正期間に大きく影響するのが、歯や歯周組織の健康状態です。
虫歯や歯周病があると、矯正を始める前にまずそれらを治療する必要があります。
また、治療中に新たにトラブルが発生すれば、矯正が一時中断されることもあります。
逆に、健康な歯と歯茎を保っている人は、そうしたトラブルの影響を受けにくく、計画通りに治療が進むため、期間も短く済む傾向があります。
抜歯の必要がない
矯正治療では、スペースを確保するために抜歯を行うことがあります。
特に八重歯や叢生(歯の重なり)が強い場合には、抜歯が避けられないこともあります。
抜歯を行うと、その後に隙間を閉じる時間が必要になり、結果として全体の治療期間が延びる傾向にあります。
一方で、歯列がもともと整っていて抜歯をしなくてもよい場合は、その分だけスピーディーに治療が進行しやすくなります。
年齢が若い
年齢もまた、矯正期間に影響を与える要因です。
成長期の子どもや若年層は、歯や骨が柔軟で動きやすいため、歯列矯正の効果が出やすいとされています。
成人矯正でも問題なく効果は出ますが、年齢を重ねるほど骨の代謝が緩やかになるため、移動速度が落ちることがあります。
そのため、できるだけ早い時期に治療を開始することで、治療期間が短くなる可能性が高まります。
まとめ
歯列矯正にかかる期間は、治療法や歯並びの状態、そして日々の取り組みによって大きく左右されます。
一般的には1年半から3年程度が目安とされていますが、裏側矯正や抜歯を伴うケースではさらに長くなることもあります。
一方で、通院をきちんと守り、装着時間や口腔ケアを徹底することで、矯正期間を短縮することも可能です。
年齢が若く、歯が健康であることも、治療がスムーズに進む重要な条件となります。
もし、矯正治療を本格的に検討している方は、治療内容や期間、そして費用について専門家としっかり相談することが大切です。
神戸市の「海岸歯科室」では、インビザラインをはじめとするマウスピース矯正や、幅広い矯正治療を提供しています。
また、インプラント治療にも対応しており、一人ひとりに最適な治療プランを提案してくれます。
矯正を検討している方は、まずは無料相談で専門医のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
監修:理事長 森本 哲郎