アライナー矯正治療のメリットとデメリットを知って正しく選ぼう!
- 2024年6月23日
- コラム
歯科矯正を検討している方は、「アライナー矯正」が話題になっていることをご存じかもしれません。
あまり耳慣れないこのアライナーというものが、どのようなものなのか興味がありますよね。
今回はこのアライナー矯正とはどのようなもので、どんなメリットでメリットがあるのか、そしてどんな方がこのアライナーを使えるかなどについて紹介していきます。
アライナー矯正とは?
ではまずアライナー矯正とはいったいどのようなものなのかについて、概要から説明していきます。
透明のマウスピースで矯正する
アライナー矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯並びを整える、最新の矯正治療法です。
このマウスピースは、患者さん一人ひとりの歯型を基にして個別に設計され、精密な3Dスキャン技術やCAD/CAM技術を駆使して製作されます。
従来の金属製のブラケットやワイヤーを使用する矯正方法とは異なり、アライナーは透明で歯の形にフィットするのでほとんど目立たず、見た目を気にすることなく治療を進めることができます。
そして定期的に新しいマウスピースに交換することで、段階的に歯を理想の位置へと移動させていきます。
アライナー矯正の治療プロセス
ではこのアライナーを使った矯正は、どのような流れで進められていくのでしょうか。
初診とカウンセリング
まず、矯正専門医による初診とカウンセリングを受けます。
ここで、歯並びの状態や治療の必要性、治療の流れについて説明を受け、患者さんの希望や生活スタイルに応じた治療計画が立てられます。
詳細な診断と計画
口腔内の3Dスキャンを行い、歯の詳細なモデルを作成します。
これを基に、治療計画を立て、どのように歯を動かしていくかをシミュレーションします。
シミュレーションは、患者さんが最終的な結果を確認できるので、治療のモチベーションにも繋がります。
マウスピースの作成
シミュレーション結果に基づき、治療の各段階に対応した複数のマウスピースが製作されます。
このマウスピースは、一定の期間を経ると次のマウスピースへと交換していきます。
これは、歯が少しずつ動くためそれに合わせてマウスピースも変える必要があり、徐々に理想の位置へと歯を移動していきます。
マウスピースの装着
基本的にマウスピースは1日の大半の時間装着し、飲食や歯磨きの際には取り外します。
この装着時間を守ることで、治療計画通りに進めることができます。
定期的なチェック
治療の進行状況を確認するために、4~6週間を目安に歯科医院でチェックアップを受けます。
この際、必要に応じて治療計画の調整が必要となります。
ここでは歯の移動が計画通りに進んでいるか、マウスピースのフィット感に問題がないかを確認します。
治療完了とリテーナーの装着
治療が完了した後、歯の位置を安定させるためにリテーナーと呼ばれる装置を一定期間使用します。
リテーナーは、歯が元の位置に戻らないようにするための重要な役割を果たします。
通常、リテーナーは治療後の数ヶ月から数年間、夜間に装着することが推奨されます。
アライナー矯正のメリット
一般的に歯科矯正というと銀色のワイヤーで歯を固定するワイヤータイプの矯正器具をイメージするかもしれません。
これに対してアライナーは透明なマウスピースを使って矯正するのですが、ワイヤー矯正と比較して幾つかのメリットがあります。
ではそれはどんなメリットなのでしょうか。
見た目的に目立たない
アライナー矯正の最大のメリットは、透明な素材の採用により、装着していることがほとんど目立たない点にあります。
特に成人、あるいは職業上の理由で矯正装置を目立たせたくない人にとって、これは大きな利点となるはずです。
自然な見た目を保ちながら治療が進められるため、他人の目を気にせずに日常生活を送ることができます。
取り外し可能で衛生的
アライナーは取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に外すことができます。
これにより口腔内に食べカスが残りにくく、歯磨きもしっかりできるため口腔内を清潔に保つことが容易になり、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。
従来の矯正装置に比べて食べ物が引っかかる心配も少なくなり、食事も違和感なくできるようになるはずです。
食事制限が少ない
ブラケット矯正では、硬いものや粘着性のある食べ物を避ける必要がありますが、アライナー矯正ではマウスピースを外して食事ができるため、基本的に食事制限がほとんどありません。
好きなものを自由に食べられるため、食生活におけるストレスが少ないというのも大きなメリットとなるでしょう。
アライナー矯正のデメリット
もちろんアライナーにもいくつかのデメリットがあります。
ではどんなデメリットがあるのか、順を追って見ていきましょう。
治療効果が限定的な場合も
アライナー矯正は、軽度から中程度の歯並びの問題に対しては非常に効果的ですが、重度の歯並びの乱れや顎の骨格の問題には対応できないことがあります。
このような場合には、ワイヤーを使ったブラケット矯正や外科手術が必要となります。
自己管理が必要
アライナー矯正は自主的に取り外しが可能であるが故に、患者の自己管理が非常に重要です。
マウスピースを毎日指定された時間の間はしっかり装着し、適切なタイミングで交換することが求められます。
自己管理が難しい場合、治療が計画通りに進まない可能性があります。
特に若年層の患者や、日常生活が忙しい患者にとっては、この点が大きなハードルとなることも考えられます。
重度の症例には不向き
アライナー矯正は、重度の歯並びの問題や顎の骨格異常には不向きです。
このような場合には、従来のブラケット矯正や外科手術が推奨されます。
まずは矯正専門医と相談し、自分の症状に最適な治療法を選択することが重要となります。
アライナー矯正とブラケット矯正の違い
さらに具体的に、ワイヤーを使ったブラケット矯正とアライナーを使った矯正の違いについて明確にしていきます。
見た目が良いため矯正への抵抗が減る
アライナー矯正は透明で目立たないため、見た目を気にすることなく矯正治療が行えます。
一方、ブラケット矯正は金属製のブラケットやワイヤーが目立つため、見た目に対する抵抗がある事がほとんどでしょう。
他人に人目で歯科矯正をしていることを知られたくない、あるいは人と接する事が仕事の上で重要な場合などは、相手に違和感を感じさせにくいアライナーがそのメリットを大きく発揮するはずです。
治療方法と期間が異なる
アライナー矯正は、段階的に新しいマウスピースに交換しながら歯を移動させる方法で、治療期間は個々の症例によりますが、一般的には数ヶ月から2年程度となります。
ブラケット矯正は、ワイヤーの調整によって歯を移動させる方法で、治療期間は2~3年程度が一般的です。
もちろん治療期間の違いは、治療計画や歯の移動の速度によりますので、どちらが短いかは個人によって変わってくる場合もありますが、治療期間が違うこともどちらを選択するかを決める際の大切なポイントとなることでしょう。
メンテナンスと管理が楽
アライナー矯正は、取り外しが可能なため、ブラケット矯正に比べて口腔内のメンテナンスが容易です。
ブラケット矯正では、ブラケットの周りに食べ物が詰まりやすく、歯磨きをしての食べカスが残ってしまうような場合があります。
アライナー矯正では、マウスピースを外して歯を磨くことができるため、口腔内を清潔に保ちやすくメンテナンスの手間が楽といえます。
アライナー矯正とブラケット矯正、どちらがおすすめ?
ではアライナーとブラケットのどちらの矯正方法がおすすめなのでしょうか。
これは両者のメリットデメリットを比較した上で、さらに歯並びの上位帯などによっても変わってきます。
症例による適用範囲によって決まる
軽度から中程度の歯並びの問題にはアライナー矯正が適していますが、重度の歯並びの乱れや顎の骨格の問題にはブラケット矯正が必要です。
ですからどちらを選択するのかは矯正専門医と相談し、自分の症状に最適な治療法を選択することが重要となります。
ライフスタイルに合った選択も重要
アライナー矯正は取り外しが可能で目立たないため、仕事や日常生活で矯正装置を気にしたくない人には最適です。
一方、ブラケット矯正は自己管理が少なくて済むため、自己管理が苦手な人には適しています。
このように性格やライフスタイル、あるいは日常の習慣に応じて選ぶことも大切です。
費用が異なるため予算に合わせて選ぶことも
アライナー矯正とブラケット矯正では、費用にも差があります。
一般的にはアライナー矯正の方がやや高額になることが多いのですが、費用は症例や治療期間によって異なります。
どちらの治療法が自身の経済状況に適しているか、事前に費用の見積もりを確認することは必須とも言えるはずです。
アライナー矯正の治療期間
もしアライナーを使った歯科矯正を検討しているとしたら、矯正期間がどのくらい必要なのかについても気になることでしょう。
一般的な治療期間は?
先ほど紹介したとおりアライナー矯正の治療期間は、一般的には6ヶ月から2年程度となります。
しかし当然ですが、治療期間は患者さんそれぞれの症例や歯並びの状態などにより大きく変わってきます。
軽度の症例では数ヶ月で終了することもありますが、複雑な症例では2年以上かかることもあります。
治療期間に影響する要因とは
治療期間に影響を与える要因には、歯並びの複雑さ、治療計画、そして患者さんの自己管理などが挙げられます。
毎日20時間以上の装着を守ることが、治療期間を長引かせないようにするコツとなります。
患者さんの年齢や歯の移動の速度も影響を与え、若年層では比較的短期間で治療が完了することが多くなりますが、成人ではやや時間がかかることがあります。
治療期間の短縮方法はある?
治療期間を短縮するためには、厳密な装着時間の遵守や、定期的なチェックアップを受けることが重要です。
新しい技術や装置を取り入れることで、治療期間を短縮できる場合もあります。
例えば、加速矯正装置などを使用することで、歯の移動を促進し、治療期間を短縮できるかもしれません。定期的に専門医と相談し、最新の治療法や技術を取り入れることも治療期間短縮の一助となります。
まとめ
アライナーを使った歯科矯正は、見た目的に一目で矯正がわかってしまうブラケット矯正と比較して、外から見えにくく、さらに取り外しができるというメリットがあります。
ただし矯正する際の歯並びの状況などによってアライナー矯正ができない場合もありますので、まずは現状からどのように矯正していくかを、歯科医師に相談しながら、どちらを選択するか費用面を含めてしっかり相談して見てください。
監修:理事長 森本 哲郎