インプラントは痛くない?痛みの種類と原因、そして対策法
- 2024年7月19日
- コラム
インプラント治療を検討する際、多くの患者が最も心配するのが「痛み」の問題かも知れません。
では果たして、実際にインプラント治療を受ける際に、痛くないのか、痛いのならどの程度の痛みなのでしょうか。
今回はそんな、インプラント治療における痛みの種類とその原因、そして効果的な対策について、詳しく説明します。
インプラントは思ったよりも痛くない
結論を先に言えば、実際にインプラント手術を受けた多くの患者さんが、思ったよりも痛みが少なかったと感じています。
これは、現代の歯科医療技術と麻酔技術の進歩によるものです。
インプラント手術では、局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんど感じません。
局所麻酔は手術を行う部位の神経を一時的にブロックし、痛みを感じさせなくする効果があります。
さらに、麻酔の前には表面麻酔剤を塗布することがあり、これにより針を刺す際の痛みも軽減されます。
麻酔を打つ注射が痛かったという声も聞きますが、実際には麻酔の前にこれを使えば痛みはほぼなくなるのです。
手術中に痛みを感じる可能性があるのは、インプラントを挿入する際の圧力や振動ですが、これらは実際には痛みとは異なり、不快感として感じる程度です。
手術後も、痛み止め薬を適切に使用することで、ほとんどの患者が軽度から中程度の痛みしか感じません。
念のために冷却パックを使用して腫れを抑えたり、処方された痛み止め薬を服用することで、術後の痛みは効果的にコントロールできます。
さらに、インプラント手術は通常、骨を大きく削るような大がかりな手術ではなく、精密に計画された手術手順に従って行われるため、術後の痛みや腫れも比較的少なく済みます。
ですから、インプラント手術に対する恐れや不安を和らげるためには、痛みが思ったよりも少ないことを理解しておきましょう。
インプラントの手術で痛む原因
ではここからさらに詳しく、痛みの問題についてチェックしていきます。
まずはインプラントの手術の際の痛みです。
続いて、インプラント手術における痛みの原因について詳しく見ていきましょう。
麻酔は痛い?
インプラント手術の最初のステップは、局所麻酔となります。
この麻酔自体は痛みを感じさせなくするためのものですが、麻酔を注射する際に少しの痛みを感じることがあります。
例えば、麻酔針を刺すときに一瞬のチクッとした感覚がありますが、これは通常、ほとんどの患者さんが耐えられる程度の痛みです。
そのため、痛みを最小限に抑えられるように、表面麻酔剤を使用することもあります。
これにより、針を刺す際の痛みがさらに軽減されます。
麻酔が効き始めると、その後の手術中の痛みはほとんど感じないはずです。
手術中は痛い?
手術中の痛みについては、局所麻酔がしっかりと効いているため、通常、痛みを感じることはありません。
手術中に感じる可能性があるのは、インプラントを挿入する際の圧力や振動です。
これらの感覚は痛みというよりは、むしろ不快感として感じられることがほとんどです。
さらに、インプラントを固定する際に顎骨にかかる圧力や振動を感じることもあります。
しかしこれも手術の間に歯科医が適切に対応しますので、問題ありません。
歯科医は常に患者さんの状態を確認し、痛みがある場合には追加の麻酔を行うなどして対応します。
術後は痛い?
術後の痛みは、麻酔が切れた後に感じることがあります。
これは通常、適切な痛み止め薬を使用することで痛みを抑えられるようになります。
術後の痛みの程度は個人差がありますが、多くの患者さんは軽度から中程度の痛みを感じる程度です。
術後の痛みとしては、切開部位やインプラントを挿入した顎骨の周辺で感じることが多く、場合によっては軽い痛みが数日間続くことがあります。
痛みの他に、術後の腫れや不快感も数日間続くことがありますが、これも冷却パックを使用することで緩和できます。
術後のケアとして、処方された痛み止め薬を適切に服用し、歯科医の指示に従って安静を保つことが重要となり、適切な術後ケアを行うことで、痛みや腫れを防止しつつ、回復を早めることができます。
インプラントの治療中の痛みの原因
痛みに関しては、手術だけでなく、その後長期にわたって継続される治療期間中にどうなるかも気になるかも知れません。
治療期間中の痛みに関しては、それほど問題にならないことがほとんどですが、万一に備えてなぜ痛みが起きてしまう可能性があるのかについてもみていきましょう。
治療中にはどんな痛みがあるか?
インプラント治療中に感じる痛みの原因は多岐にわたります。
主な原因には、手術部位の炎症、骨の治癒過程、周囲の組織の負担、感染、術後ケアの不適切さ、歯ぎしりやクレンチングなどが含まれます。
まず手術部位の炎症ですがこれは、手術によって傷ついた組織が修復される過程で発生します。
例えば炎症によって血流が増し、手術部位が赤く腫れ、熱感や痛みを伴うことがあります。
骨の治癒過程では、インプラントと骨が結びつくために骨組織が形成され、これが痛みや不快感を引き起こすことがあります。
骨の再生や修復によって、手術部位に微細なストレスや圧力がかかり、これが痛みの原因です。
骨の治癒が進むにつれて痛みは徐々に軽減しますが、初期の段階では痛みを感じることが一般的です。
あるいは周囲の組織が手術によって刺激されると、痛みや不快感が引き起こされることもあります。
特に、歯茎の切開部や縫合部分が敏感になり、痛みを感じやすくなるかもしれません。
術後ケアが不適切な場合も、痛みが長引くことがあります。
例えば、処方された薬を守らず、無理な食事をしたり、過度な運動を行ったりすることで、回復が遅れ、痛みが続くことがあります。
いずれにせよ、万一治療中に痛みや異常を感じた場合は、早めに歯科医に相談し、適切な対応を取ることが重要となります。
治療中の痛みの原因とは?
インプラント治療後の治療期間中の痛みは、手術部位の炎症が最も一般的な原因で、手術後には体の自然な回復反応として炎症が発生します。
炎症により、手術部位やその周囲が赤く腫れ、熱感や痛みを伴うことがあります。
この炎症は、組織が傷ついたり、外部からの刺激に反応したりするためのもので、通常は数日から1週間ほどで改善します。
インプラントが顎骨に埋め込まれると、骨とインプラントが結びつくための過程が始まり、この過程で、新しい骨組織が形成され、骨がインプラントに結びつくため、微細なストレスや圧力が痛みや不快感を引き起こすことがあります。
この痛みは、骨の治癒が進むにつれて痛みは軽減します。
あるいは周囲の組織が手術によって刺激されると、痛みや不快感が発生することがあります。
その他に感染症の症状には、持続的な痛み、発熱、腫れ、膿の分泌などがあり、万一感染が疑われる場合は、速やかに歯科医に相談し、適切な治療を受けることが重要です。
さらに、歯ぎしりやクレンチングも痛みの原因になることがあり、インプラント部位やその周囲に過度な圧力をかけることで痛みを引き起こすことがあります。
治療中の痛みのある期間はどのくらい?
治療中の痛みがどのくらい続くかは、患者の個別の回復状況や痛みの原因によって異なりますが、通常の範囲としては手術後の数日から1週間、または場合によってはさらに長く続くことがあります。
一般的には、インプラント手術後の最初の数日は痛みが最も強く感じられます。
この期間中に、手術部位の炎症や腫れがピークに達し、その結果として痛みが強く感じられます。
通常、痛みは数日以内に軽減し始めますが、炎症や腫れが完全に治まるまでには約1週間かかることがあります。
その他にも、骨の治癒過程も影響するため、骨とインプラントの結びつきが進むに連れて、痛みが段階的に減少することが一般的です。
ただし、その人ごとの回復状況や体調によっては、痛みが数週間続く場合もあります。
周囲の組織が修復される過程や、感染のリスクなども考慮に入れると、痛みの持続期間は異なることがあります。
インプラントの痛みの対策
インプラント手術後の痛みを効果的に管理し、快適な回復を促進するためには、いくつかの対策を講じることが重要です。
では続いて、インプラント手術後の痛みの対策について、詳細に説明します。
食事や飲み物に気をつける
術後の食事は、柔らかいものを中心に摂るようにしましょう。
固い食べ物や硬い食べ物は、手術部位に負担をかけ、痛みを引き起こす可能性があります。
スープ、ヨーグルト、マッシュポテト、スクランブルエッグ、蒸し野菜など、簡単に噛める食材を選びましょう。
飲み物についても、熱い飲み物は避け、冷たい飲み物や常温の水を摂取するようにします。
冷たい飲み物は、腫れや炎症を抑えるのに役立ちます。また、炭酸飲料やオレンジジュース、トマトジュースといった酸性の飲み物も避けるとよいでしょう。
飲酒や喫煙を控える
飲酒や喫煙は、術後の回復を遅らせ、痛みを悪化させる要因となります。
アルコールは血行を促進し、出血や腫れを増加させる可能性があります。
喫煙は血流を悪化させ、傷の治癒を遅らせるだけでなく、感染リスクも高めるのです。
手術後は少なくとも1週間以上、飲酒や喫煙を控えることが推奨されます。
可能であれば、完全にやめることが理想です。
入浴などを控えることも
術後は、体を温める行為を避けることが重要です。
熱いお風呂やサウナ、長時間の入浴は、血行を促進し、出血や腫れを悪化させる可能性があります。
手術後の1週間は、ぬるめのシャワーを浴びる程度にとどめ、体を過度に温めないようにしましょう。
術後すぐに湯船に浸かることは避けるべきです。
運動や体を使う仕事にも注意する
術後は、激しい運動や重労働を避けることが大切です。
体を動かすことで血圧が上昇し、出血や腫れが悪化する可能性があります。
特に、手術後の最初の1週間程度は、できるだけ安静を保ち、軽い活動に留めるようにしましょう。
運動や体を使う仕事は、術後の経過を見ながら、徐々に再開することをお勧めします。
術後しばらくは安静にする
手術後の回復を促進するためには、十分な休息と睡眠が必要です。
手術当日はできるだけ安静に過ごし、体をしっかりと休めることが重要です。
睡眠をしっかり取ることで、体の自然治癒力が働き、回復が早まります。
手術後の最初の48時間程度は、冷却パックを使用しながら安静にすることで、腫れや痛みを効果的に抑えることができます。
まとめ
このようにインプラントの手術や治療期間中に、痛みが起きてしまう可能性や原因はいくつか挙げられますが、基本的にはそこまでひどくならないものなので心配ありません。
ただし手術後は特に、痛みが起きないような注意点をしっかり守っておくべきでしょう。
そうすることでより快適なインプラント治療が実現できるようになるのです。
監修:理事長 森本 哲郎