インプラント治療を控えている方や検討している方には「手術後の歯磨きはどのようにすればよいのか」などの疑問もあるでしょう。

インプラントを長持ちさせるには、歯磨きでの丁寧なセルフケアや定期的なメンテナンスが欠かせません。

 

そこで今回は、インプラント治療後の歯磨きのポイントや歯磨き粉の選び方を詳しく解説します。

インプラントを長持ちさせるための秘訣を、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療後の歯磨きで重要な3つのポイント

 

インプラント治療後は磨き残しによるインプラント周囲炎などのトラブルを予防するため、日常の歯磨きケアが重要です。歯磨き方法の具体的なポイントは以下の3つが挙げられます。

 

<インプラント治療後の歯磨き方法>
歯ブラシの毛の硬さは治療段階で変える
歯ブラシの毛先は細いものを選ぶ
フロスや歯間ブラシを併用する

 

ただし、手術後の歯磨きは担当医の指示に従うことが大切です。

担当医はインプラントの状態や口腔環境を見ながら、あなたに適切な歯ブラシや磨き方を提案します。

トラブルを防ぐためにも、指示された方法を守りましょう。

歯ブラシの毛の硬さは治療段階で変える

歯ブラシの硬さはトラブルにつながらないよう、治療段階に応じて変更するのがおすすめです。

通常、インプラント治療には2回の手術が必要で、初回の手術後は歯がない状態です。

 

特に、インプラントの手術直後は歯茎が傷ついた状態にあり、硬い歯ブラシの使用や頻繁なうがいは傷口への刺激となるため、控えなければなりません。

初回の手術から数日間はインプラント部周辺を安静に保つために、歯磨きは担当医の指示を得てからおこないます。

はじめはやわらかい歯ブラシを使用し、歯茎の治り具合に応じて徐々に通常の硬さに戻していきましょう。

 

インプラントの周辺以外は普段どおりに歯磨きをしてかまいません。

インプラントの周辺へ刺激にならないよう気をつけながら、口腔内を清潔に保ってください。

 

歯ブラシの毛先は細いものを選ぶ

インプラントと歯茎の境目も十分に磨けるよう、毛先が細い歯ブラシを選びましょう。

 

丁寧に歯磨きをしても、インプラントと歯茎の境目や奥歯の裏側は歯石や歯垢などの汚れがつきやすい場所です。

インプラント自体は虫歯にはならないものの、汚れが残ると「インプラント周囲炎」や「歯周病」を引き起こす可能性もあります。

 

インプラント周囲炎や歯周病を予防するには、歯茎との境目に溜まった汚れを落とすのが効果的です。

使用する歯ブラシを市販品から選ぶときは、毛先が細いブラシで歯と歯茎の境目も丁寧に磨いてください。

フロスや歯間ブラシを併用する

歯と歯の間には汚れが溜まりやすく、歯ブラシだけではすべての汚れを落としきれないため、清掃補助用具の併用がおすすめです。

 

<おすすめの清掃補助用具>
デンタルフロス
歯間ブラシ
タフトブラシ

 

デンタルフロスは歯の隣り合った面、歯間ブラシは歯と歯の隙間、タフトブラシは歯ブラシでは届きづらい部分を磨くのに適しています。

自分に適している補助用具や使い方がわからない場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談してください。

 

歯磨きで清掃補助用具を併用するタイミングは、歯ブラシの前がおすすめです。

先に補助用具を使うことで取れにくい汚れを掻き出してから歯磨きでき、歯の汚れを効率よく落とせます。

また、フッ素が多く含まれた歯磨き粉を使うと、虫歯の発生や進行を予防できるため、積極的に使いましょう。

 

インプラント治療後の歯磨き粉の選び方3選

インプラント治療後は、インプラントに影響しない歯磨き粉を使用する必要があります。

市販品でも対応できるため、選ぶ際は以下3つの注意点を考慮してください。

 

<歯磨き粉の選び方>
市販品ではフッ素配合の歯磨き粉を選ぶ
顆粒の大きい研磨剤は不向き
口腔内の状態に合わせて選ぶ

 

治療後に使用する歯磨き粉の選び方を理解して、インプラントを長持ちさせやすくしましょう。

 

市販品ではフッ素配合の歯磨き粉を選ぶ

市販の歯磨き粉を使う場合は、フッ素配合の商品を選びましょう。

実は、1,500ppm以上の高濃度フッ素を使用すると、インプラントに使われているチタンと結合して表面を腐食させるため汚れがつきやすくなります。

しかし、市販の歯磨き粉に含まれるフッ素濃度は1,000〜1,500ppm程度であり、過度に心配する必要はありません。

 

どちらかと言うと、市販されるフッ素配合の歯磨き粉は、ほかに残っている歯の歯質強化や虫歯予防に効果的であるため、積極的に使用するのがおすすめです。

それでもフッ素が心配な方は、パッケージに記載されているフッ素濃度を確認し、担当医や歯科衛生士に相談しましょう。

 

顆粒の大きい研磨剤は不向き

顆粒の大きい研磨剤が含まれる歯磨き粉は、インプラントと歯茎の隙間に入り込み炎症を引き起こす可能性があり、使用には不向きです。

舌で触ってザラザラする歯磨き粉は顆粒が大きいため、使用を避けましょう。

 

また、歯磨き粉に含まれている「ケイ素」や「炭酸カルシウム」も顆粒が大きい研磨剤であるため、成分表示を確認してから使用してください。

研磨剤は天然歯を削ってしまうなどのデメリットもある一方で、歯の表面についた汚れを簡単に取り除く効果もあります。

 

使用する際は研磨剤無配合、もしくは配合量の少ない歯磨き粉を選ぶのがおすすめです。

口腔内の状態に合わせて選ぶ

トラブルを防ぐためにも、歯磨き粉は口腔内の状態に合わせて選ぶことが大切です。

 

歯磨き粉にはフッ素などの有効成分が含まれた「医薬部外品」と、有効成分が含まれない「化粧品」の2種類があります。

どちらを使用してもかまいませんが、化粧品には研磨剤が含まれているため、医薬部外品から研磨剤が少ない歯磨き粉を選んだほうが安心です。

 

医薬部外品の歯磨き粉には虫歯予防や殺菌効果・抗炎症作用など、さまざまな効果が書かれている商品があります。

あなたの口腔内の状況に最適な歯磨き粉を選ぶことで虫歯や歯周病の予防にもつながるため、歯科医師や歯科衛生士に相談しながら選びましょう。

インプラントは歯磨きとメンテナンスが長持ちの秘訣

インプラントを長持ちさせるためには、以下2点が重要です。

 

<長持ちさせる秘訣>
適切なセルフケア
定期的なメンテナンス

 

一般的に、インプラントの寿命は10年程度といわれていますが、しっかりケアすればさらに寿命を伸ばせます。

 

また、高額な治療法のインプラントはトラブルが起きると余計に費用の負担がかかる可能性があります。

定期的なメンテナンスでトラブルを発見し、早めの治療をおこないましょう。

セルフケアが重要な理由

人工歯であるインプラントは虫歯にはなりませんが、口内環境が悪いと「インプラント周囲炎」を起こす可能性があり、日頃の丁寧なセルフケアが大切です。

 

インプラント歯周炎とはインプラント周囲の組織に炎症が起こっている状態で、症状として出血や歯茎の腫れが見られます。

インプラント周囲炎が進行すると、最悪の場合インプラントを撤去する必要があるため、ほかの歯と同様にケアするのが重要です。

 

インプラントを長持ちさせるためにも、毎日の丁寧な歯磨きに加えてフロスや歯間ブラシなどの併用がおすすめです。

十分に磨けているか不安な方は、歯科医院でブラッシング指導を受けましょう。

 

定期的なメンテナンスの必要性

セルフケアだけでは不十分な部分も出てくるため、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けるのも大切です。

メンテナンスではインプラントの状態をレントゲンでも確認し、口腔内全体をチェックしクリーニングしてくれます。

 

基本的に、インプラントの定期的なメンテナンスは1年目で3ヶ月に1回程度、2年目以降は年に2〜3回程度と、口腔内の状態に合わせておこないます。

セルフケアだけではトラブルに気が付かず対応に遅れる場合もあるため「治療が終わり、自分でも十分にケアしているから」と安心せず、定期的にメンテナンスしてもらいましょう。

 

まとめ

インプラント治療後は歯ブラシや歯磨き粉を適切に選び、丁寧にセルフケアすることが大切です。

ケアを怠るとインプラント周囲炎を発症する恐れもあるため、担当医の指示に従い治療段階に応じた適切なケアをしましょう。

 

また、インプラントを長持ちさせるには、トラブルの早期発見・早期治療につながる定期的なメンテナンスが欠かせません。

海岸歯科室は世界でもっとも優しい治療を目指しており、時間や費用・治療内容など患者さんにすべて納得いただいたうえで治療をすすめています。

 

虫歯の治療だけでなく、インプラントや歯科矯正・口臭ケアまで幅広く施術しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

監修:理事長 森本 哲郎