オートローテーション矯正で変わる横顔の印象!アンカースクリュー併用についても解説
- 2024年1月20日
- コラム
「オートローテーション矯正はどんな仕組み?」
「横顔のEラインを整えたい…」
「アンカースクリューの埋め込みは痛い?」
オートローテーション矯正についての疑問や、顔の印象に関する悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本コラムではオートローテーション矯正の仕組みや、どのような歯並びや顔立ちに有効かについて解説します。また治療のメリット・デメリット、アンカースクリューを併用する場合についても解説するため、治療選択の参考にしてみてください。
歯並びや口腔内の状態は個人差があるため、矯正を検討する際はぜひ一度ご相談ください。
オートローテーション矯正の仕組み
オートローテーションは自動回転という意味があり、顎関節を中心に下顎全体が回転する動きです。
オートローテーション矯正とは、噛み合わせを矯正することで下顎の回転を促す治療で、下顎の回転度合いは噛み合わせの高さによって決まります。
噛み合わせが高い場合は奥歯で噛んだ際に口が閉じきれず、上下の前歯に隙間ができる状態が開咬(かいこう)です。
逆に噛み合わせが低い場合は奥歯で噛んだ際に噛み合わせが深く、下の歯が上の歯で見えにくくなる状態を過蓋咬合(かがいこうごう)といいます。
オートローテーション矯正は横顔を右側から見て顎関節が回転する方向で、以下の2つに分けられます。
・時計回りのオートローテーション矯正
・反時計回りのオートローテーション矯正
時計回りのオートローテーション矯正は、深い噛み合わせを浅く矯正することで噛み合わせを高くし、顎の位置を引く矯正方法です。
顎を引くと長さが出るため、全体的に少し顔が長くなった印象になります。
反時計回りのオートローテーション矯正は、浅い噛み合わせを深く矯正することで顎の位置が上にあがり、全体的な顔の長さが短くなります。
いずれの場合も横顔や正面から見た顔の印象が変わる場合があります。
しかしオートローテーション矯正はあくまでも噛み合わせを矯正し、顎を自然な位置に動かすのが目的です。
顔立ちのバランスを大きく変えたい場合は美容外科の検討も必要でしょう。
オートローテーション矯正が有効とされる歯並びや顔立ち
オートローテーション矯正が有効な歯並びや顔立ちには、以下のようなものがあります。
時計回りオートローテーションの適応 |
反時計回りオートローテーションの適応 |
・過蓋咬合(かがいこうごう) ・反対咬合(はんたいこうごう) |
・開咬(かいこう) ・上下顎前突(じょうげがくぜんとつ) ・アデノイド顔貌 ・ガミースマイル ・面長な顔立ち |
あくまでも主な適応例のため、全てのケースが当てはまるとは限りません。
矯正後のイメージも含め、しっかりと歯科医師と相談しましょう。
時計回りのオートローテーション矯正がおすすめなケースは、噛みあわせが深い過蓋咬合や上の歯よりも下の歯が外側に出た受け口の状態である反対咬合です。
過蓋咬合は深い噛み合わせを浅く矯正し、反対咬合は下の歯全体を後ろに引っ張ることで噛み合わせを矯正していきます。
反時計回りのオートローテーション矯正がおすすめなケースは、噛み合わせで上と下の前歯に隙間のできる開咬や、日本人に多いといわれている顎が後退し出っ歯傾向にある上下顎前突です。
一般的に美しいとされる横顔として、Eラインを基準にした考え方があります。
Eラインとは顔を横から見た際に鼻先と顎先を結んだ線のことで、Eラインの内側もしくは線上に口先があると美しいとされています。
上下顎前突は口を閉じる際に顎の筋肉に力が入るため、Eラインから突出している状態です。
アデノイド顔貌の特徴は口元が前に出ている・顎と首の境目がわかりにくいなどあり、美容的な理由で改善を望む人もいます。
アデノイド顔貌の原因のひとつに「口呼吸」が挙げられますが、口呼吸は顔つきの変化だけでなく、歯並びや口臭・いびきにも影響する要因です。
またガミースマイルは笑ったときに歯茎が大きく見える状態です。
歯ぐきの見え方の程度にもよりますが、歯ぐきがコンプレックスでうまく笑えないという悩みにもつながります。
原因としては骨格や歯並びがあり、歯並びが原因の場合は食べ物がつまりやすく虫歯や歯周病のリスクにもなります。
反時計回りのオートローテーション矯正は、噛み合わせを矯正し顎を反時計回りに回転させるため、顎先が出て面長な顔立ちが改善された印象をもちます。
オートローテーション矯正のメリット
オートローテーション矯正には次のようなメリットがあるため、矯正治療の参考にしてみてください。
嚙み合わせが改善し顔の印象が変わる
オートローテーション矯正は嚙み合わせを改善する治療のひとつであり、その結果顎の位置が変わることで顔の印象が変わり、横顔のラインが整うなどのメリットがあります。
また美容外科手術のように大きく印象を変えることは難しい一方、ゆっくり時間をかけて矯正していくため調整が可能な点も魅力です。
外科手術しなくて済む場合がある
従来の矯正治療では骨格によって治療が難しいケースもありましたが、オートローテーション矯正では後述するアンカースクリューの併用などで矯正が可能な場合もあります。
外科手術は多少なりとも傷跡や、回復までの時間を要するため身体の負担になることもあります。
一方、オートローテーション矯正は身体への負担が少ない点が大きなメリットです。
オートローテーション矯正のデメリット
オートローテーション矯正には次のようなデメリットもあるため、しっかりとカウンセリングを受け、治療前にしっかり歯科医師と矯正後のイメージをもつことが大切です。
矯正後の後戻り
後戻りとは、矯正終了後に歯並びが元に戻ろうとする状態です。
一般的には矯正治療が終了したあとも、後戻り防止のために保定装置を装着する必要があります。
オートローテーション矯正の場合、奥歯の保定が難しいことや開咬傾向にある人は噛む力が弱く、顔や舌の筋肉が弱いことから後戻りしやすいといわれています。
骨格や顔立ちの大きな変化は望めない
オートローテーション矯正は、あくまでも嚙み合わせを改善する治療のため、そもそもの骨格や大きく顔の印象を変えたい場合は不向きなケースもあります。
思い描く結果によっては美容外科手術が適応する場合があるため、事前にしっかり歯科医師と相談しましょう。
アンカースクリューを併用するオートローテーション矯正
オートローテーション矯正をする際、アンカースクリューを併用することでより治療効果が高まるようになりました。
アンカースクリューとはチタン製の医療用ネジで、サイズは直径1~2mm、長さ6~10mmほどです。
ネジを歯ぐきに埋め込み、固定した箇所を起点として動かしたい歯を移動させます。
従来の矯正治療は、矯正装置を装着した歯どうしに力をかけるため、動かしたくない歯も移動する場合がありました。
アンカースクリューのメリット
アンカースクリューを使用するメリットは、以下のとおりです。
・治療期間が短縮できる
・歯の移動領域が広がる
・抜歯せずに矯正できる可能性がある
・外科手術を避けられる可能性がある
従来の矯正方法では、目的以外の歯にも力をかけて動かす必要があったため時間がかかっていました。
しかしアンカースクリューは目的の歯を動かしたい方向へ矯正できるため、治療期間の短縮や歯の移動領域も広げることが可能です。
また難しい方向への移動ができるため、全ての症例ではありませんが抜歯や外科手術のリスクを避けられる可能性も魅力のひとつです。
アンカースクリューのデメリット
アンカースクリューを使用するデメリットは、以下のとおりです。
・アンカースクリューの緩みや脱落の可能性
・歯ぐきや神経を損傷する可能性
・炎症や痛み
・金属アレルギーの可能性
スクリューアンカーの埋め込みは位置を正確に定めて行いますが、歯根や神経を傷つける可能性もゼロではありません。
また埋め込まれたアンカースクリューが何らかの理由で緩んだり脱落したりする可能性もあります。
その際は、埋め込んだ場所とは別の場所に再度埋め込む必要があります。
口腔内を清潔に保てないと炎症や痛みが生じる場合があり、喫煙は歯周病の要因ともされているため避けた方が良いでしょう。
アンカースクリューは、医療用のチタン製でできているためアレルギーの可能性は低いものの、稀に反応する人もいます。
まとめ
オートローテーション矯正は、噛み合わせを矯正することで下顎の回転を促す治療で、時計回りと反時計回りの方法があります。
オートローテーション矯正に有効な症例は過蓋咬合や反対咬合、開咬やガミースマイルなどがあります。
嚙み合わせを改善することが治療の目的ですが、顎の位置が移動することで顔の印象や横顔のラインが整うメリットがあります。
またチタン製の医療用ネジであるアンカースクリューを併用することで、従来では難しかった症例にも対応の幅が広がりました。
デメリットとしては後戻りのリスク、大きく顔の印象を変えたい人には美容外科手術が適するケースもあります。
いずれにしても、治療前にしっかりと歯科医師と相談するのが重要です。
海岸歯科室は患者様のお悩みに寄り添い、世界一優しい歯科を目指しております。
歯列矯正について検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。
スタッフ一同お待ちしております。
監修:理事長 森本 哲郎