ガタガタの歯並び叢生(そうせい)を放置するデメリットや治療・予防法について解説
- 2024年3月21日
- コラム
「叢生(そうせい)ってどんな歯並びの状態?」
「放っておくとどうなるの?」
「どんな治療方法があるの?予防はできる?」
叢生がどのような歯並びで、治療方法や治療のメリットについて知りたい方もいるのではないでしょうか。
叢生とは歯が部分的に重なり合う歯並びの状態を指し、八重歯も叢生の一種に含まれます。
虫歯や歯周病のリスクだけでなく、不適切な噛み合わせが及ぼす身体への影響など、放置するとさまざまなリスクがあります。
本コラムでは治療の必要性や日常生活での予防方法についても解説します。
歯並びや口腔内の状態は個人差があるため、どの治療が適応であるか自分では判断が難しいでしょう。
歯並びのお悩みや治療を希望される方は、ぜひ一度ご相談ください。
叢生(そうせい)とは歯が部分的に重なり合っている歯並び
叢生とは歯と顎の大きさのアンバランスにより、歯が部分的に重なって生えている状態を指します。
一般的には「乱杭歯(らんぐいば)」と呼ばれることが多く、犬歯があとから生えてくることで生じる八重歯も叢生の一種です。
日本で八重歯は「可愛らしい」「愛嬌がある」と好意的に捉えられる場合もありますが、海外ではあまり良い印象を与えません。
見た目のコンプレックスで笑顔に自信がもてなかったり、精神的に影響を与えたりする場合もあるでしょう。
歯が左右・前後に重なり合うことで、歯と歯の間のブラッシングが難しく、歯垢の蓄積による口臭や虫歯・歯周病のリスクも高まります。
また叢生は噛み合わせの悪い不正咬合のひとつです。
噛み合わせは咀嚼や顔のバランスだけでなく、肩こりや腰痛など全身にも影響するため、叢生を治療するメリットは大きいでしょう。
叢生(そうせい)を引き起こす5つの原因
叢生を引き起こす主な原因は、以下の5つです。
1.歯が大きい
2.顎が小さい
3.永久歯の生え変わりがうまくいかなかった
4.遺伝
5.日常の癖や習慣
原因を正しく理解し、治療開始のタイミングや日頃の予防策の参考にしましょう。
1.歯が大きい
顎の大きさに対して永久歯が平均よりも大きいと、生えてくるスペースが不十分で歯列が乱れます。また歯の大きさは遺伝が大きく影響するといわれています。
2.顎が小さい
歯の大きさに対して顎が小さいと、歯が生える十分なスペースがなく、顎のサイズに歯が収まりきらず歯列が乱れます。
顎の大きさは先天的に小さい場合や、後天的に適切な大きさに育たなかったケースがあります。
後天的な要因としては、顎の成長発達の時期にやわらかいものを好んで食べ咀嚼力が弱かったり、噛み合わせが悪かったりして適切な大きさに発育しなかったケースです。
3.永久歯の生え変わりがうまくいかなかった
通常6歳から12歳頃にかけて、乳歯から永久歯に生え変わります。
顎のなかで永久歯が生える準備ができたら乳歯が抜けるのです。
しかし乳歯が虫歯になり早くに抜いた場合、次の永久歯が生えてくるまでに抜けた歯のスペースを埋めようと隣の歯が移動しようとします。
すると次の歯が生えにくく叢生になるケースがあるのです。
また永久歯が生えてきているが、何らかの理由で乳歯が抜けない場合も歯並びに影響します。
4.遺伝
叢生は歯と顎の大きさのアンバランスで起こるため、顎の大きさは歯並びに大きく影響します。
遺伝的に骨格や顎の形が歯よりも小さい、もしくは顎の大きさに対して歯が大きいなどの理由も原因のひとつになります。
5.日常の癖や習慣
顎の成長発達のためには十分な咀嚼力も重要です。
やわらかいものを好んで食べると咀嚼による顎の発達が促せません。
また無意識に頬杖や常に同じ方向を向いて就寝する癖は、日常的に特定箇所に圧がかかることで叢生になる原因になります。
口呼吸による口腔内の乾燥、歯で舌を触る習慣も原因のひとつとされています。
叢生(そうせい)を放置する4つのデメリット
叢生を放置するデメリットは、以下の4つです。
1.みがき残しによる虫歯・歯周病のリスク
2.顎関節症や他の歯への負担
3.不十分な咀嚼
4.審美的なコンプレックス
デメリットとして、口腔内の環境だけでなく全身や精神面へ影響を与える要素もあります。
1.みがき残しによる虫歯・歯周病のリスク
歯が重なり合った部分はブラッシングが難しく、みがき残しやすいため歯垢が蓄積しやすい場所です。
歯垢の蓄積は口臭や虫歯だけでなく、将来的に歯周病の原因にもなります。
虫歯や歯周病は、進行すると歯を失う二大要因にもなるため日々のケアは非常に重要です。
定期的に歯科医で検診や歯垢除去などの処置を受けましょう。
2.顎関節症や他の歯への負担
歯並びは噛み合わせに大きな影響を及ぼします。
叢生のように歯並びがガタガタな場合、噛み合わせによって顎へ過度な負担がかかり、顎関節症の原因にもなります。
また特定の歯に力がかかると、歯がすり減り将来的に歯の寿命を縮めたり、歯を失いかねません。
3.不十分な咀嚼
食べた物をしっかり噛むには、適切な噛み合わせが必要です。
ガタガタな歯並びでは咀嚼が不十分になりやすく、食べづらいと感じる人もいるでしょう。
またよく噛めていないために、消化に負担がかかるケースもあります。
4.審美的なコンプレックス
ガタガタの歯にコンプレックスを抱える人も少なくありません。
歯並びが気になってうまく笑えない、自分に自信が持てないなど、精神面への影響もあります。
また日本では可愛らしい印象のある「八重歯」も欧米では「ドラキュラ・トゥース」と呼ばれ悪いイメージがあります。
ビジネスにも関わるほど印象を左右するため、将来的に海外で活躍したい人にとってはデメリットになるため、早い段階での治療が必要でしょう。
叢生(そうせい)の治療方法
叢生の治療には、歯並びの状態や年齢によって主に以下のような方法があります。
・ワイヤー矯正
・マウスピース
・矯正器具
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、適切な方法を選ぶ必要があります。
ワイヤー矯正
歯の表面にブラケットと呼ばれる装具を装着し、ブラケットにワイヤーを通して歯を動かしていく治療法です。
対象症例の幅が広いのが特徴で、正面から矯正器具が目立たないよう歯の裏側から矯正する方法もあります。
またワイヤー矯正は取り外しができないため、装着の違和感やブラッシングにもひと手間かかります。
マウスピース
インビザラインと呼ばれる透明のマウスピースを装着し、歯を動かしていく治療法です。
歯並びの程度によって、マウスピースの枚数や治療期間は変わります。
装着しているのが目立ちにくく取り外し可能なため、違和感が少なくワイヤー矯正に比べるとブラッシングの手間もかかりませんが、対象症例は限られます。
矯正器具の装着
子どもの顎が発達する時期に矯正器具を装着し、顎の発達を促す治療で、ビムラー矯正やリンガルアーチなどがあります。
早くに乳歯が抜けた場合、永久歯が生えてくるまで抜けたスペースを確保する役割もあります。
取り外し可能なものは、ブラッシングのお手入れがしやすい一方、はずしてしまうと矯正力がないため装着に理解と同意を得られるかがポイントです。
取り外しできない場合は、常に装着している違和感などのデメリットがあります。
日常での叢生(そうせい)予防法
叢生を引き起こす原因でも解説したとおり、日常生活での習慣や無意識の癖も要因となります。
叢生を予防するポイントは、以下のとおりです。
・鼻呼吸する
・頬杖をつかない
・就寝時は同じ方向ばかり向かない
・よく咀嚼する
・柔らかいものばかり食べない
・舌を正しい位置におく
頬杖など特定の箇所に持続的圧がかからないよう注意し、日頃からよく噛んでしっかり顎を使うことを意識しましょう。
呼吸法や舌の位置も口腔内の環境を整えるのに大切な要素です。
まとめ|叢生は治療するメリットが大きい歯並びのひとつ
叢生は歯が部分的に重なり合っている状態で、一般的に「乱杭歯」と呼ばれます。
叢生は顎と歯の大きさのアンバランスで引き起こされます。歯に対して顎が小さい、または顎に対して歯が大きい場合に、歯が生えてくるスペースが十分でないのが要因です。
叢生を放置すると、以下のようなデメリットがあります。
・みがき残しによる虫歯・歯周病のリスク
・顎関節症や他の歯への負担
・咀嚼が不十分
・審美的なコンプレックス
歯が重なり合っているためブラッシングが難しく、噛み合わせの悪さが咀嚼や身体へも影響します。
また見た目のコンプレックスを感じる人もいるでしょう。
叢生の治療は、歯並びの状態や年齢によってワイヤー矯正、マウスピース、矯正器具を装着する方法があります。
叢生は成人になってからでも治療は可能です。
しかし乳歯から永久歯に生え変わる時期に、顎の成長発達に合わせた矯正が可能なため、適切な時期に治療開始するのが重要です。
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監修:理事長 森本 哲郎