セラミック?インプラント?その違いと選び方を説明!
- 2024年4月21日
- コラム
歯を失ったり歯に問題が生じた場合、その歯をどう修復する方法を選択することが必要となります。
そういったケースでは「インプラント」と「セラミック」はよく比較される治療方法と言えるでしょう。
しかしどちらを選択するのかは、ある程度の知識がないとわからないかも知れません。
そこで今回は、インプラントとセラミックの特徴や選び方について詳しく説明します。
どちらの治療方法が自分に適しているのか、選ぶ際のポイントを理解してください。
インプラントとセラミックはどんな歯科治療の時に使うのか?
まずインプラントは、歯を失ってしまった場合に使用されます。
歯が抜け落ちたり、抜歯したりした結果、歯根が欠損してしまった場合に、インプラントと呼ばれる人工的な歯根を顎の骨に埋め込むことで、その機能を回復するわけです。
インプラントは、歯を失った箇所に自然な見た目と機能を提供し、周囲の歯に影響を与えることなく、歯で食べ物を噛む力を回復させることができます。
一方セラミックは、歯の修復や外観をよく見せるために使用され、虫歯や歯の欠損部分を埋める詰め物や被せ物として、さらに歯の色や形を修正するためにも使用されます。
セラミックは天然歯とよく似た外観を持ち、見た目も良く耐久性もあります。
このように、インプラントは歯を失った場合の機能的な補綴に使用され、一方、セラミックは歯の修復や見た目の改善に使用されます。
インプラントとは?
では続いて、インプラントについてもう少し詳しく説明していきます。
治療法と治療期間
インプラントの治療法はまず、歯科医師が口の中を検査し、インプラントを設置する適切な場所を特定します。
次に口の中を麻酔し、歯茎を切開して顎の骨に穴を開けます。
その穴にチタン製のインプラントを挿入し、歯茎を縫合して閉じます。
これは外科的な手術となり、手術後、インプラントが数ヶ月間後に骨に統合するまで待つことになります。その後、人工歯を取り付けるための接合部が取り付けられ、これに人工歯が取り付けられます。
インプラントの費用相場
インプラント治療の費用は、患者の状態や治療内容によって異なりますが、決して安い費用ではありません。
一般的に一本のインプラントの費用は数十万円〜場合によっては100万円を超える場合もあります。
これには、手術や骨移植などの外科的な手順、インプラントの材料費、人工歯(クラウン)の費用などが含まれます。
また、インプラント治療には保険が利用できないことがほとんどで
さらに、治療に関わる追加の費用として、初期の検査や診断、歯科医師や歯科技工士の診療料、定期的なフォローアップなどがあります。これらの費用を含めると、全体の治療費用がさらに増加する可能性があります。
そのため、インプラント治療を検討する際には、費用相場だけでなく、治療の内容や必要な手続き、保険の適用範囲などを詳細に確認し、全体の費用を把握することが重要となります。
インプラントのメリット
このように費用的にかなり負担の大きいインプラントですが、当然ながら費用に見合ったメリットがあります。
インプラントは人工歯根が顎の骨にしっかりと統合されるため、自然な外観と感触がメリットとなります。
周囲の歯と調和がとれ、違和感なく口内で自然に感じられます。
さらにインプラントはしっかりと顎の骨に統合されるため、しっかりとした咬合(かみあい)力を提供します。
ブリッジなどの補綴物と異なり、インプラントは周囲の歯に支えられることなく独立しているため、周囲の歯に影響を与えることがありません。
そして適切にケアを行えば、インプラントは長期間持続可能です。
周囲の歯に影響を与えず、咬合力を回復させるため、他の選択肢よりも長期的な解決策となります。
もちろんインプラントにより、歯を失った箇所の機能が回復されるため、食事や会話などの口腔機能が改善されます。
インプラントのデメリット
ただしインプラント治療にも、いくつかのデメリットも存在します。
まず第一に、インプラント治療は外科手術を伴うため、手術リスクがあります。
手術中や手術後に出血や感染が起こる可能性があります。また、手術後の腫れや痛みも生じることがあります。
インプラント治療は時間と費用がかかることもデメリットの一つです。
インプラントを埋め込むまでに数ヶ月から半年以上かかる場合があり、高額な治療費用がかかることもがほとんどとなります。
インプラント治療は一生涯持続するものではないことも考慮すべきで、定期的なメンテナンスやフォローアップが必要です。
インプラントにもセラミックが利用されることも
インプラント治療において、人工歯(クラウン)としてセラミックが利用されることがあります。通常、インプラントに取り付ける人工歯は、天然歯のような外観と感触を提供するためにセラミックが選択されます。
セラミックは、天然歯に非常に近い外観を持ち、色調や形状を自然なものに再現することができます。また、金属フリーであり、金属アレルギーの心配がある患者にとって適した選択肢となります。
このように、インプラント治療においてもセラミックが利用されることで、自然な外観と耐久性を兼ね備えた補綴物を提供することができます。
セラミックとは?
では続いてセラミックについてみていきましょう。
治療法と治療期間
セラミックの治療法と治療期間は、患者さんの状態や治療内容によって異なります。
セラミックの治療法は、患者の歯科医師が口の中を検査し、治療が必要な箇所を特定します。次に、必要に応じて歯を削って形を整え、歯型を取ります。
歯型にもとづき、実際のセラミック製品が作成されま、最後に、歯科医師が患者さんの歯にセラミックを取り付けます。
治療期間は、患者の状態や治療内容によって異なりますが、通常は数週間から数ヶ月かかる場合があります。
セラミック製品を作成するためには、歯型を取る工程や歯科技工士が製品を作成する工程などが必要です。そのため、通常は複数回の診療が必要となります。
ただし、一部の高度な技術を用いたセラミック製品は、同日または数日で提供される場合もあります。このような場合、歯科医師がCAD/CAM技術を使用してセラミック製品を直接診療室で作成します。
セラミックの費用相場
セラミック治療の費用は、患者の状態や治療内容によって異なります。
一般的には、セラミックの治療費用は、詰め物や被せ物の数や大きさ、使用する材料の種類によって決まりますが、詰め物の場合は数万円〜10万円、被せ物の場合は10万円〜程度となっています。
小さな詰め物や被せ物の場合、費用は比較的低く抑えられることがありますが、複数の歯や大きな被せ物が必要な場合、費用は高くなります。
高品質のセラミックは通常、耐久性や外観が良くy、それに応じて費用も高くなります。一方、標準的なセラミックは耐久性や審美性に欠ける場合があり、その分費用は低く抑えられることがありますが、長期的な観点からはコストがかさむ可能性もあります。
セラミックのメリット
セラミック製の詰め物や被せ物には、いくつかのメリットがあります。
まず第一に、セラミックは天然歯に近い外観と感触であることです。
次に、セラミックは非金属の素材であるため、金属アレルギーの心配がなく、安全で快適な治療を受けることができます。
さらにセラミックは耐久性があり、長期間の使用に耐えられます。
セラミック製の詰め物や被せ物は、咬合力による圧力にも十分に耐え、変色や摩耗が少ない特徴があります。
また、セラミックは加工しやすい素材であるため、患者の口の形状や咬合に合わせてカスタマイズすることができ、患者さんにとって快適で自然な感触を実現することができます。
セラミックのデメリット
セラミック製の詰め物や被せ物にはいくつかのデメリットもあります。
まず第一に、セラミックは比較的もろい素材であるため、強い力や衝撃によって割れることがあります。特に、噛み合わせが強い箇所や、歯ぎしりの癖がある場合には、割れや欠けのリスクが高まります。
セラミックは金属よりも導電性が低いため、温度変化に敏感です。
冷たい飲み物や熱い食べ物を摂取した際に、セラミック製の詰め物や被せ物が感じやすくなることがあります。
セラミック製の詰め物や被せ物は、金属製のものよりも高価です。そのため一部の患者さんにとっては、治療費用を負担と感じる場合があります。
インプラントとセラミックは何で選ぶべきか
では実際に歯の治療うする際に、インプラントとセラミックを、何を基準として選択すれば良いのでしょうか、
そのいくつかの条件をチェックしていきましょう。
歯根のありなし
「歯根の有無」は、インプラントとセラミックを選択する際の重要な要素の一つです。
インプラントは、歯を失った箇所に人工の歯根を埋め込むことで、歯を再現します。
このため、歯根がない場合でもしっかりとした土台を提供し、周囲の歯に影響を与えずに自然な噛み合わせを回復させることができます。
一方、セラミックは歯を失った箇所を補綴するために用いられますが、歯根がない場合には直接的にセラミックを取り付けることはできません。
ですから歯根があるかどうかは、セラミックの選択肢に影響を与え、歯根がない場合には、他の補綴方法やインプラント治療を検討する必要があります。
金属アレルギーのありなし
金属アレルギーの有無も、インプラントとセラミックを選択する際の重要な要素です。
インプラント治療には、一般的にチタンやチタン合金が使用されます。これらの金属は通常、金属アレルギーのリスクが低いとされていますが、まれに金属アレルギーを引き起こすことがあります。
一方、セラミックは非金属素材であるため、金属アレルギーの心配がないため、金属アレルギーのある患者にとって安心して治療を受けることができます。
前歯の場合はどちらが良い?
前歯の場合、インプラントとセラミックのどちらが良いかは、患者の状況や希望、歯科医師との相談によって異なります。
まず、前歯は口の中で目立つ場所にあり見た目が重要です。
この点から見ると、セラミックは天然歯に近い外観を持ち、色や形を再現しやすいため、自然な見た目を実現するのに適しています。
一方インプラントは歯根を再現するため、周囲の歯に影響を与えずにしっかりとした土台を提供し前歯の治療も可能です。しかし、インプラントは手術が必要であり、周囲の骨や歯茎の状態によっては適していない場合もあります。
患者の状況や希望、治療の必要性によって、インプラントとセラミックのどちらが良いかが変わることがあります。歯科医師との十分な相談を通じて、最適な治療方法を選択することが重要です。
まとめ
歯科治療において、インプラントとセラミックはそれぞれ異なる特性を持ち、患者の状況やニーズに応じて適切な選択が求められます。
インプラントは歯を失った箇所に人工の歯根を埋め込むことで歯を再現し、周囲の歯に影響を与えずに自然な噛み合わせを回復させることができます。
一方、セラミックは見た目に優れ天然歯に近い外観と感触を提供し、金属アレルギーの心配がないため安心して治療を受けることができます。
こういった特徴を理解した上で、最終的には、患者と歯科医師との密な相談を通じて、最適な治療プランを立てることが重要です。
監修:理事長 森本 哲郎