ハーフリンガル矯正は表側矯正と裏側矯正の組み合わせ|メリット・デメリットも解説
- 2024年7月11日
- コラム
「ハーフリンガル矯正ってどんな方法?」
「普通の矯正と何が違うの?」
「治療期間や費用はどう違う?」
ハーフリンガル矯正を検討している方にとって、あまり聞きなれない矯正方法に疑問をもっている方もいるでしょう。
ハーフリンガル矯正とは、上顎は裏側矯正・下顎は表側矯正で治療する歯列矯正です。
上下の表側矯正よりも矯正装置が目立ちにくく、上下の裏側矯正よりも費用や治療期間が抑えられるのが利点です。
本コラムではハーフリンガル矯正のメリット・デメリット、適応症例や費用相場についても解説します。
歯列矯正について検討している方で、ハーフリンガル矯正が気になる方はぜひ一度お気軽にご相談ください。
ハーフリンガル矯正は表側矯正と裏側矯正の組み合わせ
ハーフリンガル矯正は上の歯を裏側矯正(矯正装置を歯の裏側に装着)でおこない、下の歯は表側矯正(矯正装置を歯の表側に装着)する方法です。
下の歯は表側に矯正装置があるため、舌が矯正装置に触れず口腔内の違和感も少なく、上下とも裏側矯正するよりも費用が抑えられるメリットがあります。
ハーフリンガル矯正をより理解するために、表側矯正と裏側矯正について解説します。
表側矯正について
表側矯正は歯の表側の表面に矯正装置を装着して、歯列矯正する方法です。
メリット・デメリット、治療期間や費用相場についてまとめた表は、下記のとおりです。
メリット |
・対応可能な症例が多い ・発音が変わりにくい ・矯正費用が抑えられる ・活舌に影響が少ない |
デメリット |
・矯正装置が目立つ ・口が閉じにくい ・活舌に影響がある ・衝撃性のあるスポーツは危険が伴う |
治療期間の目安(全体矯正の場合) |
半年~3年程度 |
費用の目安(全体矯正の場合) |
約30~130万円 |
表側矯正のメリットは、対応症例の幅が広く費用が抑えられますが、矯正装置が目立つデメリットがあります。
よって審美的にあまり気にならず、費用を抑えたい方に向いています。
裏側矯正について
裏側矯正は歯の裏側の表面に矯正装置を装着して、歯列矯正する方法です。
メリット・デメリット、治療期間や費用相場についてまとめた表は、下記のとおりです。
メリット |
・矯正装置が目立ちにくい ・裏側はエナメル質が厚いため傷つけにくい ・虫歯になりにくい |
デメリット |
・口内炎ができやすい ・費用が高い ・対応できる歯科医院が限られている ・ブラッシングしにくい |
治療期間の目安(全体矯正の場合) |
約2~3年 |
費用の目安(全体矯正の場合) |
約100~170万円 |
裏側矯正のメリットは矯正装置が目立ちにくく、歯の裏側の方が唾液の自浄作用によって虫歯になりにくい点です。
矯正費用は表側矯正よりも高く、対応できる歯科医院も限られています。
ハーフリンガル矯正の3つのメリット
ハーフリンガル矯正の主な3つのメリットは、下記のとおりです。
1.矯正装置が目立ちにくい
2.裏側矯正より費用を抑えられる
3.口の中の違和感が少なく滑舌に影響しにくい
各項目について詳しく解説します。
1.矯正装置が目立ちにくい
ハーフリンガル矯正の大きなメリットは矯正装置が目立ちにくい点です。
会話や笑い方によって下の歯が見えにくい方は、上下を表側矯正にする場合と比較して矯正装置に気づかれにくいでしょう。
矯正したいが見た目が気になる方には向いている矯正方法です。
2.裏側矯正より費用を抑えられる
裏側矯正は表側矯正よりも高い技術を要するため、費用が高くなります。
しかしハーフリンガル矯正は下顎が表側矯正になる分、相場としては約20万円の費用が抑えられます。
3.口の中の違和感が少なく滑舌に影響しにくい
裏側矯正は矯正装置が舌に当たりやすいため、口の中の違和感や滑舌に影響します。
しかしハーフリンガル矯正は下顎を表側矯正にするため、上下とも裏側矯正の場合と比較すると影響は少ないと考えられます。
営業職やサービス業など人前で話す機会が多い方にとっては、滑舌に影響しにくい方がストレスが少なく済むでしょう。
ハーフリンガル矯正の3つのデメリット
ハーフリンガル矯正の主な3つのデメリットは、下記のとおりです。
1.ブラッシングが難しい
2.歯並びによっては矯正装置が目立つ
3.不向きな症例がある
最適な治療法を選択するために、ハーフリンガル矯正のデメリットについても理解しましょう。
1.ブラッシングが難しい
矯正装置が取り外し不可能なため、取り外し可能な矯正装置と比較するとブラッシングしにくい点がデメリットです。
特に上顎は裏側矯正のため、目視しづらく表側矯正よりもさらに難しいでしょう。
日々のブラッシングは虫歯や歯周病予防のため非常に重要です。
慣れるまでは大変かもしれませんが、日々のケアを大切にしましょう。
2.歯並びによっては矯正装置が目立つ
笑ったり喋ったりする際に下の歯が半分以上見える歯並びの方は、下顎の表側矯正が目立ちます。
矯正装置が目立ちにくいという理由でハーフリンガル矯正を選択しようと考えている場合は、注意が必要です。
ご自身の歯並びがハーフリンガル矯正の恩恵を受けられるかどうかの見極めは、大切なポイントです。
3.不向きな症例がある
表側矯正は適応症例がひろい一方、裏側矯正は適応できるケースが限られているのがデメリットです。
舌が大きすぎる場合や極端に噛み合わせが深い場合も裏側矯正に向きません。
また極端に歯並びが悪いケースも、顎の骨が起因している場合が考えられるため、歯列矯正ではなく外科処置の対象になります。
ハーフリンガル矯正の適応症例
ハーフリンガル矯正に向いている症例には、次のようなものがあります。
・上下顎前突(じょうかがくぜんとつ):上下とも前に突出している状態
・上顎前突(じょうがくぜんとつ):上の前歯が下の前歯より出ている状態、出っ歯
・過蓋咬合(かがいこうごう):上の歯の嚙み合わせが深い状態
・空隙歯列(くうげきしれつ):前歯の歯と歯の間に隙間がある状態
・叢生(そうせい):ガタガタの歯並び
どれかひとつだけでなく症例が混合している場合もありますが、症状の程度によってハーフリンガル矯正の可否を判断します。
またハーフリンガル矯正だけでなく、より強い力で歯を動かすためにアンカースクリュー(ねじで固定する方法)を併用する症例もあります。
ハーフリンガル矯正に向かない症例
ハーフリンガル矯正が向かない症例は、次のようなものがあります。
・極端に歯並びが悪い
・舌のサイズが大きい
歯並びが極端に悪い場合は、顎の位置や顎の骨に起因する場合が多く、歯列矯正では対応できないケースがあります。
また舌が大きいと歯の裏側に装置を装着するスペースがなかったり、装着できても違和感が強かったり、食事や滑舌に影響します。
ハーフリンガル矯正の治療期間と費用相場
ハーフリンガル矯正の治療期間と費用相場について、表側矯正・裏側矯正と比較してまとめた表は下記のとおりです。
治療期間 |
費用相場 |
|
ハーフリンガル矯正 |
2~3年 |
60~150万円 |
表側矯正 |
1~3年 |
60~130万円 |
裏側矯正 |
2~3年 |
100~170万円 |
ハーフリンガル矯正は治療期間・費用ともに表側矯正と裏側矯正の中間というイメージです。
もちろん歯列の状況は個人差があるため治療期間は目安ですが、ハーフリンガル矯正は平均的に2年半ほど要します。
また費用相場に関しても他の治療方法を併用する場合などは、さらに高額になるでしょう。
ハーフリンガル矯正は決して安い治療ではなく時間もかかるため、治療開始前にしっかり納得するのが大切です。
ハーフリンガル矯正のよくある質問
ハーフリンガル矯正について、よくある質問をまとめました。
抜歯は必要ですか
ご自身の歯並びの状態により抜歯の必要性を検討します。
ハーフリンガル矯正は必ずしも抜歯が必要ではなく、歯を抜かずとも矯正可能な場合もあります。
仮に上下で抜歯が必要なケースでも、抜歯が終了した方から矯正治療が可能です。
食事は問題なくできますか
特にハーフリンガル矯正だからといって食事制限はありません。
しかし他の歯列矯正と同様、粘り気のあるものや固いものは矯正器具の破損につながりやすいため、控えた方が無難でしょう。
また矯正器具に物が詰まりやすいため、食後はしっかりブラッシングを行いましょう。
痛みはありますか
歯列矯正には多少なりとも痛みを伴います。
しかし治療期間中ずっと痛いわけではなく、特に痛みを感じるのは矯正装置の装着後と装置を調整直後といわれています。多くの場合は数日で慣れるでしょう。
まとめ|ハーフリンガル矯正は表・裏側矯正のいいとこどり
ハーフリンガル矯正は、上顎は裏側矯正・下顎は表側矯正で治療する歯列矯正です。
上下とも表側矯正するよりも目立ちにくく、上下の裏側矯正よりも費用や治療期間が抑えられるのが利点です。
また下顎は表側矯正で舌に矯正装置が当たらないため違和感が少なく、滑舌に影響が少ないため話す機会が多い職種の方にも向いています。
デメリットとしては、歯並びによって下の表側矯正が目立つため、ハーフリンガル矯正の恩恵を受けられないケースがあります。
また舌が大きい、歯並びが極端に悪い場合はハーフリンガル矯正に向いていません。
海岸歯科室は患者様のお悩みに寄り添い、世界一優しい歯科を目指しております。
歯並びに悩んでいる方や、ハーフリンガル矯正を含めた歯列矯正が気になる方はぜひ一度ご相談ください。
スタッフ一同お待ちしております。
監修:理事長 森本 哲郎