出っ歯にお悩みの人の中には、マウスピース矯正が気になっている人も多いでしょう。マウスピース矯正は目立ちにくく大人の方でも行いやすい治療法のため、近年人気の矯正方法です。

しかし、マウスピースの費用や治療期間について詳しく知らない人も多いでしょう。このコラムでは、マウスピース矯正の仕組みや費用、治療の注意点などを詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

出っ歯の治療にはマウスピース矯正がおすすめ

出っ歯の治療は、マウスピース矯正で治療できます。ただし、重度の出っ歯や骨格的な問題の場合などは、マウスピース矯正だけでは治療できない可能性もあります。

ご自身の歯の状態が適応になるかどうかは、医師の診察が必要です。マウスピース矯正を希望している場合は、カウンセリング時に相談してみてください。

出っ歯の原因

出っ歯の原因は、主に以下の3つが考えられます。

• 口周りを触る癖
• 遺伝
• 口呼吸

それぞれ詳しく見ていきましょう。

口周りを触る癖

指しゃぶりや手で歯を押してしまう癖などがあると、歯が動いて出っ歯になる可能性があります。癖が問題の場合は、意識して気をつけることで症状が悪化しないように気をつけることも可能です。出っ歯の症状が悪化している場合は、歯を押す癖がないか、自分で見直してみましょう。

遺伝

先天性な問題で上顎が発達して出っ張ってしまうなど骨格的な問題がある場合は、遺伝が問題の出っ歯である可能性があります。歯の大きさに対して顎が小さい場合や、歯が並ぶスペースが狭い場合などは、出っ歯になる可能性が高いです。

骨格が問題である場合は外科手術が必要になる可能性がありますが、軽度であればワイヤー矯正やマウスピース矯正でも治療が可能です。

口呼吸

口呼吸も出っ歯の原因になります。口を閉じているときに、舌の先端が上の前歯の裏側についているのが正しい舌の位置です。しかし口呼吸の人は舌が下の前歯の裏側に付いてしまい、舌に不必要な圧力がかかるため、出っ歯になる可能性があるのです。口呼吸をしている自覚がある人は、鼻呼吸に切り替えられるように練習するとよいでしょう。

出っ歯を放置するリスク

出っ歯を放置すると、虫歯になりやすかったり健康上のリスクがあったりといった問題があります。ここでは、出っ歯を放置するリスクについて詳しく見ていきましょう。

虫歯や歯周病になりやすい

出っ歯の人は口が閉じにくいため、口内が乾燥しやすい傾向があります。口内が乾燥すると唾液の分泌量が減ってしまい、唾液の抗菌作用が少なくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まるリスクがあります。

健康上のリスクがある

出っ歯の人は、唇を閉じにくいため、口が開いている状態が長くなりやすいです。口内の乾燥状態が続くと、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるリスクが高くなります。口内が乾燥すると唾液の分泌が低下するため、最近が増殖しやすくなり、感染症にかかりやすくなってしまうのです。

また、出っ歯になると噛み合わせが悪くなるため、食べ物を噛みにくくなります。食べ物を小さく噛みきれずに大きいまま飲み込むようになると、胃腸にかかる負担が大きくなり、胃腸の健康リスクが大きくなるのです。

見た目のコンプレックスがある

出っ歯の治療目的の1つに、見た目をよくしたいからという理由があります。出っ歯の人は、口が閉じづらくなったり閉じても上顎が突出した形になったりするため、見た目にコンプレックスを抱える可能性があります。

マウスピース矯正での出っ歯の治し方

マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使って段階的に歯を動かしていく方法です。ワイヤー矯正と異なり目立ちにくく自分で取り外しもできるため、周りの人にばれにくい上に歯磨きや食事などもしやすいです。

全体矯正であれば奥歯まで全ての歯を動かせるため、噛み合わせの治療もできます。噛み合わせに問題がなく、前歯だけを治療したい場合は、部分矯正を選んでもよいでしょう。

段階的に歯を動かせるので、痛みや違和感が出にくいメリットがある一方で、ワイヤー矯正よりも治療に時間がかかる点や、1日20時間以上装置を付けなければいけない点がデメリットといえます。

マウスピース矯正で直せない出っ歯の症例

マウスピース矯正では、元々の骨格が原因で出っ歯の場合や、動かす範囲が広い場合は治療できないケースもあります。マウスピース矯正が適応でない症例について、3つ紹介します。

骨格に問題がある

歯が前方方向に生えているだけではなく、骨格が前方に突出している場合は、マウスピース矯正だけでは出っ歯を治せない可能性が高いです。また、ワイヤー矯正など他の治療法でも治すことが難しいため、外科手術が必要になります。自分の出っ歯が骨格によるものかわからない人は、病院で診察を受けてみましょう。

歯を大きく動かす必要がある

前歯が大きく突出している場合や、出っ歯以外の歯並びも動かさなくてはいけない場合は、マウスピース矯正だけでは治療が終了しない可能性があります。マウスピース矯正は歯を前後に並行移動させるのが苦手なため、ワイヤー矯正など他の治療法の方が適しているケースが多いです。

インプラント治療をしている

インプラント治療を受けたことがある場合、マウスピース矯正を受けられない可能性があります。インプラントは顎の骨と結合しているため、歯科矯正では動かせません。歯の移動が制限されるため、動かさなければいけないスペースにインプラントがある場合は、矯正治療ができない可能性があります。

マウスピース矯正で出っ歯を治す費用と期間

マウスピース矯正で出っ歯を治すために必要な費用と期間について紹介します。

費用

マウスピースで出っ歯を治すためには10〜100万円程度かかります。奥歯を含む全体矯正をするのか、出っ歯の部分のみ部分矯正するのかによっても、費用は大きく異なります。一般的に、部分矯正のみ行う場合は費用が安く済むでしょう。

期間

マウスピース矯正で出っ歯を治すための期間は1年〜2年半程度です。歯の状態や出っ歯の原因によっても期間は変わります。マウスピース矯正の治療後は保定装置を付ける期間があるため、トータルでは3〜4年半程度必要になるケースが多いです。

マウスピース矯正で出っ歯を治す際の注意点

マウスピース矯正で出っ歯を治療する際の注意点について、4つ紹介します。

忘れずにマウスピースを装着する

矯正中は、忘れずにマウスピースを装着するようにしましょう。マウスピースは、1日に20時間以上装着する必要があります。ワイヤー矯正とは異なり自分でつけ外しが可能なため、外したままにしてしまうと歯並びが元に戻ってしまう点に注意が必要です。

マウスピース矯正は、食事の際や歯磨きの際にマウスピースを自由に取り外しできる点がメリットですが、必ず用事が終わったら歯に装着するのを忘れないようにしましょう。

矯正後はリテーナーを付ける

矯正治療終了後は、必ずリテーナーを付けて後戻りを防ぎましょう。マウスピース矯正に限ったことではありませんが、矯正治療後には、動かした歯並びを安定させるための保定期間があります。保定期間は、矯正治療と同じ程度の期間行うのが一般的です。たとえば矯正治療を1年間行ったのであれば、保定期間も1年間です。

リテーナーを付けるのを疎かにすると出っ歯が元に戻りやすくなるため、忘れずに付けるようにしましょう。

前歯を押す癖をやめる

前歯を舌で押したり、爪を噛んだりする癖がある人は、その癖が出っ歯の原因になっていることがあります。せっかく矯正治療で出っ歯を治したとしても、癖を続けることによってまた出っ歯が目立つようになる可能性があるため、意識してやめるようにしましょう。

定期的に検診を受ける

治療が終了しても、後戻りをしていないか確認するために、しばらく定期的に検診を受けるのがおすすめです。保定装置を忘れずに付けていたとしても、後戻りする可能性はゼロではありません。矯正治療後に予期せぬ事態を防ぐためにも、定期的に医師の診察を受けましょう。

出っ歯を治す際によくある質問

出っ歯の治療に関してよくある質問3つに回答します。

マウスピース矯正だけで出っ歯は改善する？

マウスピース矯正だけでも、出っ歯は改善します。噛み合わせや前歯以外の歯の位置も調整したい場合は全体矯正を、前歯のみを矯正したい場合は部分矯正を選択しましょう。

ただし、骨格の問題で出っ歯になっている場合は、マウスピース矯正では治療できない可能性があります。自分の歯並びに適した治療法を選択しないと症状がよくならないため、必ず医師の診察を受けてから治療法を選択しましょう。

マウスピース矯正では痛みを感じますか？

矯正治療では歯を動かすため、歯に負担がかかって痛みを感じることがあります。しかしマウスピース矯正は一度の移動距離が少なくなるように設計されているので、最小限の負担で済むのが特徴です。ワイヤー矯正よりも少ない痛みで治療できる可能性があります。

市販のマウスピースでも治療できる？

オンラインショップなどでマウスピースが販売されていることがありますが、市販のものを使用して矯正するのはあまりおすすめできません。矯正治療は高い技術力が必要です。歯科医院では、顎や歯のレントゲンを撮ったり出っ歯の原因を見極めたりしてリスクの低い方法を選択して治療します。

市販のマウスピースは医師の診断がなく使うことになるので、思った治療効果が得られないだけでなく、噛み合わせが悪くなるなどといったリスクもあります。痛みがひどくなったり顎関節に支障をきたしたりしても自己責任になるため、使わない方がよいでしょう。

まとめ

マウスピース矯正では、出っ歯の治療が可能です。出っ歯を放置すると虫歯や歯周病のリスクが高まる上に、健康上のリスクが発生する可能性もあるため、できるだけ早く治療するのがおすすめです。

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と異なり透明のマウスピースのため目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外すことも可能です。出っ歯の治療をしたい人は、ぜひ一度病院で診察を受けてみるとよいでしょう。

 

海岸歯科室では、マウスピース矯正を行っています。1人1人の口内状態を確認してベストな矯正方法をご提案しているので、出っ歯を改善したい人はぜひお気軽にお越しください。

　

監修：理事長 森本 哲郎