マウスピース矯正は抜歯が必要?症例やメリット・デメリットを紹介
- 2024年1月15日
- コラム
マウスピース矯正は、マウスピースを付けることで歯を正しい位置に動かす治療法です。ワイヤーを使った矯正とは違い、透明なマウスピースを装着するため、目立ちにくいメリットがあります。
メリットの多いマウスピース矯正ですが、抜歯が必要だと聞いて、治療を迷っている人もいるかもしれません。そこで今回は、マウスピース矯正には抜歯が必要なのかや、治療のメリット・デメリットを紹介します。マウスピース矯正を受けるか悩んでいる人は、ぜひ最後までお読みください。
マウスピース矯正の仕組み
マウスピース矯正では、現在の歯並びから完成後の歯並びまでのずれを治すため、マウスピースを何枚も作成します。マウスピースを付け替えていくことによって、徐々に歯が正しい位置に動いていくのです。治療の終了までには、平均で40〜50枚のマウスピースが必要です。
マウスピース矯正は従来の矯正とは異なり、ワイヤーやブラケットを使用しません。そのため目立ちにくく、矯正をしていることに気が付かれにくい点が特徴です。周りにばれずに治療をしたい人や、歯磨きがしやすく、虫歯のリスクを避けたい人におすすめの治療法です。
マウスピース矯正で抜歯をともなうケース
- 歯周病や虫歯がある
- 歯の生え方が悪い
- 顎が小さい
抜歯の必要性は医師によっても判断が異なることがあるので、いくつかの矯正歯科医院を受診して判断するのも良いでしょう。抜歯が必要なケースについて、詳しく紹介します。
歯周病や虫歯がある
歯周病や虫歯があり、マウスピース矯正に耐えられないと判断される場合、抜歯が必要です。重度の歯周病や虫歯を残したまま治療を進めると、矯正治療が進まなかったり、矯正中に歯が抜けてしまったりする可能性があります。歯周病や虫歯の進行状況によっても抜歯の必要性は変わるので、歯に気になる症状がある人は、なるべく早く病院を受診しましょう。
歯の生え方が悪い
歯の生え方や位置が悪いとマウスピースだけでは綺麗な歯並びにならないため、抜歯が必要なケースがあります。マウスピース矯正は歯を覆うことで効果が出るので、歯の向きが悪い場合はマウスピースが歯をきちんと覆わず、効果が出ない場合があるのです。特に、噛み合わせがずれていたり歯が重なっている場合は、抜歯をする可能性が高いです。
顎が小さい
顎が小さく歯が入りきれていない場合は、抜歯する可能性があります。歯並びを直そうとしても歯が入り切るスペースがないため、矯正できないためです。
前歯が大きく前に出ている
前歯が大きく前に出ているいわゆる出っ歯の状態の人は、歯が横に並ぶスペースがないため、抜歯する可能性があります。また、マウスピース矯正で歯並びが良くなったとしても、前歯の突出感が否めない場合もあるため、その場合は抜歯を行います。
マウスピース矯正で抜歯がいらないケース
- 奥歯を後ろに動かせる
- IPR調整でスペースを作れる
- 歯列を広げられる
歯が並ぶスペースが作れる場合や、顎を広げられる時期に治療をする場合は、抜歯の必要はありません。抜歯がいらないケースについて、詳しく見ていきましょう。
奥歯を後ろに動かせる
奥歯を後ろに動かせる場合は、抜歯の必要がありません。マウスピース矯正は、歯列を後ろに動かせる特徴があります。奥歯を後ろに動かすと前にある歯も動くので、抜歯しなくても
充分なスペースが確保できるでしょう。ただし、親知らずがある人は抜歯する可能性があります。また、顎が小さい人は奥歯を動かせない可能性が高いでしょう。
IPR調整でスペースを作れる場合
IPRで歯が動くスペースを確保できる場合は、抜歯の必要がなくなる可能性があります。IPRは、歯を削ることによって歯が動くスペースを確保する治療です。歯の表面にあるエナメル質を0.1mm程度削ります。健康な歯を削ることにはなりますが、ほんの少しだけ削る治療のため、歯が弱くなったり、知覚過敏になったりするリスクは低いです。歯が動くスペースを作るだけでなく、大きさや形を揃えるためにも使われる治療法です。
歯列を広げられる
歯列を広げて歯の間に隙間を作れる場合、抜歯しなくてもよいでしょう。マウスピース矯正は歯に力を加えて歯列を外側に広げられるため、歯が並ぶスペースが確保できます。また子どもの場合は、マウスピースで顎の成長を促すことでスペースが確保できる可能性があります。ただし、重度の八重歯や乱抗歯の場合は、マウスピースだけで移動させることは難しく、抜歯する可能性があります。
抜歯するメリット・デメリット
マウスピース矯正は周りにばれずに治療ができるため、とても人気です。しかし治療にはデメリットもあります。メリット・デメリットの両方を押さえ、治療するかどうかを検討しましょう。
マウスピース矯正で抜歯するメリット
抜歯してマウスピース矯正すると、以下のようなメリットがあります。
- 歯が動かしやすくなる
- 治療期間が短縮できる可能性がある
- 前歯の突出感(口ボゴ)が少なくなる
抜歯することで歯が動くスペースを作りやすくなるため、難しい症例でも歯並びを美しくしやすくなります。また抜歯せずに矯正する場合は、動かす距離が大きかったりたくさんの歯を動かさなければいけなかったりと、矯正に時間がかかります。抜歯するとスペースが作りやすく、使用するマウスピースの数も減らせるため、治療期間だけでなく、費用も減らせる可能性があるでしょう。また、前歯を後ろに下げられるため、前歯の突出感やいわゆる口ゴボが目立たなくなることもあります。
マウスピース矯正で抜歯するデメリット
マウスピース矯正で抜歯すると、以下のようなデメリットがあります。
- 健康な歯を失う
- 抜歯後に痛みや腫れがともなう可能性がある
- 治療中の見た目が気になることがある
抜歯する目的は、歯を動かすスペースを作るためや、見た目を整えるためです。健康な歯を矯正のために抜かなければいけない点が、最大のデメリットといえるでしょう。また、抜歯した後は、痛みや腫れが気になる場合があります。抜歯した後は歯と歯の間にスペースができてしまうので、一時的に見た目が悪くなります。接客業などの人は、見た目が気になることがあるでしょう。
抜歯するタイミング
マウスピース矯正は、抜歯後に傷が回復したら始めるケースが多いです。抜歯直後は歯槽骨が安定していないので、歯が動きやすい状態です。いつから矯正を始めるかも、抜歯前に確認しておくようにしましょう。
マウスピース矯正で治療する期間
マウスピース矯正の治療の目安は、部分矯正で1年未満、全体矯正は2年〜2年半かかります。マウスピース矯正の治療開始から完了までには、矯正期間と保定期間があります。矯正期間は歯を動かす期間で、保定期間は動き終えた歯を固定する期間です。保定期間中のケアを怠ると歯が戻ってしまう可能性があるので、この期間もしっかり保定装置を付けることが必要です。治療は長期間にわたるため、最後までやり遂げられるか、スケジュールを把握してから治療を始めるようにしましょう。
マウスピース矯正に関するよくある質問
マウスピースで抜歯するのにかかる費用は?
抜歯にかかる金額は、1本あたり5,000〜1万円です。マウスピース矯正の治療費は、保険適応になりません。そのため、虫歯治療で抜歯するよりも費用がかかる可能性があります。なおマウスピース矯正は、部分矯正であれば40万円〜、全体矯正であれば60万円〜が相場です。これにプラスして抜歯の費用がかかると思っておくとよいでしょう。
マウスピース矯正ではどの歯を抜く?
マウスピース矯正では、虫歯や先天的に問題のある歯、親知らずなどがあれば、それを抜歯します。虫歯などがなければ、小臼歯と呼ばれる、前歯から数えて4、5番目の歯を左右対象に抜くことが多いです。上下左右のバランスを取るために、上下左右で1本ずつ、計4本抜くケースが一般的です。
抜歯は矯正歯科でできる?
抜歯は、矯正治療専門のクリニックでは行えない場合があります。その場合は、歯科医院も同時に受診するようにいわれるでしょう。2つ以上の病院に通院しなければいけないため、手間がかかる可能性があります。可能であれば、矯正と抜歯の両方ができるクリニックに通うのがおすすめです。
まとめ
マウスピース矯正は、従来のワイヤーで行うよりも目立ちにくい矯正です。周りに気づかれにくい矯正方法のため、とても人気があります。マウスピース矯正を行う際、歯の生えている位置が悪かったり、顎がもともと小さかったりする人は、抜歯する可能性があります。健康な歯を抜く必要がありますが、歯を動かしやすくなったり、治療期間が短くなったりと、メリットも多いです。
海岸歯科室では、マウスピース矯正(インビザライン)と抜歯の治療を両方行っています。抜歯が必要かどうかも診察した上で判断していますので、ぜひお気軽にお越しください。
監修:理事長 森本 哲郎