矯正が終わったあとの保定装置であるリテーナーに痛みを感じるとき、原因がわからないと不安に感じる方もいるでしょう。

 

そこで今回は、リテーナーに関する痛みの原因5つと対処方法を詳しく解説します。

痛みの原因を知ったうえでリテーナーを適切に使い、苦痛なく美しい歯並びを維持しましょう。

 

リテーナーとは歯を安定させるための装置

 

リテーナーとは、矯正治療後の歯並びを維持する目的で用いられる保定装置です。

 

矯正を終えたばかりの歯は周囲の組織や骨が不安定で動きやすく、元の位置に戻ろうと「後戻り」が起きやすくなります。

 

歯が動きやすい状態のまま食事や会話を続けると、簡単に歯並びは乱れます。

長い時間をかけて手に入れた美しい歯並びを安定させるために、保定装置は適切に装着しましょう。

 

リテーナーが痛い原因5つ

 

リテーナーが痛む原因は、主に以下の5つです。

 

<リテーナーによる痛み>

久しぶりに装着して歯並びが変わっている
リテーナーの形が合わず舌や歯茎にあたっている
リテーナーが変形・破損している
装着時間が短く歯が後戻りしている
正しく装着できていない可能性がある

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

久しぶりに装着して歯並びが変わっている

矯正が終了したあとは毎日リテーナーでの保定が重要であり、怠ると歯が後戻りする可能性があります。

久しぶりに装着したときに痛みが生じる原因は、リテーナーが後戻りで合わなくなっているためです。

 

特に、矯正治療が終わったあと約6ヶ月は周囲の組織や歯の根本の骨が不安定であり、後戻りが起きやすい状態です。

半日外すだけでも後戻りは進むため、忘れずに自己管理しましょう。

 

リテーナーの形が合わず舌や歯茎にあたっている

リテーナーは一人ひとりに合わせて作成するものの、形が合っていない場合は舌や歯茎にあたり痛みを生じます

使い始めの時点で痛みを感じる場合は、歯科医師に相談し適切な形に調整してもらう必要があります。

 

リテーナーが変形・破損している

リテーナーの素材によっては、使い続けるうちに変形したり破損したりします。

丁寧に扱っているつもりでも、実は間違った装着方法や手入れをしている可能性があります。

 

長期間使っていたにも関わらず急に痛みがでる場合は、装置の状態を確認してください。

 

装着時間が短く歯が後戻りしている

矯正治療が終了しても、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が生じます。

 

保定を適切におこなわなければ美しい歯並びや噛み合わせがキープできず、少しずつ痛みが出てくる可能性があるでしょう。

後戻りが進むと歯並びや噛み合わせが悪い状態に戻り、長い期間と高い費用が無駄になる恐れがあります。

 

正しく装着できていない可能性がある

リテーナーを適切に装着しないと、歯に不要な圧力がかかったり装置の一部が歯茎や舌に当たったりして痛みが生じます。

歯に密着するように気をつけながら、正しい方法で装着しましょう。

 

リテーナーが痛いときの対処方法

 

リテーナーが痛いときの対処方法は、以下4つです。

 

<リテーナーが痛いときの対処法>
リテーナーを調整してもらう
リテーナーを正しく装着する
食事と歯磨き以外は装着を徹底する
それでも痛みが改善されなければ矯正歯科医へ相談する

 

それぞれ詳しく説明します。

あてはまるかチェックしてみてください。

 

リテーナーを調整してもらう

歯茎や舌に当たって口内が痛んだり噛み合わせが悪くなったりする場合は、リテーナーの形状が合っていない可能性があります。

 

使い続けると悪影響がでるため、歯科医師へ調整を依頼しましょう。

痛む箇所や痛むタイミングなどを細かく伝えると、精度の高いリテーナーに整えてもらえます。

 

リテーナーを正しく装着する

リテーナーが痛むときは正しい方法で使用すると、痛みが一時的なのか判断できます。

正しい装着方法は、指で前歯から奥歯へはめる流れです。正しく着けられれば全体が密着し違和感を最小限に抑えられるでしょう。

 

指を使わずに噛んで装着する方法は、破損につながるため避けてください。

 

食事と歯磨き以外は装着を徹底する

推奨されるリテーナーを着ける時間は、使用開始時で1日20時間以上です。

最終的には寝る間のみになるよう、徐々に着ける時間を減らしていきます。

 

着け始めから約6ヶ月は歯が動きやすいため、食事と歯磨き時以外は着けて自己判断で中断しないよう気をつけましょう。

 

それでも痛みが改善されなければ矯正歯科医へ相談しよう

正しい使い方でも痛みが改善されない場合は、我慢せずに歯科医師へ相談しましょう。

自己判断で使用を中断すると、後戻りのリスクが高まります。

 

また、リテーナーの形に問題があると分かっていても、自分で工具を使って調整すると破損につながります。絶対に避けてください。

 

リテーナーは変形・破損に注意しよう

リテーナーはデリケートなため、変形や破損をさせないよう丁寧に取り扱う必要があります。

 

脱着する際は、装着時は前歯から・外すときは奥歯からおこないます。

前歯から外すと前部分に力が加わり破損につながるため、必ず奥歯から指を使って外しましょう。

 

また、メンテナンス時にはぬるま湯と歯ブラシで毎日優しく洗浄し、医師の指示がある場合は特殊な洗浄剤を使ってください。

洗浄後は漬けおきや濡れたままにしておくと、雑菌やカビが繁殖します。しっかり乾燥させ、清潔な状態を保つことが大切です。

 

リテーナーに関するよくある質問

 

リテーナーに関するよくある質問をまとめました。不安なく保定期間を過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。

 

リテーナーはいつまで装着する必要がある?

リテーナーは1〜3年ほど着ける必要があり、矯正治療と同程度の期間を要します。

骨や歯の周囲組織の状態によっては、保定期間が3年以上と長期になる場合もあります。

 

保定期間中は毎日20時間も着ける必要はなく、歯列が安定すると装着時間はしだいに短くなります。

 

リテーナーを装着したまま食事は可能?

食事の際は、汚れの付着や破損を避けるためにもリテーナーを必ず外してください。

リテーナーの素材は高温に弱いため、熱い物を飲むときは外しましょう。

 

また、コーヒーや紅茶などの着色しやすい飲み物をとるときも、外すのがおすすめです。

 

歯が後戻りした場合は再度歯列矯正が必要?

後戻りの程度や状態によっては、リテーナーの再作成や歯列矯正が必要になります。

 

リテーナー自体に後戻りした歯を治す効果はなく、合わない保定装置を使い続けても効果は期待できません。

久しぶりに保定して痛みが出る場合は後戻りの可能性が高いため、迷わず歯科医師へ相談してください。

 

再度矯正治療をした際の費用は?

リテーナーを作り直したり再矯正したりする場合、以下の費用がかかります。

 

・リテーナー再作成の費用

5,000円~50,000円

・後戻り時の再矯正費用の目安

軽度:初期費用の4~6割
重度:初期費用の7~8割

再矯正の費用は後戻りの状態や原因によって変動します。具体的な費用は歯科医院により異なるため、直接確認するのがおすすめです。

 

リテーナーはマウスピースタイプのみ?

リテーナーはマウスピースタイプのほか、プレートタイプとワイヤータイプ(フィックス)があります。

1. マウスピース

メリット 透明で目立ちにくい

デメリット 歯ぎしりで壊れやすい

取り外し 〇

2. プレート

メリット 耐久性がある

デメリット 前歯からワイヤーが見える

取り外し 〇

3. ワイヤー(フィックス)

メリット 歯の裏側で目立ちにくい

デメリット 歯垢や歯石がつきやすい

固定式

マウスピースタイプとプレートタイプは取り外しが可能なため、衛生的で虫歯のリスクが低くなります。

一方、歯の裏面に固定するワイヤータイプは脱着は必要ないものの、ブラッシングが不十分だと虫歯になりやすくなるでしょう。

 

まとめ

リテーナーの痛みには多くの原因があり、適切な対処が必要です。

 

痛みの大きな原因である後戻りは、正しい保定時間や期間を守ることで防げます。

痛みを感じる場合は放置せず、些細なことでも歯科医師に相談してください。

 

「世界一優しい歯科医院」を目指す海岸歯科室は、歯列治療に関する不安や疑問に耳を傾け、患者さんに寄り添った治療をおこなっています。

リテーナーの痛みでお困りの方は、ぜひ当院までお越しくださいませ。

監修:理事長 森本 哲郎