ワイヤー矯正による歯科治療は比較的費用が安く、どのような歯並びにも対応できます。
近年では、大人になってから歯科矯正をおこなう人も増えてきました。
そこで今回は、ワイヤー矯正の仕組みや種類、メリット・デメリットを詳しく解説します。
気になる費用相場やマウスピース矯正との違いも紹介しますので、歯並びを綺麗にしたい方はぜひ参考にしてください。
ワイヤー矯正の歯科治療とは?
ここでは、ワイヤー矯正を以下3点で解説します。
<ワイヤー矯正の概要>
ワイヤー矯正の仕組み
ワイヤー矯正の方法
ワイヤー矯正の装置
それぞれ詳しくみていきましょう。
ワイヤー矯正の仕組み
ワイヤー矯正とはブラケットと呼ばれる中心に溝がある装置を歯に装着し、そこにワイヤーを通して少しずつ力を加えて歯を移動させる方法です。
装置を着けるときは歯の軸や隣り合った歯の向きに合わせ、調整していく必要があります。
ワイヤー矯正の方法
ワイヤー矯正の主な方法は、以下4つです。
1. 唇側矯正(表側矯正)
歯の表面にブラケットとワイヤーを装着する一般的な方法。歯の外側になるため目立ちやすい。
2. 舌側矯正(裏側矯正)
歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着する方法。
目立ちにくいが、装置に舌が当たるため違和感が出るときもある。
3. ハーフリンガル矯正(上顎は表、下顎は裏の矯正)
上側は舌側矯正で、下側を唇側矯正でおこなう方法。
上側の矯正装置が目立ちにくく、費用が抑えられる。
4. 部分矯正
問題がある部分だけを矯正する方法。
軽度の出っ歯や八重歯だけを治したい人向き。
矯正には全体の歯列を治療する「全顎(全体)矯正」と、問題がある部分だけを治療する「部分矯正」があります。
根本的に嚙み合わせや歯並びを改善したい場合には全顎矯正、軽度の出っ歯やすきっ歯などで悩んでいる場合は部分矯正が適しています。
ワイヤー矯正の装置
ワイヤー矯正の装置にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
ワイヤー矯正装置の種類
1. メタルブラケット
一般的な素材で安価。耐久性があるが目立つ。
2. セラミックブラケット
天然の歯と似た材質。丈夫で着色しにくい。
3. プラスチックブラケット
セラミックより安価。目立ちにくいが、強度が低く着色しやすい。
4. ホワイトワイヤー
ブラケットに通すワイヤーを白い材質でコーティング。
セラミックブラケットと組み合わせると、より目立ちにくい。
費用や耐久性・目立ちやすさなど、重要視する内容で歯科医院に相談してみてください。
ワイヤー矯正のメリット5つ
ワイヤー矯正には以下5つのメリットがあります。
<ワイヤー矯正のメリット>
適応範囲が広い
装着中の発音に影響がない
高い治療結果が得られる
治療期間を短縮できる
料金がリーズナブルである
ワイヤー矯正は症例を問わずさまざまな矯正ケースに対応できるため、歯並びが悪く大きく歯を動かす必要がある状態でも可能です。
人前で話す機会が多い方や喋りにくくなるストレスを避けたい方は、舌の動きを邪魔しない唇側矯正を選ぶのがおすすめです。
また、ワイヤー矯正はほかの矯正方法と比べると治療期間が短く、高い治療結果も得られます。整っていく様子が見た目にもわかりやすいため、効果を実感しやすくなります。
歯科矯正の治療は保険適用外ですが、比較的価格がリーズナブルなワイヤー矯正はもっとも費用が抑えられる歯科矯正治療といえるでしょう。
ワイヤー矯正のデメリット5つ
一方、ワイヤー矯正には以下5つのデメリットもあります。
<ワイヤー矯正のデメリット>
矯正装置が目立つ
食事しにくい
歯磨きがしにくい
痛みが出る場合がある
矯正装置で口内が傷つくことがある
ワイヤー矯正は口もとの矯正装置が目立ちやすく、気になる方もいます。
また、ブラケットが外れる可能性のあるりんごやせんべいなどの固い食べ物や、キャラメルやガムなどの粘着性の高い食べ物は、装置に引っかかる場合があり注意が必要です。
ワイヤー矯正中は装置が外せないため、歯磨きもしにくくなります。
そのため、月に一度のワイヤー調整の際に、歯科医院でクリーニングしたり虫歯・歯周病を確認したりすることが重要です。
ワイヤー矯正は力で歯並びを治していくため、一時的に頭痛や口元の痛みが出る場合もあります。
一般的に、痛みのピークは約36時間後で、落ちつくまでには早い方で3日ほど、遅くとも1週間ほど必要です。
矯正装置で口内が傷つき口内炎を引き起こす場合もあるため、痛みが生じたときは歯科医院にあるワックス(装置につける保護材)を使用しましょう。
ワイヤー矯正の注意点
ワイヤー矯正をする際には、以下2点に注意が必要です。
<ワイヤー矯正の注意点>
矯正中は月に一度のメンテナンスが必要
矯正期間の終了後は定期的なアフターケアが必要
矯正前に注意点を把握しておきましょう。
矯正中は月に一度のメンテナンスが必要
ワイヤー矯正中は調整のために歯科医院を受診し、定期的なメンテナンスが必要です。
矯正中は装置が邪魔をして歯磨きもしにくいため、トラブルをおこさないようにクリーニングもおこないます。
矯正期間終了後は定期的なアフターケアが必要
矯正期間が終了しても永久的に安定するわけではなく、定期的なアフターケアが必要です。
歯にはもとの位置に戻ろうとする力が働くため「保定装置」を装着して状態を安定させます。
ワイヤー矯正の費用は?
ワイヤー矯正の費用は種類別で異なり、いずれも保険が効かないため相場は比較的高めです。
そのため、多くの歯科医院は分割払いやクレジットカードなど、さまざまな支払い方法に対応しています。
表側矯正(ワイヤー矯正) 60~130万円
裏側矯正(舌側矯正・リンガル矯正) 100~170万円
ハーフリンガル矯正 80~150万円
部分矯正 30~60万円(裏側矯正:40~70万円)
※費用について詳しくは当院へお問い合わせください。
歯科医院によっては、来院ごとに料金を支払う方法や一括で総額費用を支払う方法が存在します。
予算を把握するためにも、あらかじめ料金や支払い方法は確認しておきましょう。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正との違い
ワイヤー矯正以外にも、マウスピースで矯正する方法があります。
マウスピース矯正とはワイヤーやブラケットを使わず、透明なマウスピース型の装置で歯を動かす新しい方法です。
1. ワイヤー矯正
特徴
・ワイヤーとブラケットを使用
・固定式
メリット
・幅広い症例に対応
・歯の移動が速い
・固定式で自己管理が楽
デメリット
・目立ちやすい
・食事や歯磨きがしにくい
・痛みを感じる場合がある
治療期間 約2年
効果 ほぼ確実に得られる
費用 60~170万円
適用症例 骨格性の問題以外ほぼすべての症例に対応
2. マウスピース矯正
特徴
・透明なマウスピースを使用
・つけ外し可能
メリット
・目立たない
・食事や歯磨き時に外せる
・痛みや違和感が少ない
デメリット
・適用症例が少ない
・つけ外しに自己管理が必要
・装着中は食事不可
治療期間 約1~2年
効果 装着時間に比例する
費用 60~100万円
適用症例
・出っ歯
・すきっ歯
・受け口
・八重歯など
※大きく歯を動かす治療や嚙み合わせの矯正は不可
マウスピース矯正は食事時の取り外しが可能で周囲の人にも気付かれにくいため、矯正装置を目立たせたくない方に向いています。
一方、ワイヤー矯正は見た目が目立つ反面、さまざまな症例に適応でき高い効果が期待できます。
ワイヤー矯正のよくある質問
ワイヤー矯正についてよくある疑問3つにお答えします。
<ワイヤー矯正の疑問>
ワイヤー矯正中はキスできる?
ワイヤー矯正中に歯がぐらぐらするけれど大丈夫?
装置を目立たないものにできますか?
治療中に抱きやすい疑問を、あらかじめ確認しておきましょう。
ワイヤー矯正中はキスできる?
ワイヤー矯正中でもキスはできますが、矯正装置で相手の口内を傷つけてしまう可能性があるため、方法には気をつける必要があります。
心配な方は、装置が当たりにくい裏側矯正を選びましょう。
ワイヤー矯正中に歯がぐらぐらするけれど大丈夫?
歯がぐらぐらするのは矯正による「動揺」と呼ばれる現象であり、心配いりません。
ワイヤー矯正だけでなくマウスピースの矯正中にも起こります。
装置を目立たないものにできますか?
歯の色になじむ目立ちにくい矯正装置もあり、おすすめはセラミックブラケットや白いワイヤーです。
ほかにもさまざまな素材がありますが費用や強度に違いがあるため、よく理解して選ぶ必要があります。
まとめ
ワイヤー矯正は適応症例が幅広く、高い効果が期待できる矯正方法です。
一方で、痛みを感じたり口内トラブルが起きやすかったりと、注意しなければならない点もあります。
装置の種類や方法も比較検討し、最適な矯正治療を選びましょう。
インプラント・矯正歯科の海岸歯科室は、患者さんに寄り添った治療を提案します。
自分にはどのような歯科矯正が合っているのか知りたい方は、ぜひ海岸歯科室までご相談ください。
監修:理事長 森本 哲郎