抜歯後に噛み合わせを戻す治療法には入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類がありますが、選び方に悩む方もいるでしょう。

治療後に後悔しないためにも、それぞれの治療法の違いやメリット・デメリットをよく理解したうえで決めることが大切です。

 

そこで今回は、抜歯を予定している方や抜歯後の治療法を検討している方に、それぞれの特徴を比較し紹介します。自分に合った治療法を選ぶために、ぜひ参考にしてください。

入れ歯・ブリッジ・インプラントを5項目で比較

抜歯後の治療法には入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つがあり、治療法や使用感・寿命などが異なります。

ここでは、3つの治療法を以下5つの観点から比較します。

 

1. 入れ歯

・治療法 両隣の歯を少し削り金属のバネをかける

・違和感 あり

・審美性 金属のバネが目立つ

・寿命 3~5年程度

・費用 保険適用

 

2. ブリッジ

・治療法  両隣の歯を削り、被せ物を入れる

・違和感 ほぼなし

・審美性 被せ物の金属部分が目立つ場合がある

・寿命 7~8年程度

・費用 保険適用

 

3. インプラント

・治療法 外科手術をおこない人工歯根を埋め込む

・違和感 ほぼなし

・審美性 天然歯のように自然

・寿命 10〜15年程度

・費用

 

それぞれの違いを知ったうえで、自分に合った治療法を検討しましょう。

治療法

入れ歯とブリッジは治療法が異なるものの、どちらも外科手術は必要ありません。

一般的に、部分入れ歯は抜歯した歯の両隣にクラスプと呼ばれる金属のバネをかけ、人工歯を入れます。

 

バネがかかる歯を少し削りますが、比較的手軽に治療可能です。

ブリッジは固定式の被せ物を入れるため、抜歯した前後の歯が健康な状態でも全周にわたり削らなければいけません。

 

一方、インプラントは抜歯した部分の歯茎を切開し、顎の骨に金属製の人工歯根を埋め込む外科手術をおこないます。

手間はかかるものの、歯を削る必要がないため入れ歯やブリッジのように周りの歯への負担はありません。

 

違和感の有無

違和感でみると、自分で取り外す入れ歯のみ、慣れるまで異物感をおぼえやすい治療法です。

また、金属のバネだけでは入れ歯が固定されず不安定なため、咀嚼や発音もしにくく生活に支障が出る可能性もあります。

 

一方、固定式のインプラントやブリッジは違和感もほぼなく、天然歯と同じように咀嚼・発音が可能です。

ただし、ブリッジは抜歯した本数が増えるほど、支えとなる歯の負担が増えるため咀嚼力が低下します。周囲の歯に負担を与えないインプラントは、咀嚼や発音に影響なく使えるでしょう。

 

審美性

外見の美しさでは、セラミックを採用することが多いインプラントがおすすめです。

セラミック素材は変色しないため、天然歯のように自然な仕上がりで長く綺麗に保てるでしょう。

 

一方、保険適用内の入れ歯やブリッジは金属が目立つ場合がありますが、いずれも保険適用外の自費診療で改善可能です。

 

寿命

寿命がもっとも長いのは、10〜15年ほどのインプラントです。

しかし、セルフケアやメンテナンスを怠ると、早い段階で使えなくなることもあるため注意しましょう。

十分にケアすれば、寿命以上に長く使える治療法です。

 

次いで寿命が長いのが一般的に7〜8年といわれるブリッジで、支えている歯の状態や清掃状態によって期間にも個人差があります。入れ歯は経年劣化による破損や抜歯などの口腔内の変化から、3〜5年で修理または新製するケースが多くみられます。

 

費用

入れ歯とブリッジは基本的に保険が適用される一方、インプラントは保険適用外です。

自費診療であり、相場は総額300,000〜400,000円ほどです。

 

自費診療を希望する場合は治療する本数や使用する材料によって金額が変わるため、事前に歯科医師と十分に相談しましょう。

 

3つの治療法のメリット・デメリット

治療法を選択する際には、それぞれ以下のメリット・デメリットを考慮する必要があります。

 

1. 義歯(入れ歯)

メリット

・着脱式でお手入れしやすい

・保険適用で治療費を抑えられる

・全身疾患や口腔内に問題がある方も治療可能

 

デメリット

・外れやすく慣れるまで違和感がある

・固定式に比べて噛みにくく発音しづらい

・バネの金属色が目立つ

 

2. ブリッジ

メリット

・固定式で天然歯とほぼ同様に噛める

・保険適用で治療費が抑えられる

・比較的に短期間で治療が終了する

 

デメリット

・土台の歯が健康でも削る必要がある

・支えとなる歯に負担がかかる

・汚れが溜まりやすく歯周病や虫歯のリスクが高い

 

3. インプラント

メリット

・固定式で天然歯と同様に噛める

・歯を削る必要がなく周囲の歯への負担が少ない

・白い材質で入れると見た目が自然になる

 

デメリット

・全額自費で外科手術が必要

・治療期間が長い

・全身疾患や顎の骨の状態によって治療できないケースがある

 

義歯(入れ歯)・ブリッジ・インプラントのメリット・デメリットを詳しく解説しますので、参考にしてください。

 

義歯(入れ歯)

着脱式である義歯はお手入れしやすく、保険内で治療できるため費用が抑えられメリットがあります。また、手術も不要であり、全身疾患や口腔内の問題があっても治療に影響しません。

 

一方、入れ歯には着脱や装着状態に慣れるまでの時間がかかり、バネの見た目が目立つデメリットがあります。

 

ブリッジ

固定式であるブリッジは入れ歯より違和感が少なく、自分の歯と同じように噛めます。また、保険適用で費用が安く済み、インプラントと比べて治療期間が短いのもメリットの一つです。

しかし、ブリッジを装着するには抜歯した両隣の歯を削る必要があり、健康な歯まで寿命を縮めてしまう恐れがあります。被せ物の形態上汚れが溜まりやすく、セルフケアやメンテナンスを怠ると寿命が短くなるでしょう。

 

インプラント

顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラントは、周囲の歯への負担もなく自分の歯と同様に噛めるメリットがあります。材質をセラミックにすることで、より自然な口元を再現できるでしょう。

 

一方、インプラントのデメリットは外科手術が必要であり、インプラント体と顎の骨が結合するまで3〜6ヶ月ほどかかることです。治療期間が長くなり、保険適用外でもあるため金銭的負担も大きくなります。

 

抜歯後の治療方法を選ぶ3つの基準

抜歯後の治療法はそれぞれのメリット・デメリットを理解し、優先したい基準を満たす方法を選びましょう。

一般的に優先されやすい治療法の選び方は、以下3つです。

 

<治療法の選び方>

1. 保険適用内で治す

2. 見た目を考慮して治す

3. 周りの歯に負担をかけずに治す

それぞれ詳しく説明しますので、参考にしてください。

 

保険適用内で治す

保険適用内で治したい方は、入れ歯かブリッジを選択しましょう。どちらも同じ保険適用内とはいえ治療法は大きく異なるため、費用以外に何を優先したいかが重要です。

 

健康な歯をできるだけ削りたくない方は、大きく歯を削る必要がない入れ歯がおすすめです。自分の歯と同様に違和感なく噛みたい方は、固定式のブリッジを選択するケースが多くみられます。ブリッジを入れるために削った歯質はもとに戻らないため、歯を削ることに抵抗がある方は慎重に選択する必要があります。

 

見た目を考慮して治す

見た目を優先したい方は、ブリッジかインプラントを選びましょう。保険適用のブリッジで金属の見た目が気になる方は、自費診療のセラミックを使うと天然歯のような白い歯に仕上がります。

 

また、健康な歯を削らず周りの歯に負担をかけたくない方は、抜歯した部分のみの治療で済むインプラントがおすすめです。しかし、インプラントは外科処置が必要であるため、手術を避けたい方や全身疾患や口腔内の状態により手術できない方はブリッジを選んでください。

 

周りの歯に負担をかけずに治す

周りの歯に負担をかけたくない方は、インプラントを選びましょう。インプラントは入れ歯やブリッジのように周りの歯を支えにする必要がなく、負担を減らせるうえ治療後も快適に過ごせます。

 

入れ歯は歯を削る量は少ないものの、バネをかける歯への負担はでてきます。

 

まとめ

入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つの治療法にはメリット・デメリットがあり、選ぶときは患者さんの優先したい基準によって判断します。しかし、自分に合った治療法を1人で選択するのは難しいため、納得できるよう担当医とよく相談しながら決めましょう。

 

海岸歯科室では、時間や費用・治療内容などすべて納得いただいたうえで治療をすすめます。マウスピースによる歯科矯正・インプラント・口臭ケアと幅広く施術可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

監修:理事長 森本 哲郎