「出っ歯の症状が気になる」「人の目が気になって口元を隠してしまう」など、出っ歯にお悩みの人も多いでしょう。出っ歯は自然に治癒する症状ではないため、治すためには病院で治療する必要があります。しかし、治療方法について詳しく知らないという人も多いでしょう。

この記事では、出っ歯を治す方法やおすすめの治療法、治療にかかる費用などに関しても詳しく紹介します。出っ歯を治したいと思っている人は、ぜひ最後までお読みください。

出っ歯は自分では治せない

出っ歯を自分で治すのは難しく、おすすめもできません。自分で出っ歯を押したり市販販のマウスピースを使って矯正したりする方法もありますが、歯が折れたり抜けたりするリスクがあります。

出っ歯はただ押して正しい位置に戻すだけでなく、噛み合わせなどを見ながら慎重に整えていく必要があります。医師であっても高度な知識やスキルが必要な治療のため、自力で治そうとするのはやめた方がよいでしょう。

出っ歯を治す2つの矯正方法

出っ歯を治すためには、以下の2つの矯正方法があります。

• 全体矯正
• 部分矯正

それぞれの矯正方法について、違いを見ていきましょう。

全体矯正

全体矯正は、歯を全体的に動かして噛み合わせや見た目を治療する方法です。すべての歯を動かせるので、重症度の高い出っ歯でも治療できます。出っ歯の症状によっては全体矯正でしか治療できない可能性もあるため、医師に相談してみましょう。

全体矯正は、治療に1〜3年かかります。また、部分矯正よりも治療費用が高いです。治療方法にもよりますが、60〜180万程度かかる可能性があるでしょう。

時間がかかっても奥歯から歯並び全体を綺麗に整えたい人、噛み合わせの不具合を治療したい人などは、全体矯正が向いています。

部分矯正

部分矯正は、前歯など一部の歯並びだけ治療する方法です。一般的には笑ったときに見える前歯の部分を矯正するケースが多いです。出っ歯だけを矯正したい場合は、部分矯正が向いているでしょう。部分矯正は全体矯正よりも歯を動かす範囲が狭いので、費用が安く済む傾向があります。また、矯正期間も1年程度と短く済むでしょう。

出っ歯などの目立つ部分のみを矯正したい人や、できるだけ治療期間やコストを抑えて矯正したい人は、部分矯正を選ぶとよいでしょう。

出っ歯の人に起こりやすいリスク

出っ歯の人は、下記の3つのリスクが起こる可能性があります。

• 見た目のコンプレックス
• 健康上のリスク
• 虫歯や歯周病のリスク

それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。

見た目のコンプレックス

出っ歯の人は、見た目にコンプレックスを抱える可能性があります。出っ歯の場合横顔が特徴的な顔つきになることで、自分に自信をなくしてしまう人もいるのです。

上唇が盛り上がって見えることや、人によっては発音が難しいことなどから、出っ歯を治したいと思う人もいます。

健康上のリスク

出っ歯の人は、唇を閉じにくいため、口が開いている状態が長くなりやすいです。口内の乾燥状態が続くと、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかるリスクが高くなります。口内が乾燥すると唾液の分泌が低下するため、最近が増殖しやすくなり、感染症にかかりやすくなってしまうのです。

また、出っ歯になると噛み合わせが悪くなるため、食べ物を噛みにくくなります。食べ物を小さく噛みきれずに大きいまま飲み込むようになると、胃腸にかかる負担が大きくなり、胃腸の健康リスクが大きくなるのです。

虫歯や歯周病のリスク

出っ歯の人は口を閉じにくく口内が乾燥して免疫力が低下しやすいため、虫歯や歯周病のリスクもあります。また、出っ歯の人は歯並びがでこぼこしているため、歯磨きも難しいです。磨き残しが多くなることで、虫歯や歯周病のリスクが高まることもあります。

出っ歯を治す治療法

• マウスピース矯正（インビザライン）
• ワイヤー矯正
• インプラント矯正
• 外科手術

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

マウスピース矯正（インビザライン）

マウスピース矯正（インビザライン）とは、透明なマウスピースを装着し、徐々に歯を動かしていく矯正法です。マウスピースによって歯槽骨に力を加え、歯を動かしていきます。ワイヤー矯正とは異なり、透明の矯正器具のため目立ちにくく、食事や歯磨きの際など、好きなタイミングで取り外すことも可能です。ワイヤー矯正の見た目がネックで矯正治療を始められなかった人も、マウスピース治療であれば始めやすいでしょう。

ただし、マウスピース矯正を行う場合は、1日20時間以上マウスピースをはめたままにする必要があります。マウスピースを付けるのを忘れてしまうと、出っ歯が元の位置に戻ってしまう可能性もあるので気をつけましょう。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる器具を付けてワイヤーを通し、正しい位置に歯を動かす治療法です。適応範囲が広いため、様々な症例の人でも対応できます。マウスピース矯正では対応できない重度の出っ歯の人でも、ワイヤー矯正であれば治療可能です。

ただし、ワイヤー矯正の場合は歯の表面にワイヤーを通すことになるので、装置が目立ったり、食事がしにくかったりといったデメリットがあります。見た目が気になる人は、裏側にワイヤーを通す方法もあるので、病院で相談してみましょう。

インプラント矯正

インプラント矯正とは、矯正用の小さなネジを上顎や下顎の骨にネジを埋め込んで歯を移動させる方法です。顎の骨に埋め込んだネジを固定源として動かすため、従来の矯正よりも効率よく短時間で歯を動かしやすいことが特徴です。前歯を大きく後ろに下げるなど、大きな移動を伴う場合は、インプラント矯正が向いています。

インプラント矯正は、顎の骨にネジを埋め込むため、外科的な処置が必要になります。また、稀にネジが脱落してしまう場合もあるので、デメリットを理解した上で治療を受けるようにしましょう。

外科手術

外科手術は、重度の出っ歯や骨格的な問題がある場合に行う治療法です。外科手術はワイヤー矯正などではできない複雑なケースでのみ推奨される方法で、矯正歯科医と口腔外科医が連携して治療します。手術には10日〜2週間程度の入院が必要です。手術で顎の位置を修正し、出っ歯の根本的な原因を解消、正常な噛み合わせを目指します。

出っ歯を治すための費用

出っ歯の治療には、マウスピース矯正の場合10〜30万、ワイヤー矯正の場合60〜90万円程度かかります。外科手術の場合は保険が適用になるケースも多く、30万円程度です。治療方法や治療期間、適応範囲などによって費用が異なるので、治療前によく確認してから決めるようにしましょう。

出っ歯の治療後に気をつけること

出っ歯の治療後には、出っ歯が後戻りしないように気をつける必要があります。治療後の注意点を3つ紹介します。

リテーナーを付けて後戻りを防ぐ

ワイヤー矯正やマウスピース矯正後には、リテーナーと呼ばれる保定装置を付ける期間があります。リテーナーを付けることで、歯が元の位置に戻らないようにする効果が期待できます。リテーナーを付ける期間は、矯正期間と同程度です。

リテーナーを付けるのを忘れると出っ歯が元の位置に戻ってしまう恐れもあります。医師に決められた期間は必ず装着するように気をつけましょう。

前歯を押す癖をやめる

前歯を舌で押したり、爪を噛んだりする癖がある人は、出っ歯になる可能性があります。大人の歯は子どもに比べると骨や歯根が動きにくいため、癖が原因で大きく歯が動く可能性は少ないです。しかし、長期間続けると歯に圧力がかかって出っ歯になる可能性もゼロではありません。

そのまま癖を直さないでいると、せっかく治療してもまた出っ歯が目立つようになる可能性があるため、意識してやめるように気をつけましょう。

定期的に検診を受ける

出っ歯の治療が終わっても、定期的に検診を受けましょう。リテーナーを付けていても、歯が後戻りする恐れはあります。治療後の状態が良好かどうか、しばらく医師にチェックしてもらうのがおすすめです。

出っ歯を治す際によくある質問

出っ歯の治療に関してよくある質問3つについて回答します。

出っ歯の治療にはどれくらいの期間がかかる？

出っ歯の矯正治療には、半年〜2年程度かかります。全体矯正と部分矯正の場合は全体矯正の方が期間が長くなる傾向があります。

矯正にかかる期間は、出っ歯の程度や矯正方法によっても大きく異なるので、実際にかかる期間は歯科医師に相談してみるとよいでしょう。

出っ歯は完全に治る？

出っ歯は、自分の症状に適した治療法を選択すれば治せます。軽度の出っ歯であれば、マウスピース矯正やワイヤー矯正で治療が完了します。骨格的な問題の場合は外科治療が必要です。また、治療後にリテーナーを付けるのを忘れると、完全に出っ歯が治ったとしても、元の状態に戻りやすくなってしまいます。医師の指導を守って治療を続けることが大切です。

出っ歯の原因は？

出っ歯の原因は、以下の例が挙げられます。

• 先天性の骨格
• 指しゃぶりなどの癖
• 歯ぎしり
• 口呼吸

出っ歯の原因は遺伝などの先天性な原因と、舌の癖などの後天的な原因があります。先天性の原因は自分で治すのが難しいですが、後天的な原因は自分でも気をつけることができるはずです。以前よりも出っ歯の状態がひどくなっていると感じている場合は、自分の癖を見直してみましょう。

まとめ

出っ歯は、矯正治療や外科手術で治療できます。出っ歯の程度や治療範囲によっても治療期間や費用が大きく変わるため、事前に医師によく確認した上で治療を始めるようにしましょう。

海岸歯科室では、インビザラインやマウスピース矯正などの矯正治療を行っています。一人一人の口内状態を見て適切な治療法を提案しておりますので、出っ歯を治療したいと考えている人は、ぜひお気軽にお越しください。

 

監修：理事長 森本 哲郎