出っ歯矯正の期間から方法までを徹底ガイド
- 2023年11月18日
- コラム
出っ歯が気になるという場合、矯正が必要となる場合があります。
出っ歯の矯正にはいくつかの種類があり、出っ歯の状態や各種条件によってどれを選ぶかを決めることになります。
今回はそんな出っ歯の矯正の種類と、それぞれの特徴について説明していきましょう。
矯正期間の基本概要
歯科矯正の治療期間は、患者の年齢、歯の状態、必要な矯正処置の種類や治療の複雑さによって異なりますが、一般的には1年半から3年程度が目安とされています。
ただし患者さんの状況や出っ歯の状態などによって矯正期間は異なってきます。
子供と成人で矯正期間が異なる
まずは年齢によっての矯正期間について説明していきましょう。
子供の場合、成長段階における自然な発達を利用できるため、矯正が比較的容易で、治療期間が短くなります。
一方、成人では骨格と歯が完全に成熟しているため歯を動かすのが難しく、治療期間が長くなる傾向があります。
出っ歯の状態によっても期間が変わる
年齢だけでなく、出っ歯の具合によっても矯正期間は変わってきます。
軽度の不正噛み合わせは比較的短期間で治療できますが、重度の症例ではより長い治療期間が必要になる場合があります。
その他、治療に使用する矯正装置の種類も、治療期間に影響を与える要因の一つとなります。
例えば、ブラケットとワイヤーを使用する矯正と、インビザラインと呼ばれる取り外し可能なマウスピースタイプの矯正装置では、適用される症例や治療のアプローチが異なるため治療期間が変わってきます。
さらに治療期間には個人差があります。
患者さんの口内の衛生状態や、患者さんの治療に対する取り組みによっても、期間は大きく変わる場合があるのです。
期間を短縮するために何ができるのか
矯正治療の期間を短縮するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、矯正期間中は定期的な歯科診察を受け、矯正装置の調整やメンテナンスを怠らないことが重要です。
矯正装置が適切に機能するようにするためには、指示されたスケジュールで歯科医師に診てもらうことが必要だからです。
もちろん歯科医師の指示どおりに、矯正装置のケアと口内衛生を徹底することも大切です。矯正装置が汚れたり、不適切なケアによって損傷すると、治療期間が延びてしまうかもしれません。
意外かも知れませんが、食生活にも注意が必要です。
硬い食品や粘着性のある食品は、矯正装置を破損させる可能性もあるため、治療期間中は摂取を避けるようにするべきです。
このように歯科医師のアドバイスに従い、適切な口内衛生を保ち、定期的なチェックアップを欠かさないことで、治療期間が長期化するのが避けられます。
出っ歯矯正の方法と選択肢
では続いて、出っ歯矯正のふたつの方法について見ていきましょう。
それぞれ異なる手法となり、特徴がありますので、自分に合った治療法を医師と共に選択することが可能です。
インビザライン(マウスピース)とワイヤー矯正の違い
マウスピース矯正とワイヤー矯正は、それぞれ異なるアプローチと特徴を持つ矯正方法です。
インビザラインというマウスピースを使った矯正は、透明な取り外し可能なマウスピースを使用し、これを定期的に交換しながら徐々に出っ歯を奥へ動かしていきます。
この方法の大きな利点は、マウスピースは外見的に目立たないため、日常生活において見た目の影響が少ないことです。
さらに取り外し可能であるため、食事や歯磨きの際に不便が少なく、口内衛生を維持しやすいのがメリットとなります。
マウスピース矯正は、一般的にはワイヤー矯正よりも治療期間が短いのもメリットのひとつでしょう。
ただし、マウスピース矯正は比較的軽度から中度の歯並びの矯正に適した矯正方法で、重度の不正噛み合わせや複雑な症例には適さない場合があります。
一方、ワイヤー矯正は、歯にブラケットを固定し、ワイヤーを通して歯を動かす方法です。
重度の不正噛み合わせや、複雑な歯並びの問題にも対応でき、患者の口内状況に合わせて細かく調整が可能で、より精密な治療が行えるため、広範囲にわたる矯正が必要な場合に適しています。
ブラケットとワイヤーが目立つこと、取り外しができないため食事や歯磨きの際に注意が必要であること、口内の不快感が生じやすいことなど、いくつかのデメリットもあります。
さらにワイヤー矯正は、より複雑な症例に対応できる反面、治療期間が長引くことがあります。
部分矯正と全体矯正の違い
出っ歯の矯正には、部分矯正と全体矯正の2つの方法があります。
部分矯正は特定の歯や歯列の一部に焦点を当て、出っ歯のようなある意味限定的な症状に対処するのに適していますが、治療の範囲が限られており、全体的な噛み合わせのバランスや顎の位置を改善することには限界があります。
一方、全体矯正は全ての歯並びと噛み合わせの問題を全体的に扱い、出っ歯だけでなく歯列の全体的な調整や顎の位置の改善が可能ですが、より複雑となり時間を要する治療となります。
比較すれば部分矯正よりは全体矯正の方が、歯並び全体の美しさと機能性の両方を改善できます。
どちらの治療方法を選択するかは、患者の具体的な歯並びの問題、美的な問題、噛み合わせの状態、生活スタイルやニーズによって異なり、適切な治療法の選択には詳細な診断と個別の治療計画が必要となります。
患者さんごとの最適な治療法の選び方
患者ごとに最適な矯正治療法を選ぶ際にはまず、患者さんの歯並びや噛み合わせの問題の程度と種類をチェックすることが重要です。
軽度から中度の不正噛み合わせは、マウスピース矯正で治療できますが、重度の症例や複雑な歯並びの問題は、ワイヤー矯正が適しています。
患者の年齢も重要な要素です。特に成人の患者さんは、歯や顎の骨が完全に成熟しているため、マウスピースでは不十分な場合があります。
患者さんのライフスタイルや、見た目に対する要望も考慮しなければなりません。
たとえば、目立たない治療法を好む患者さんは、透明なマウスピース矯正を選ぶでしょうし、治療期間を最優先する患者さんは、最も効果的な方法を選択するはずです。
また、治療コストと治療期間も重要です。一部の矯正治療法は高額になる場合があり、治療期間も選択する上で大切な要素となります。
出っ歯矯正のリスクと管理
では、出っ歯矯正にはどのようなリスクがあるのかについてもチェックしていきましょう。
さらに矯正中、矯正後にどのような管理をするべきかも知っておいた方が良いはずです。
矯正治療の一般的なリスク
矯正治療にはいくつかのリスクが伴います。
まず、歯や歯茎に対する不快感や痛みがあげられます。
特に治療開始直後や調整後は、圧力による一時的な痛みや違和感が生じることがあります。矯正装置が口内の軟組織に刺激を与えることで、潰瘍や炎症を引き起こす可能性もあります。
口内衛生の悪化の可能性もリスクのひとつです。矯正装置が食べ物の残りやプラークの除去を困難にするため、虫歯や歯肉炎になりやすくなります。
このため、矯正治療中は通常よりも丁寧な口内ケアが必要です。
さらに、矯正治療の結果が期待通りにならないリスクも存在します。
これは、個々の歯の反応や骨格の構造によるもので、完全に予測することは難しいのです。
治療中のケアと注意点
矯正治療中のケアと注意点としてはまず、口内衛生を徹底することが極めて重要です。
矯正装置は食べ物の残りやプラークが溜まりやすいため、通常よりも丁寧なブラッシングとフロッシングが必要です。
ブラケットとワイヤーを使用する場合、歯ブラシが隅々まで届くように特別なブラッシング技術を学ぶ必要があります。
食生活にも注意が必要です。
硬い食品や粘着性のある食品は矯正装置を破損させたり、取り外しにくい汚れを引き起こしたりする可能性があります。そのため、キャラメルやガムなどの粘り気のある食品や、ナッツ、りんごのような硬い果物などは避けるか、食べる前に小さく切ることが推奨されます。
矯正装置が口の中で擦れて痛みや化膿を引き起こすことがあります。
このような場合、歯科医師から提供されるワックスを使用して、刺激を与える部分をカバーすると良いでしょう。
治療開始後や調整後の一時的な痛みをおさえるため、痛み止めが役立つことがあります。
そして、矯正治療中は、定期的な歯科診察を怠らないことが重要です。
これに、矯正装置の調整だけでなく、一般的な歯科健康のチェックも含まれます。治療を計画通りに進行させるためには、定期的な通院が必要です。
矯正後の維持とケア
矯正治療後の維持とケアは、得られた結果を長期間保つために非常に重要です。治療が終了した後、多くの患者にはリテーナーの使用が推奨されています。
リテーナーは、矯正で得られた歯並びや噛み合わせの位置を保持するためのものです。
これらは取り外し可能なタイプや、歯の裏側に固定されるタイプがあり、歯科医師の指示に従って適切に使用してください。
最初の数ヶ月間はリテーナーを装着する必要があり、その後は夜間のみの使用に移行することが一般的ですが、これは個々のケースによって異なります。
矯正治療後も、定期的な歯ブラシとフロスを使用し、虫歯や歯周病を予防して美しい歯並びを保つようにしましょう。
食生活にも注意を払ってください。
矯正治療中に学んだ健康的な食習慣を維持し、砂糖や酸性の飲食物の摂取を制限することも、長期的な歯の健康に貢献します。
矯正治療後の歯の維持とケアは、長期的なプロセスです。治療中に学んだ習慣を継続し、定期的な歯科検診を受け、適切なリテーナーの使用を続けることで、美しい歯並びと健康な口内環境を保つようにしましょう。
まとめ
出っ歯矯正にはマウスピースとワイヤーの2つの方法のいずれかで治療します。
さらに年齢や各種条件によって期間が変わってきますので、費用や時間、さらに自分の状態にあわせて治療法を選ぶことになります。
治療には比較的長い時間がかかることもあり、さらに治療後にもしっかりとしたケアが必要となります。
ですから出っ歯矯正を機会に、今まで以上お口のケアを心がける習慣づけをすることが大切となります。
監修:理事長 森本 哲郎