即日インプラントは本当にその日にインプラントができる?流れや料金は?
- 2024年7月15日
- コラム
インプラントによる歯の治療を検討している方の中には、即日インプラントというものがあることをご存じの方もいらっしゃることでしょう。
名前からして即日にすぐすべてが完了してしまうようなイメージがありますが、では実際にこの即日インプラントとは、いったいどんな治療法なのでしょうか。
今回は即日インプラントの実際に関して、詳しく説明していきます。
即日インプラントとは?
即日インプラントは「ワンデーインプラント」とも呼ばれ、インプラント治療を1日で完了させる治療法です。
この即日インプラントは、インプラント体を埋め込んだ後、その日のうちに仮歯や場合によっては本番の歯を装着し、患者さんが見た目と機能の改善をすぐに体験できるようにしてくれます。
通常のインプラント治療は数ヶ月かかるのに対し、即日インプラントは短期間で結果が得られるため、特に忙しい患者や早急に審美的な改善を求める人々に適しています。
その日にできる内容は?
即日インプラントでは、インプラント体の埋め込みと歯の装着が1日で行われます。
最初に、顎の骨にチタン製のインプラント体を埋め込む手術が行われます。
その後、インプラント体が骨と結合するまでの期間に仮歯を装着します。
仮歯は見た目を整え、噛む機能を一時的に回復させる役割を果たします。このため、治療当日から患者は自然な見た目と機能を体験できます。
一般的なインプラントの違い
一般的なインプラント治療と即日インプラントの主な違いは、治療のスピードとプロセスにあります。
一般的なインプラント治療では、インプラント体を埋め込んだ後、骨とインプラントがしっかり結合するまでに3〜6ヶ月の治癒期間が必要で、その後、最終的な歯冠が装着されます。
一方、即日インプラントでは、治療当日に仮歯を装着することで、見た目と機能の改善が即座に実現されます。
このため、複数回の通院が不要で、患者は短期間で改善を実感できます。
仮歯の場合と本番の人工歯の両方のケースがある
即日インプラントの場合、通常は仮歯と呼ばれる仮の歯を装着することがありますが、場合によっては即日すぐに最終的に使う本番の人工歯が用いられる場合もあります。
仮歯の装着
即日インプラントでは、多くの場合、インプラント体を埋め込んだ当日に仮歯が装着されます。
仮歯の主な目的は、見た目と噛む機能を一時的に回復させることです。
仮歯はその後、最終的な歯冠が装着されるまでの期間使用されます。
仮歯は一般的に材料や設計が最終的な歯冠とは異なり、長期間の使用には適していませんが、治療中の生活をサポートする役割を果たします。
本番の人工歯の装着
一方で技術の進歩により、即日インプラントで本番の人工歯が装着されるケースも増えています。
この即日インプラントは、特に高度な設備と技術を持つ歯科医院で行われます。
最終的な歯冠を即日で装着するためには、インプラント体がすぐに機能することが保証される必要があります。
具体的には、インプラント体と骨がしっかりと結合している状態が確認できる場合に、即日で本番の歯冠を装着します。
この方法では、仮歯を使用せずに治療当日に最終的な結果を得ることができますが、技術的な難易度が高く、適応できる患者さんが限られることがあるので注意してください。
即日インプラントのメリットは何?
では、この即日インプラントには、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。
順を追ってみていきましょう。
即時の見た目改善
即日インプラントの最も顕著なメリットの一つは、治療当日に見た目が改善されることです。
インプラント体を埋め込んだ後、その日のうちに仮歯を装着することで、患者さんはすぐにインプラントの恩恵を得ることができるようになります。
これは特に前歯など、見た目が重要な部位の治療において大きな利点となります。
仮歯や本番の歯の装着により、治療中の外見に対する不安が解消され、歯のトラブルから解放されるはずです。
即時の機能回復
即日インプラントでは、仮歯を装着することで噛む機能も即座に回復します。
これにより、食事や会話が快適に行えるようになります。
特に噛む機能を必要とする患者さんにとって、治療後すぐに食事ができることは大きなメリットとなるはずです。
仮歯は見た目だけでなく、機能的にも自然な使い心地を提供し、患者の日常生活における不便さを軽減するのです。
治療回数の削減
即日インプラントでは、治療が1回の訪問で完了するため、通院の回数が大幅に削減されます。
通常のインプラント治療では、インプラント体の埋め込みから最終的な歯冠の装着までに複数回の通院が必要です。
その一方で即日インプラントは、治療のほとんどのプロセスを1日で終えることができるため、忙しい患者さんや複数回の通院が困難な患者にとって非常に便利です。
短期間での治療完了
即日インプラントは、治療全体を短期間で完了できるため、患者の治療期間が大幅に短縮されます。
一般的なインプラント治療では、インプラント体の埋め込み後に数ヶ月の治癒期間が必要ですが、即日インプラントではその日のうちに仮歯が装着されるため、治療にかかる総時間が大幅に短縮されます。
この短期間での治療完了は、仕事や生活のスケジュールに合わせて治療を受ける際に非常に有用です。
精神的な安心感
治療当日に見た目と機能が改善されることで、患者に対して精神的な安心感を提供します。
治療中の外見や機能に対する不安が軽減され、治療後すぐに通常の生活に戻ることができます。
特に、見た目的な改善を急ぐ患者や、治療後すぐに社会的な活動を再開したい患者さんにとって、即日インプラントは大きな精神的なメリットを提供します。
即日インプラントはどんな流れで行われる?
では続いて即日インプラントの治療フローを見ていきましょう。
診断
治療の第一歩として、初期診断が行われます。
これには、X線やCTスキャンを用いて顎の骨の状態やインプラントの埋入位置を確認することが含まれます。
この診断により、インプラント体が適切に埋め込まれる位置と角度が決定され、最適な治療計画が立てられます。
診断の段階で骨の量や質、歯茎の状態を評価し、必要に応じて骨移植や歯茎の手術を検討することもあります。
手術
手術は局所麻酔下で行われ、患者が快適な状態で治療を受けられるように配慮されます。
手術では、顎の骨にインプラント体を埋め込むための穴を開け、そこにインプラント体を慎重に設置します。
埋め込みの完了
インプラント体の埋め込みが完了すると、その周りの骨とインプラント体が結合するのを待つ必要があります。
即日インプラントでは、この段階で仮歯を装着することで、患者さんが治療後すぐに見た目と機能を改善できるようにします。
インプラント体が骨にしっかりと結合するまでの期間中は、仮歯がその機能を代替します。仮歯は、見た目と機能の両方をカバーし、患者の日常生活に支障が出ないように配慮されています。
縫合
手術が終了した後、開いた傷口を縫合して治癒を促進します。
縫合は、傷口をしっかり閉じて感染を防ぎ、治癒過程をスムーズに進めるために重要です。
縫合後には、患者さんに対して適切なケア方法が指導されます。例えば、食事の制限や口腔内の清掃方法などが説明され、治療後の回復をサポートします。
仮歯調整・装着
仮歯は、インプラント体の埋め込みが完了した後、その日のうちに装着されます。
仮歯は患者の口内に合わせて調整され、見た目と機能が自然になるように工夫されます。
仮歯の装着により、患者は治療後すぐに見た目と噛む機能の改善を実感できます。
仮歯は一時的なものであり、インプラント体が骨としっかり結合するまでの間、患者の生活をサポートします。
即日インプラントはおトク?
即日インプラントは、一般的なインプラント治療に比べていくつかの点でおトクかどうかは一概に言えません。
まず、即日インプラントは技術的に高度であり、そのためにかかる費用が一般のインプラント治療と比較して高額になることがほとんどです。
さらに、治療期間の短縮が実現できるものの、治療後のメンテナンスやフォローアップが重要となります。
即日インプラントは短期間で治療が完了しますが、治療後のケアや調整が必要になるため、結果的に長期的なコストを考慮する必要があります。
なにより即日インプラントに対応できる歯科医院はまだ少数派であり、対応可能な医院を見つけるのが難しい場合があります。
このため、治療を受ける際には十分なリサーチと比較が重要と言えるでしょう。
即日インプラントはすべての治療が一日で終わる?
即日インプラントと聞くとすべての治療が一日で終わるように感じるかも知れませんが、ここまで説明してきたとおり、実際にはすべてが一日で終わるわけではありません。
これは仮歯を入れるか、本番の人工歯を入れるかによっても異なってきますので、それぞれの状況をもう少し詳しく見ていきましょう。
仮歯を入れる場合
一般的に「即日インプラント」とは、インプラント体の埋め込みとその日のうちに仮歯を装着することを指しますが、これはあくまでインプラント治療の一部であり、完全な治療の完了を意味するわけではありません。
治療当日に行われるのは、インプラント体の埋め込み手術と仮歯の装着のみで、インプラント体と顎の骨が完全に結合するまでには通常数ヶ月の治癒期間が必要です。
この過程は、インプラント体が骨としっかり結合するために欠かせない重要なステップとなります。
そのため、即日インプラントを行っても、最終的な歯冠の装着は治癒期間を経た後に行わるのです。
したがって、最終的な治療結果が得られるまでには時間がかかることを理解しておく必要があります。
本番の人工場を入れる場合
最終的な歯冠である本番の人工歯を即日で装着する場合、治療が1日で終わることもありますが、これはかなり特殊なケースと言えます。
この方法が可能とするためには、患者の骨の状態が非常に良好であり、インプラント体がすぐに機能することが保証されている必要があります。
具体的には、インプラント体と骨が十分に結合している状態でなければならず、通常はこの状態を達成するためには数ヶ月の治癒期間が必要です。
即日で本番の歯冠を装着するためには、高度な技術と精密な設備が必要です。
インプラント体が骨と完全に結合し、安定して機能できる状態であることが確認される必要があるため、すべての患者さんがこの手法の適用対象となるわけではありません。
つまり、本番の人工歯を即日で装着することは可能ですが、治療が1日で完了するためには特定の条件が整っている必要があり、通常は仮歯を装着してから最終的な歯冠の装着まで数ヶ月の期間が必要となるわけです。
まとめ
即日インプラントは、迅速な治療と見た目の改善を提供する技術ですが、費用や対応する歯科医院の少なさ、長期的なケアの必要性など、いくつかのデメリットも存在します。
治療を検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自分に最適な治療法を選ぶことが重要です。
治療の選択肢を比較し、信頼できる歯科医院で詳細なカウンセリングを受けることで、効果的な即日インプラントの利用を検討してみてください。
監修:理事長 森本 哲郎