子どもの乳歯が生え揃ってくると「受け口が気になる」「受け口は矯正すべきか」と悩まれる方もいるでしょう。

 

そこで今回は、受け口に関する基本情報を解説します。

 

受け口とは顎がしゃくれているような状態です。

放置すると噛み合わせや発音へ悪影響を及ぼす可能性があるため、子どものうちに治療するのがおすすめです。

 

早期に治療をおこなうメリットもまとめているので、受け口に悩まれている方はぜひ参考にしてください。

 

受け口は矯正治療で治せる

 

受け口は矯正などの歯科治療で治せます。以下で、3つの矯正治療をご紹介します。

 

<受け口の治療方法>
ワイヤー矯正
マウスピース矯正
外科手術

 

受け口は多くが矯正で治せます。

ただし、受け口の原因が骨格性である症例では外科手術が必要になる場合があります。

 

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットと呼ばれる装置をつけ、そこにワイヤーを通して固定する治療法です。

ワイヤーの力で歯を移動させ、歯並びや噛み合わせを改善します。

 

ワイヤー矯正は見た目の目立ちやすさが懸念点ですが、ホワイトのブラケットやワイヤーなどで目立たないようにできる方法もあります。

 

ワイヤー矯正の治療期間中は矯正装置をつけたまま過ごすため、マウスピース矯正のように装着時間を気にしたりつけ忘れたりする心配がありません。

管理の負担が少ないのは大きなメリットでしょう。

 

また、歯並びや噛み合わせの乱れには個人差がありますが、ワイヤー矯正はさまざまな受け口の症状に対応できます。

 

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、歯に透明なマウスピースを装着して歯並びを少しずつ整えていく治療法です。

 

3歳頃から使用できる製品もあるため、早期治療を検討している保護者にもおすすめです。

マウスピース矯正は舌や口周りの筋肉のバランスを整えながら治療するため、子どものうちから始めれば顎の正常な成長を守る効果も期待できるでしょう。

 

なかには、就寝時のみの装着や日中の装着時間が短いマウスピース矯正もあります。

子どもは学校や幼稚園でつける必要がないため、からかわれたり紛失したりする心配がありません。

 

周りに矯正していることを知られたくない大人も、人と会うタイミングで外すことが可能です。

 

ただし、マウスピース矯正は装着時間を守らないと治療が長引く可能性があります。

取り外しは簡単なので、歯磨きを念入りにおこないたい方にとっては魅力的な矯正方法です。

 

外科手術

外科手術は受け口の原因が歯の生え方ではなく骨格による場合に適した治療で、全身麻酔をして下顎の骨を削り後方へスライドさせます。

大人は顎骨が成長しきっているため、外科処置が必要なケースもあるでしょう。

 

外科手術は身体的な負担が生じるものの、根本的な改善治療が可能です。

子どもの受け口は早期治療することで、顎骨が正常に成長しやすくなります。

 

また、国で認可された医療機関を受診し「顎変形症」と診断名がつくと、治療が保険適用となります。

 

受け口の治療は子どものうちがおすすめの理由3選

 

受け口の治療は顎の正常な成長を促す観点から、子どものうちに始めるのがおすすめです。

 

<子どもの早期治療がおすすめの理由>
治療期間が短い
抜歯をしなくて済む
悪い癖を直せる

それぞれ詳しくみていきましょう。

 

治療期間が短い

子どもは大人と比較して骨がやわらかく理想的な位置に動かしやすいため、歯の動きも早く治療期間が短く済む傾向があります。

特に、3〜8歳頃までにワイヤー矯正やマウスピース矯正をしておくと、永久歯が生え揃ったあとに外科手術などの大がかりな治療をおこなう可能性を減らせます

 

抜歯をしなくて済む

子どもの矯正治療は、顎骨も一緒に成長させながらすすめるため抜歯の必要がありません。

抜歯は歯並びを整える際、歯を並べるスペースが足りない場合におこないます。

 

そのため、抜歯は大人の矯正治療でおこなうケースが多く、顎骨が成長途中である子どもの矯正では歯を抜かない傾向があります。

将来的に歯を1本でも多く残したいと考えているのであれば、子どものうちに治療するのがおすすめです。

 

悪い癖を直せる

子どものうちに受け口の治療をすると、悪い癖を早めに直せます

特に、子どもに多い指しゃぶりや口呼吸は歯並びに悪い影響を与えるため、早めに改善したい癖です。

矯正治療をきっかけに正しい習慣を身につければ、その後の成長においても症状が悪化するリスクを減らせます。

 

また、受け口の治療で噛み合わせが正しい位置になると、食事が食べやすくなったり発音がしやすくなったりと、子どもの成長に多くのメリットがあります。

 

受け口の治療は大人になってからでもできる

 

受け口の治療に年齢制限はないため、子どものうちに治せなかった方は大人になってから始めても遅くはありません。

受け口の治療は自由診療のため、働いて費用を貯めてから計画的に始める方もいます。

 

ただし、大人で始める治療は顎や骨などが成長しきっており、場合によっては抜歯したり外科手術で下顎を削ったりするなどの治療をおこなう可能性があります。

治療内容によっては手術や入院が必要になる可能性もあるため、仕事や日常生活のスケジュールを考慮しつつ治療のタイミングを決めてください。

 

受け口を放置すると見た目だけでなく健康にも悪影響

 

受け口とは下の歯が上の歯より前に出ており、顎がしゃくれて見える状態です。

 

受け口の原因はさまざまで、前歯が内側向きに生えていること・子どものころからの悪い癖・遺伝などがあります。

受け口を放置すると、見た目だけでなく健康にも以下の悪影響をおよぼします。

 

<受け口の放置で起こりうる悪影響>

滑舌が悪くなる
虫歯や歯周病になる
全身の歪みにつながる
特定の歯に負担がかかる
しっかり咀嚼できず消化不良を起こす

 

受け口は発音がしづらく滑舌も悪くなります。

 

歯並びや噛み合わせの悪さから、虫歯や歯周病のリスクも上がるでしょう。

 

また、噛み合わせが悪い状態は食べ物を細かく噛み砕けず、消化不良の原因になります。

特定の歯に力が入ると身体が歪み、全身の不調を引き起こすケースもあるため注意してください。

 

受け口や矯正治療で知っておくべき3つの注意点

 

受け口や矯正治療で知っておくべき注意点を3つご紹介します。

<受け口治療の注意点>
自然治癒の可能性は低い
再発する可能性がある
大人の治療は大がかりになる可能性がある

それぞれ詳しくチェックしていきましょう。

 

自然治癒の可能性は低い

小さい子どもの受け口は乳歯の奥歯が生えるまでに自然と治る可能性がありますが、3歳以上の場合は自然治癒で治る可能性は低くなります

 

3歳を超えると、成長とともに症状が悪化する恐れもあるでしょう。

受け口の原因とされる「舌を押し出す」「口呼吸」などの癖がみられる場合は、特に症状を悪化させる可能性が高まるため気をつけてください。

 

再発する可能性がある

受け口は治療が一度完了しても戻ってしまう可能性があるため、心配な方は定期的に歯科医院で検診を受けましょう。

子どものうちに治療をおこなった場合は、顎や歯が正しい位置に成長し再発する可能性は低いといわれています。

 

しかし、受け口の原因になる「舌を押し出す」「口呼吸」などの癖が習慣化すると、再発のリスクがあるため注意が必要です。

再発予防のためにも、虫歯や歯周病の検診と兼ねて歯科医院に通う習慣をつけましょう。

 

大人の治療は大がかりになる可能性がある

大人の受け口の治療は顎骨が成長しきった状態で治療するため、大がかりになる可能性があります。

抜歯をしたり、下顎の骨を削ったりする手術が必要になるケースもあるでしょう。

 

顎を削る外科手術では、指定の医療機関で「顎変形症」と診断されれば保険適用となり費用の負担は軽減されます。

とはいえ、全身麻酔下の手術となり数日間の入院が必要なため、スケジュール調整など日常生活に影響がでる可能性があります。

 

まとめ

受け口は矯正でも治せますが、年齢や症状に合わせ適切な治療方法を検討しましょう。

 

子どもの受け口に悩んでいるなら、早期治療を検討してください。

顎骨の成長とともに治療ができ、抜歯をしたり外科手術をしたりなど、身体的な負担がある治療の可能性を抑えられます。

 

海岸歯科医院では、マウスピースを用いた矯正もおこなっています。

受け口で悩みをお持ちの方は、ぜひ当院までご相談ください。

監修:理事長 森本 哲郎