大人の反対咬合(受け口)は矯正できる?その治療法は?
- 2024年1月10日
- コラム
大人になっても、歯並びや噛み合わせにお悩みを抱える方はたくさんいます。
反対咬合とも呼ばれる受け口は、歯の噛み合わせが正常でないことを意味します。
しかし、大人になってからでもこの問題を解決するための方法はありますから、もし受け口が気になっているのであれば、治療を検討してみる価値があるはずです。
今回は成人になってからの矯正治療について知りたい方や、受け口の改善を検討されている方に向けて、治療やその効果について分かりやすくお伝えしていきます。
反対咬合(受け口)とはどんな症状?
ではまず、受け口というのはどんな症状なのかということについて、見ていきましょう。
噛み合わせの不整合
反対咬合(受け口)は、噛み合わせの不整合というのが特徴です。
これは、上顎と下顎の歯が適切にかみ合わず、正常な噛み合わせが形成されていない状態ということになります。
噛み合わせが不適切な場合、上下の歯が正しい位置関係にないため、噛み合わせが正常でないことが見てわかります。
これは口を閉じた時上下の歯がきちんと合わず、歯と歯が重なることなく、正確に噛み合わせることができない状態です。
この状態が続くと歯の摩耗や噛むことに対する不快感、さらには関節痛や頭痛などの症状を引き起こすことがあります。
下顎が前方に突出している
下顎が前方に突き出ている状態は、受け口の主な特徴の一つです。
この状態では通常、下顎が上顎よりも前に出ているため、外観的に顔の輪郭が前に突き出て見えます。
口を閉じると下の歯が上の歯の前方に位置し、正常な噛み合わせがされず、歯の位置関係が適切でないことがわかります。
この下顎の前方突出があると、噛むときに上下の歯を正しく噛み合わせられず、これが噛み合わせの異常を引き起こす原因の一つとなります。
歯並びの悪さと関連症状
受け口の状態では歯の並びが性格出ないため、上下の歯が適切に整列しておらず、噛み合わせの不調和や顎の位置関係の問題を引き起こす要因の一つとなります。
歯並びが悪いと、歯と歯の間に隙間や重なりが生じ、噛むときに歯が正常にかみ合わず、咬合力が不均衡になります。
そうなってしまうと歯に不必要な圧力がかかり、摩耗や損傷のリスクが高まることがあります。
受け口にはどんなリスクがあるのか?
さてそんな受け口ですが、ではこの状態を放置しておくと、どんなリスクがあるのかについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
歯の摩耗と損傷のリスク
受け口(反対咬合)には、さまざまなリスクが関連しています。
その一つが歯の摩耗や損傷のリスクです。噛み合わせが正常でない場合、歯が適切にかみ合わず、不均等な圧力が特定の歯にかかることがあります。
これにより、歯の表面が異常に摩擦してしまい、摩耗が進行する可能性があります。
さらに不正確な噛み合わせによる歯の摩耗は、歯のエナメル質の減少や歯の形態の変化を引き起こしてしまうかも知れません。
それ以外にも、歯が不適切な圧力にさらされると歯の割れや欠け、歯の表面の凹凸などの損傷が生じるリスクが高まります。
口の中の健康状態が悪化するリスク
受け口には、口の中の健康状態が悪化してしまうリスクもあります。
不正確な噛み合わせにより、口の中の状態が影響を受けてしまうのです。
受け口の噛み合わせの悪さで、歯周組織や歯茎に過度の圧力がかかり、口の中の組織がダメージを受けてしまいます。
不適切な圧力や摩擦が続くと、歯周組織が炎症を起こし、歯茎の引っ張りや歯肉の後退、さらには歯周病のリスクが増大する可能性もあります。
さらに受け口により噛み合わせの圧力が不均衡になることで、歯への負荷が増え、歯が不均等に摩耗しやすくなります。
そうなると歯のエナメル質が減少し、虫歯や歯の割れ、損傷が発生してしまうかも知れません。
口腔内のバランスの乱れは、唾液の分泌量や流れにも影響を及ぼすことがあります。
唾液は口腔内の保護や清潔さに影響しますから、不適切な噛み合わせが唾液の機能を損なうことによって口の中の健康状態が悪化する可能性もあります。
体のバランスが悪化するリスク
受け口リスクは口の中だけでなく、体のバランスに影響する場合もあります。
口の中の構造や噛み合わせが正常でないと、顎の位置や関連する筋肉、そして全体的な顔のバランスに影響を及ぼしてしまうのです。
正常な噛み合わせが乱れると、顎の位置や顔の形に影響を与えることがあり、顔の輪郭が変わったり、口の開閉や咀嚼時の筋肉の使用が変化することも考えられます。
このような変化があると、体全体のバランスにも影響を与える可能性があり、姿勢や筋肉の緊張、さらには身体のバランスに違和感が出てしまうかも知れません。
口腔内の問題が体全体のバランスに影響を及ぼすことは、頭部や顎の位置に関連するその他の問題や、筋肉のアンバランスを引き起こすことがあります。
その結果姿勢や筋肉のバランスが崩れ、体全体に影響を与える可能性があり、受け口の治療は口腔内のバランスだけでなく、体全体のバランスにも影響するのです。
外見的なコンプレックスになる可能性
受け口は外見的な要素にも影響を与えることがあり、その結果、個人の見た目のコンプレックスを引き起こす可能性があります。
受け口の場合口元や顔の輪郭に影響するため、口を閉じたときに顔の形が変化し、外見的な特徴が顕著になることがあります。
例えば下顎が前に突き出て見えるため、顔全体のバランスが崩れるように見えることがあり、外見に対するコンプレックスを生じさせる可能性があります。
さらに受け口があることにより、歯並びや口元のバランスの悪さが目立つ場合、自分の外見に自信を持てないというケースもよくあります。
そんな外見に対するコンプレックスは、心理的な負担につながることがあります。
そのため、受け口の治療をすることで、患者さんは自尊心や外見的な満足度を向上させることが可能となります。
正確な噛み合わせを取り戻すことで、個人の自信を取り戻し、外見的なコンプレックスを軽減できるようになるわけです。
大人になっても受け口の矯正は可能?
このように受け口は構内外の健康面と、見た目に関する地震に影響する症状ということになります。
一般的に受け口の治療は子供の頃にするのが良いと思われていることが多いのですが、では大人になってからでも治療は可能なのでしょうか。
続いて大人の受け口の血用について、詳しく見ていきましょう。
大人になっても受け口の治療は可能
結論から言えば大人になっても受け口の治療は可能です。
以前は成長期における骨の成長が終了するまでが矯正の最適な時期と考えられていましたが、近年の進歩した治療法や技術により、現在では成人における矯正治療も有効な選択肢となっています。
大人における受け口の治療では、矯正装置や手術など、様々な方法が使用されます。例えば、透明なマウスピースを使用するインビザラインや、ブラケットを装着した矯正装置などがあります。
大人の受け口の治療においては、個々の症状や健康状態を考慮し、矯正視界との協力や定期的なフォローアップが重要となります。
そのため適切な治療プランを立て、医師と連携を取りながら治療を進めることで、大人の受け口の改善や矯正が成功する可能性が高まります。
場合によっては外科手術が必要になる
大人の受け口の治療では、場合によっては外科手術が必要になることがあります。歯科矯正治療だけでは解決できないような重度の受け口や顎の不正など、骨格的な問題がある場合に外科手術が必要となります。
受け口の外科手術は主に顎の位置を調整したり、顎骨を移動させたりするために行われます。矯正歯科治療だけでは解決できない骨格的な問題を修正するために、口腔顎顔面外科医と矯正歯科医が協力して治療計画を立てることになります。
手術は矯正治療の一部として行われ、矯正装置や治療後のアフターケアと組み合わせて顎の位置を適切に調整し、正しい噛み合わせをサポートします。ただし、手術が必要とされるかどうかは個々の症例によって異なりますので、専門家の診断と入念な治療計画が重要です。
成長が止まる大人になってから矯正した方が良いケースも
先ほども説明したとおり、受け口の矯正は子供の頃にするのが一般的ではありますが、実は成長が止まる大人になってから矯正治療を行うことが、一部のケースにおいてより効果的なこともあるのです。
ケースによっては成長期の骨格成長が完了してからの治療では、骨の成長による制約がないため、大人になってからの矯正の方がより予測可能な結果を得ることができる可能性があります。
大人になってからの矯正治療では、成長期に比べて骨格が固定されているため、顎の位置を変えるのが難しくなります。その一方で骨が成長しないため、矯正治療が安定しやすいという利点があるのです。
大人になってからの治療では、透明なマウスピースやブラケットを使用した矯正装置など、より進化した技術が利用できることもあります。
ただし、成長が止まった段階での治療は、骨格的な問題に対しては外科手術が必要な場合があり、治療期間が長くかかることがあります。
そのため、矯正治療の適切なタイミングは個々の症例や専門家の判断によって決めるべきです。
成長が止まった後であっても、矯正治療は可能ですが、その際には専門家のアドバイスや診断を受けることが重要となります。
まとめ
大人になっても受け口の治療は可能です。
この状態は、歯の噛み合わせや顎の位置に関する問題を抱える方にとって悩ましいことがありますが、適切な治療法や専門家の助けを得ることで解決可能となるのです。
治療法には、歯科矯正や外科手術、進化した技術を用いた治療法などがあります。
大人になってからの治療は、骨の成長が止まった段階でも可能であり、適切なケースではより効果的な結果をもたらすことが期待されます。どんな年齢でも、専門家の診断とアドバイスを受けながら、自信を持って笑顔で過ごせる口元を取り戻してみてください。
監修:理事長 森本 哲郎