小児矯正を「やらなきゃよかった」のはなぜ?|後悔しないためのポイント
- 2024年1月22日
- コラム
小児矯正は、出っ歯や受け口などの症状を改善するだけでなく、顎の成長を促してこれから生えてくる永久歯を正しい場所に導きやすくするなど、たくさんのメリットがあります。しかし、小児矯正を「やらなきゃよかった」と後悔している意見を聞き、治療を不安に思っている人もいるかもしれません。そこで今回は、小児矯正をやらなきゃよかったと思った理由や、治療のメリット・デメリット、後悔しないためのポイントなどを詳しく紹介します。お子さんの歯並びに悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。
小児矯正とは
小児矯正とは、6歳〜12歳までに行う歯の矯正のことです。第一期治療とも呼ばれます。小児矯正が行われるのは、乳歯から永久歯に生え変わるタイミングです。顎の成長を促すこともできるので、顎が小さい子どもでも、歯の生えるスペースを確保しやすいメリットがあります。
小児矯正では、噛み合わせや歯並びを治療することはもちろんですが、上顎と下顎のバランスを整えることもできます。この時期であれば骨格のバランスを整えることができるため、大人になってからの歯並びが美しくなる可能性を高められるのです。お子さんが小さいころから受け口や出っ歯などの症状がある方は、早めの治療がおすすめです。治療が必要かどうか気になる方は、一度クリニックを受診してみてください。
小児矯正をやらなきゃよかったケース
小児矯正を「やらなきゃよかった」と後悔するのには、以下のようなケースがあります。
- 矯正後に歯が戻ってしまった
- 抜歯されてしまった
- 治療期間が長い
- 床矯正の使い方が悪かった
- 子どもと保護者の負担が大きい
治療を後悔するケースについて、詳しく見ていきましょう。
矯正後に歯が元に戻ってしまった
矯正したにもかかわらず、歯の位置が元に戻る後戻り現象が起こることがあります。歯が元の位置に戻る原因の多くは、保定装置によるケア不足です。矯正は、歯を動かした後にその場所に固定する保定期間があります。この保定期間に保定装置を付けることを怠ると、元の位置に戻ってしまうことがあるでしょう。
抜歯されてしまった
技術力や経験が不足している医師が治療を行った場合、不必要な抜歯が行われるリスクがあります。矯正には抜歯が必要な症例もありますが、必ず抜歯が必要なわけではありません。腕の確かな医師の元で治療を受けることが大切です。
治療期間が長い
小児矯正は大人の矯正よりも治療期間が長い傾向にあります。顎の成長を促す治療と歯並びを整える治療があるため、数年間治療することも少なくありません。治療期間が長くなるとお子さんが「やめたい」と言うこともあり、治療を後悔する可能性があります。治療にかかるトータル期間の把握と、お子さんに治療の必要性をしっかり説明する必要があるでしょう。
小児矯正が必要な症例
小児矯正が必要な症例には、以下が挙げられます。
- 反対咬合
- 上顎前突
- 開咬
矯正が必要な症例について、詳しく説明します。
反対咬合
反対咬合とは、歯を噛み合わせたときに、下の歯が上の歯よりも前に出る、受け口の症状のことです。遺伝や歯の生え替わりがうまくいかなかったことが原因として考えられます。食べ物を前歯で噛むのが難しく、奥歯に負担がかかるほか、顔がしゃくれてしまいやすく、コンプレックスに繋がることもあります。
上顎前突
上顎前突とは、上の歯が下の歯列よりも大幅に前に出ている、いわゆる出っ歯の状態です。指しゃぶりの癖があったり、骨格の問題であったりが原因であることが多いです。上顎前突の人は口が開いたままになりやすく、口が乾いて虫歯や歯周病になりやすくなります。また、見た目が気になる人もいるでしょう。前歯が出ているため、ぶつけて歯を折るリスクも高くなります。
開咬
開咬とは、上下の前歯が噛み合わず、隙間が生じる歯並びのことです。指しゃぶりの癖や、口呼吸、遺伝などが原因です。前歯に隙間があるため食べ物を噛み切ることが難しく、食事に苦労することがあります。また、口が開いている状態になりやすく、虫歯になりやすかったり、口臭が気になったりといった症状が起こることもあるでしょう。
小児矯正のメリット・デメリット
小児矯正のメリット
- コンプレックスが解消できる
- 顎の成長を促せる
- 永久歯の歯並びを整えられる
小児矯正を行うことで、出っ歯やしゃくれた症状が和らぐため、コンプレックスを解消できる可能性があります。また、小児矯正は大人の矯正と違い、顎の成長を促すことが可能です。顎が小さいと歯が入り切らずに歯並びが悪くなる可能性がありますが、小児矯正で顎を広げることにより、これから生えてくる歯が綺麗に並ぶようになります。小児矯正は、永久歯が並ぶための土台作りに役立つのです。
小児矯正のデメリット
- 矯正期間が長い
- 本人の努力が必要
- 虫歯管理が難しい
小児矯正は治療期間が長くなるため、親子ともに努力しなければいけません。矯正装置を決められた時間を守ってつけない場合、矯正が進まなかったり、位置が元に戻ってしまったりする可能性があります。親だけでなく、本人も努力する必要があるでしょう。また、矯正器具が付いている場所は歯磨きが難しくなるので、虫歯のリスクが高まります。正しいブラッシングを学び、丁寧に磨く必要があるでしょう。
小児矯正は何歳までに必要なのか
小児矯正は、永久歯が生え始める6歳〜12歳ごろまでに始めるのがよいでしょう。治療はできるだけ早く始めた方が良いと考えられていますが、お子さんの歯の状況を確認し、最適な治療タイミングを見極める必要があります。永久歯が生えそろう前に治療を開始すると、大人になってからの歯並びが綺麗に揃い、歯磨きがうまくなるので口内を清潔に保ちやすいです。お子さんの歯並びが気になるときは、早めに病院で相談してみてください。
小児矯正を後悔しないために知っておくこと
小児矯正を後悔しないためには、治療についてよく知ることと、治療をさぼらずにきちんと継続することが大切です。小児矯正を始める前に知っておきたいことをまとめたので参考にしてください。
小児矯正は永久歯を綺麗に揃えるための土台作りと考える
小児矯正は、永久歯が綺麗に生えそろうための土台作りと考えてください。小児矯正をしたからといって、絶対に永久歯が綺麗な歯並びになる保証はありません。生えてきた永久歯を揃えるために、2期治療(12歳以上の歯科矯正)が必要になることもあります。完全に正しい位置に歯を並べたい場合は、多くの場合で2期治療が必要です。ただし、1期治療をすることで小さすぎる顎を治し、程度のひどい出っ歯やしゃくれなどの症状は起こりにくくなります。治療のゴールをどこに設定するのか、あらかじめ医師と相談しましょう。
親も子どももある程度の負担があると知っておくこと
小児治療は、親も子どももある程度の負担がある治療だと理解しておきましょう。小児矯正は、数年にわたって矯正装置や保定装置を付ける可能性があります。治療中は痛みを感じたり、見た目にストレスを感じたりと、心身ともに負担を感じるかもしれません。また、装置を付けると歯磨きが難しくなります。虫歯のリスクを避けるためには、親が歯磨きをチェックしたり、心身ともにサポートしたりといったことも必要です。矯正装置を付けるだけで治療が完了するわけではないと覚えておきましょう。
保定期間も必ずケアすること
矯正治療には、歯を動かし終わった後も、保定期間と呼ばれる期間があります。保定期間中は保定装置を付ける必要がありますが、付けるのを忘れたり、付けている時間が不十分だったりすると、歯が元の位置に戻ってしまう可能性があります。せっかく治療したのに戻ってしまうと、後悔してしまうでしょう。保定期間中も安心せず、しっかり治療を行うようにしてください。
信頼できる病院で治療を受けること
小児矯正は、信頼できる病院と医師の元で治療を受けましょう。小児矯正の経験が豊富な医師でないと、不必要な抜歯をされたり、治療の効果を得られなかったりする可能性があります。医師から治療計画の説明を受け、納得できた場合のみ治療をスタートするようにしてください。
まとめ
小児矯正は、顎の発育を促して永久歯の歯並びを正しい位置に誘導できるなど、メリットの多い治療です。しかし、治療期間が長かったり、親子ともに治療の負担があるため、治療を「やらなきゃよかった」と後悔してしまう人もいます。治療を始める前には小児矯正のメリット・デメリットを把握し、治療内容に納得できてからスタートするようにしましょう。
海岸歯科室では、お子さんの歯の状態を確認し、一人一人に合わせた適切な治療プランを提案しています。小児矯正は早めの治療が大切なため、歯並びについて気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
監修:理事長 森本 哲郎