抜歯後の治療はブリッジがおすすめ?インプラントや入れ歯との違いも解説
- 2024年9月29日
- コラム
事故や抜歯などで歯を失った際には、歯を補う処置が必要です。ブリッジは抜歯した歯の両隣の歯を支えにし、橋のように人工の歯を被せる治療です。しっかりと固定されるため、本来の歯と同じような噛み心地を実現できます。抜歯後の治療はブリッジの他にもインプラントや入れ歯もあるため、どれを選べば良いか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ブリッジのメリットやデメリット、他の治療法との違いを紹介します。ぜひ最後までお読みください。
ブリッジとは
ブリッジとは、事故や抜歯などによって失った歯の両隣の歯を削って支えにし、人工の歯を被せる治療法です。
抜歯した際には、ブリッジ、インプラント、入れ歯の3種類から人工歯を入れる方法を選択します。ブリッジはその名の通り、橋のように歯の上に人工歯を被せる方法です。抜歯した部分に人工の歯が入るため、本来の歯のような感覚を取り戻せます。
ブリッジは、入れ歯のように取り外す必要はありません。また、インプラント治療のように歯茎を切ったり骨を削ったりといった外科治療も必要ないため、受けやすい治療といえます。体質によっては外科治療を避ける必要がある方もいますが、ブリッジであれば問題なく治療を受けられるでしょう。
ブリッジのメリット
ブリッジの主なメリットは以下の4つです。
- 保険診療が受けられる
- 治療期間が比較的短い
- 咀嚼の際の違和感が少ない
- 外科処置が少ない
ブリッジのメリットについて詳しく見ていきましょう。
保険診療が受けられる
ブリッジは、保険診療で治療を受けられるケースがあります。インプラントは基本的に自費治療になるため、医療費が高額になりやすいです。一方でブリッジは保険適用と自費治療を選べるため、予算に限りがある方でも受けやすい治療といえます。
保険適用のブリッジ治療を受ける場合には、金属で作製した被せ物を使用します。前歯などの目立つ部分は歯科用のプラスチックを付けて目立たないように工夫しますが、セラミック製と比べると見た目の面で劣るでしょう。
より自然な見た目を目指す場合は、自費治療で素材にこだわるのもおすすめです。保険適用の条件は、抜歯した場所や残っている本数、噛み合わせの状態などによっても異なるため、歯科医院で相談しましょう。
治療期間が比較的短い
ブリッジは、インプラントと比較すると治療期間が短く済む点がメリットです。インプラント治療の場合は、抜歯や経過観察、手術など複数回の通院が必要になり、治療完了までに半年程度の時間がかかるケースもあります。
一方でブリッジは抜歯してから1〜2ヶ月月程度の治療期間が目安となることが多いです。抜歯後できるだけ早く治療を終わらせたいという方にもブリッジはおすすめの治療法です。
咀嚼の際の違和感が少ない
ブリッジは、咀嚼の際の違和感が少ない点もメリットの1つです。部分入れ歯の場合、しっかり固定できないことで口内に違和感を感じたり、咀嚼ができなかったりといった問題が起こることがあります。
一方でブリッジは抜歯した部分の両隣の歯を支えにしてセメントでしっかり固定するため、咀嚼の際に違和感を感じにくいです。また、入れ歯と違って歯肉の部分が付かないため、違和感を感じにくいメリットもあります。
外科処置が少ない
ブリッジ治療は歯を削る処置はありますが、インプラントのように外科治療を必要としないため、心身的な負担が少ない治療といえます。持病があったり外科処置に対して抵抗がある方でも受けやすいでしょう。
ブリッジのデメリット
ブリッジは、治療期間が短く受けやすい治療といえますが、デメリットも存在します。ブリッジの主なデメリットは以下の4つです。
- 健康な歯を削る必要がある
- 歯の神経を抜くケースがある
- 再治療が必要なことが多い
- 支える歯の負担が大きい
ブリッジのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
健康な歯を削る必要がある
ブリッジのデメリットとしてまず挙げられるのが、健康な歯を削る必要がある点です。
ブリッジは、抜歯した両隣の歯を削って被せ物をつけるため、両隣の歯を大きく削る必要があります。ブリッジの土台にするためには、歯の表面を1/3〜1/4程度削る必要があります。歯を削ると歯が弱まり寿命が縮まるため、健康な歯に大きな負担をかけることになるでしょう。
歯の神経を抜くケースがある
ブリッジを行う場合、両隣の歯の神経を抜くケースがあります。歯を大きく削ると、歯の神経に刺激を与えてしまいます。神経の位置や歯を削る量によっては、刺激が神経まで届き、歯髄炎と呼ばれる症状が起こることがあるでしょう。歯髄炎になると歯の痛みや染みるなどの症状が起こります。万が一歯髄炎が起こった場合には、歯の神経を抜く処置が必要です。
再治療が必要なことが多い
ブリッジの平均生存期間は、約8年といわれています。10年生存率は約30%程度のため、1度治療を受けても10年後には再治療が必要になるケースが多いです。特に保険診療で作られたブリッジは経年劣化の影響を受けやすく、取れてしまったり土台の歯が虫歯になったりしやすいといわれています。
また、口内の状態によってはさらに寿命が短くなることもあります。口内ケア不足で歯茎や歯に汚れがついて弱ってしまうと、数年しかブリッジが持たないこともあるため、日頃のケアや定期的なクリーニングが必要です。
支える歯に力がかかる
ブリッジの支えになる歯は、抜歯部分の咬合力も支える必要があります。
長期的に力が加わることによりブリッジがたわみ、歯周病や歯の破折に繋がるリスクがあります。ブリッジは強度の強い装置ですが、極端に大きな力を加えると破損にも繋がるため、注意が必要です。特にブリッジを装着したばかりのタイミングで硬いものを食べるのは控えるようにしましょう。
ブリッジ以外の治療法
抜歯を行った際には、ブリッジ以外にも入れ歯やインプラントなどの治療方法があります。ここではブリッジ以外の治療法について紹介します。
入れ歯
入れ歯は総入れ歯と部分入れ歯の2つの方法があります。全ての歯を失った場合には総入れ歯、一部のみの場合は部分入れ歯を装着します。
部分入れ歯は、クラスプと呼ばれる金具を残っている歯にかけて固定する治療です。自費治療と保険適用のどちらかを選択できます。入れ歯は外科処置などを必要としないため、2週間〜1ヶ月程度の治療期間で済みます。ただし、寿命は比較的短く、4〜5年ほどで作り直す必要があるケースが多いです。また、見た目も金属部分が目立つ可能性があります。
インプラント
インプラントは、顎の骨に直接インプラント体を埋め込み、それを土台として人口の歯を取り付ける治療です。骨にしっかりと固定されるため、自分の歯と同じような感覚で食べ物を咀嚼できます。基本的に保険適用外の治療で、1本30万円程度が費用相場です。
また、外科手術が必要で、骨とインプラントが結合するまで様子を見る期間もあるため、半年ほど治療期間がかかります。寿命は10年以上持つケースが多く、見た目も天然の歯と変わりません。噛み心地や見た目にこだわりたい方にはインプラントがおすすめです。
ブリッジ治療をおすすめしたい方
ブリッジ治療をおすすめしたいのは、以下に当てはまる方です。
- 外科手術を避けたい方
- 治療期間を短くしたい方
- 治療費用を抑えたい方
ブリッジは外科手術を必要とせず、できるだけ短期間で治療を期間を短く済ませたい方に向いています。また、保険適用であれば費用を抑えられるため、予算が限られている方にもおすすめの治療です。
ブリッジ治療に関するよくある質問
最後に、ブリッジについてもよくある質問に回答します。
ブリッジの寿命がきたらどうする?
ブリッジの寿命は、7〜10年程度です。欠損や装着の不快感、嫌な臭いなどがあらわれた場合は、寿命が尽きたと考えられます。ブリッジが寿命を迎えた際には、新しいブリッジを作ることも可能です。ただし、土台の歯が重度の虫歯になっていたり、支えにできないほど弱っている場合は、ブリッジが装着できません。この場合は、インプラントや入れ歯を検討する必要があります。
ブリッジの寿命を伸ばしたい方は、歯の汚れをきちんと落とすためにフロスや歯間ブラシを使って毎日しっかりケアをしましょう。また、定期的に歯科医院でクリーニングを受けると口内の清潔を保ちやすく、噛み合わせの調整もできます。歯やブリッジの負担を避けるために、定期的に医師に見てもらいましょう。
ブリッジの費用は?
ブリッジは、保険適用で治療を受ける場合、前歯が2万円、奥歯が1万円程度の費用がかかります。この費用に加え、診察台や型取り、術前検査などの費用がかかるため、治療にかかる金額はさらに高くなるでしょう。
自費診療の場合は、被せ物の素材やブリッジの本数などによって費用が異なります。2本の歯を土台にして長いブリッジを作る場合や、自然に見えるセラミック素材で作る場合は数十万円かかることもあるので、医師とよく相談して治療内容を検討しましょう。
ブリッジで後悔することはある?
ブリッジ治療の後悔で多いケースは、元々の歯とブリッジの色が異なることが多いです。保険適用のブリッジは色合わせにも限界があるため、元々の歯との色が異なるため目立ってしまうことがあります。また、痛みや違和感がある場合や、歯がすぐに取れてしまうなどのケースも後悔の原因になります。
後悔を避けるためには、医師と歯の状態を見て、治療方針をしっかり検討することが大切です。不具合が出た際には歯科医院で応急処置を行うことによって改善することも多いので、安心してお任せできる医師を選びましょう。
まとめ
抜歯後に歯を装着する方法には、ブリッジやインプラント、入れ歯などの治療法があります。ブリッジは、外科手術の必要がなく、治療期間が比較的短い治療法です。ただし、抜歯した両隣の歯を削る必要があるなどのデメリットもあります。ブリッジ治療のメリット・デメリットをよく検討してから、治療を受けるか決めましょう。
海岸歯科室では、一人一人の歯の状態に合わせた治療を提案しています。ブリッジ治療はもちろん、インプラントや入れ歯治療も行っておりますので、ぜひお気軽に受診ください。
監修:理事長 森本 哲郎