歯列矯正中には絶対歯が痛くなる?
- 2024年4月20日
- コラム
歯科矯正治療を受ける際、多くの患者さんは痛みや不快感を経験することになるかも知れません。
そこで今回は、そんな歯科矯正中に生じる痛みやその原因に焦点を当てて、対処法について探っていきます。
歯科矯正治療中に痛みが生じるタイミングやその原因について理解し、痛みを軽減するための効果的な方法について理解しておけば矯正中の不快な体験を軽減できるようになるはずです。
歯列矯正中のどんなときに歯が痛くなる?
ではまず、歯科矯正中のどんなシーンで歯が痛くなりがちなのかについて見ていきましょう。
矯正器具を装着するとき
歯列矯正治療を始める際に、患者が最初に感じる痛みのひとつは、矯正器具を装着するときとなります。
この痛みは、歯に「圧力」がかかることによって引き起こされます。
矯正器具は歯を移動させるために必要な力を生み出しますが、この過程にはしばしば不快感や痛みが伴います。
なぜなら矯正器具を装着すると歯の表面や周囲の組織に圧力が加わり、その圧力で歯を動かすのですが、それに伴って歯が移動する際に痛みを感じることがあるからです。
食べ物を噛んだり咀嚼する時
食べ物を噛んだり咀嚼するとき、歯科矯正中には痛みや不快感を感じることもあります。
歯科矯正治療中は、歯の動きに伴って食べ物を噛むたびに歯にかかる圧力が変化し、これにより、歯や周囲の組織に一時的な痛みや違和感が生じてしまうのです。
特に初めて歯科矯正器具を装着した場合には、調整後の症状が顕著になることがあります。
この痛みや不快感は数日から数週間続くことがありますが、矯正治療が進むにつれて、歯や周囲の組織が新しい位置に適応し、痛みが軽減されることが期待できます。
食べ物を噛むときの痛みを軽減するためには、柔らかい食事や涼しい食べ物を選択することが有効です。また、適切な咀嚼の練習や、食べ物を小さく切ってから噛むことも痛みを和らげるのに役立ちます。
ワイヤーを取り付ける時
歯科矯正治療中にワイヤーを取り付ける際に、しばしば痛みを感じることがあります。
ワイヤーは、歯列を正しい位置に移動させるために使用される重要な部品であり、新しいワイヤーが取り付けられる際には、歯にいままでにない圧力が加わります。
その結果、痛みや不快感が生じてしまうのです。
ワイヤーを取り付ける際の痛みは、通常は矯正器具を初めて装着したときや、ワイヤーの交換時に最も顕著に現れます。
歯磨きをするとき
歯科矯正治療中に歯磨きをするとき、患者はしばしば痛みや不快感を経験してしまいます。
歯磨きは、歯科矯正器具の周囲の部分に歯ブラシを当て、歯垢や食べカスを除去し、口腔衛生を維持するために欠かせない習慣です。
しかし、矯正器具が歯の表面や歯茎に接触している部分に、歯ブラシを適切に動かすことが難しくなるため、歯磨き中に痛みが生じてしまうのです。
歯列矯正中に歯が痛くなる原因は?
このように矯正中にはいろいろな状況で歯が痛むことがあります。
では続いて、なぜ矯正期間中に歯が痛くなってしまうのかという、その理由についてもう少し詳しく見ていきましょう。
矯正器具による歯への圧力だけが、矯正器南中に歯が痛くなる理由というわけでもありませんので、損理由についてしっかり理解しておくべきです。
口腔内の衛生状態が悪い
歯列矯正中に歯が痛くなる原因は多岐にわたりますが、口腔内の衛生状態が悪いことがそのひとつとなります。
歯科矯正器具は、歯の周囲に食べカスや歯垢がたまりやすく、これが炎症や歯周病の原因となることがあります。口腔内の衛生状態が悪いと、歯ぐきが腫れたり炎症を起こしたりすることがあり、それが歯の痛みを引き起こしてしまうのです。
また、矯正器具の清掃が不十分な場合、食べカスや細菌が器具の周囲に蓄積され、これが歯や歯茎にダメージを与えることもあります。
ですから共石寒中に適切な口腔衛生習慣を維持することは、治療中における痛みの予防に非常に重要となるのです。
歯が移動する際に痛くなる
歯科矯正器具は、歯を矯正するべき位置に移動させるために、歯に圧力をかけます。
この圧力によって歯は歯槽骨内を、新しい位置に移動させられます。
この過程で、歯の周囲の組織に微小な変化やストレスが生じ、それが痛みを引き起こす原因となるのです。
歯が移動する際の痛みは、通常は矯正器具を初めて装着した直後や、調整後に最も顕著になります。
歯が新しい位置に移動する過程においては、周囲の組織に圧力やストレスを加えるため、痛みを引き起こしてしまうのです。
さらに歯の移動に伴って、歯茎や歯の根の周囲の組織が微細な変化を経験するため、これも痛みの原因となります。
ワイヤーを締めたあとに痛くなる
ワイヤーを締めた後に痛みを感じることも、比較的一般的と言えるでしょう。
歯科矯正治療では定期的な調整を行い、歯の移動を促進するために矯正器具のワイヤーが定期的に締められます。
ワイヤーを締めることによって、歯にかかる圧力が増加し、歯が新しい位置に移動する過程がスタートするのです。
ワイヤーを締めた直後やあるいはそれから数日間は、歯が新しい位置に移動する際の圧力や歯の周囲の組織の反応によって、痛みや違和感を感じることがあります。
特にワイヤーが締められた部分周辺の歯や歯茎が痛みがちです。
矯正器具が粘膜に当たる
矯正器具が粘膜に当たることは、歯科矯正治療中によくある問題のひとつです。
特に初めて矯正器具を装着したり、調整後にこれを感じることがあります。
矯正器具が粘膜に当たると、口の中の柔らかい組織に圧力や摩擦が加わり、痛みや不快感を引き起こしてしまうのです。
粘膜に当たる主な原因は、矯正器具が不適切な位置に配置されている場合や、器具自体が粗さや突起を持っている場合となり、矯正器具が粘膜に当たることで、口内炎などが発生する可能性もあります。
歯列矯正中の歯の痛みの疑問
では続いて、歯科矯正中に歯が痛むことに関する疑問についてお答えしていきます。
ワイヤーとマウスピースのどちらが痛くなる?
歯列矯正中の歯の痛みに関する疑問の1つに、ワイヤーとマウスピースのどちらが痛くなるかという点があるのではないでしょうか。
矯正治療中には、ワイヤーやマウスピースが歯に圧力を加え、歯の移動を促進する役割を果たします。
両者が痛みを引き起こす可能性がありますが、その痛みの感じ方や原因は異なります。
ワイヤーは、歯に直接装着され、歯の移動を制御するために使用されます。
ワイヤーが調整されたり締められたりすると、歯にかかる圧力が増加し、痛みを引き起こすことがあります。
マウスピースが合わない場合や適切に調整されていない場合、口の中の粘膜や歯茎に圧力を加え、痛みや不快感を引き起こすことがあります。
そのため、ワイヤーとマウスピースの両方が痛みを引き起こす可能性があるということになりますが、痛みの原因や感じ方は異なるため、一概にどちらが痛いとは言い切れないのです。
痛くなる期間はどのくらい?
痛みの期間は、患者さんの個々の体質や治療の進行状況によって大きく異なります。
一般的には、初期の数日から数週間は、痛みを感じる期間が最も顕著となります。
特に矯正器具を初めて装着した直後や、ワイヤーの調整や交換が行われたときには、歯が新しい位置に移動し始めるため、痛みを感じやすくなります。
歯にかかる圧力が増加し、そのために痛みが発生するのです。この時期は、痛みや不快感が比較的強く、食事や歯磨きに支障をきたすことがあります。
しかし治療が進むにつれて、患者の体が矯正治療に慣れてくるため、痛みの感じ方や期間が短くなることがあります。
何度か調整を繰り返し数ヶ月程度経過すると、痛みの程度が軽減されることがよくあります。
ただし、個々の治療計画や患者の状況によっては、痛みが継続することもあります。
歯列矯正中に歯が痛くなったときの対処法
ではもし矯正治療中に歯が痛くなってしまったとしたら、我慢するしかないのでしょうか。
次に、痛くなってしまったときの対処法について説明していきます。
歯列ワックスを使用する
歯列矯正中に歯が痛くなった場合、患者が自宅で行える対処法の1つとして歯列ワックスの使用があります。
歯列ワックスは、矯正器具の突起部分やエッジが粘膜や口内組織に摩擦を引き起こすのを防ぐために使われます。
歯列ワックスは、器具が口内組織に摩擦を引き起こす際に痛みを軽減し、快適さを向上させるのに役立ち、必要に応じて、矯正治療中の痛みを軽減する他の方法と組み合わせて使用することもできます。
食べ物に注意する
歯列矯正中に歯が痛くなった場合、食べ物に注意することも重要です。
痛みを軽減し、歯や口内組織に負担をかけないようにするために、次の点に注意しましょう。
まず、 痛みを感じているときは、柔らかくてやさしい食べ物を選ぶようにしましょう。
ゆでた野菜や蒸し鶏、柔らかい果物など、噛みやすくて口の中に負担をかけない食品を食べることが大切です。
歯や歯茎に余計な圧力をかけることが痛みを悪化させる可能性があるので、硬い食べ物や粘り気のある食品を控えることも重要です。
痛い歯をを冷やす
痛い歯を冷やすことも、痛みを和らげるための一般的な方法のひとつです。
冷やすことによって、歯周組織の血管が収縮し、痛みや腫れを軽減する効果があります。
氷や冷却パックの利用: 痛い歯の近くに氷を当てるか、冷却パックを使って冷やします。氷を直接歯に当てる場合は、氷を布で包んでから当てるか、氷を袋に入れて使用します。直接歯に当てると冷やしすぎてしまうため、注意が必要です。
冷たい飲み物や食品を摂取する: アイスクリームや冷たい飲み物など、口内に冷たい刺激を与えることで一時的に痛みを和らげることができます。ただし、極端に冷たいものは歯の神経にダメージを与える可能性があるため、適度な冷たさに留めるようにしましょう。
ワイヤーを痛くないように調整してもらう
ワイヤーが痛みを引き起こす場合、歯科医に相談してワイヤーを痛くないように調整してもらうことができます。
歯科医が器具の調整や修正を行うことで、患者の不快感を軽減することができます
ワイヤーが痛みを引き起こす場合は、無理に自分だけで処理しようとせずに歯科医に相談することが大切です。適切な処置を受けることで、痛みを軽減し、治療の効果を最大限に引き出すことができます。
まとめ
今回は歯科矯正治療中に生じる歯の痛みや不快感に対処する方法、矯正器具を装着する際やワイヤーを取り付ける際など、歯が痛くなる時期やその原因を紹介しました。
口腔内の衛生状態が悪い場合や歯が移動する際に痛みが生じたり、歯列矯正中の痛みの期間や、痛みを軽減するための対処法について森かいできたはずです。
歯科矯正治療中に生じる痛みに対処するための様々な方法が紹介されており、患者が快適な治療を受けるための手助けとなれば幸いです。
監修:理事長 森本 哲郎