歯医者でマウスピースを作成するのはどんなとき?その効果と価格はどのくらい?
- 2024年4月22日
- コラム
歯ぎしりや睡眠時無呼吸症候群などの問題を解決するために、歯医者で作成されるマウスピースは、多くの人々にとって有益な治療法となっています。
さらに、意外かも知れませんが歯医者で作るマウスピースは、歯ぎしり以外の目的を持つ場合もあるのです。
しかし、マウスピースに関する情報や価格については、多くの人がよくわかっていないというのが現実ではないでしょうか。そこで今回は、歯医者でのマウスピース作成の目的や価格、効果などについて詳しく解説していきます。
歯医者で作成するマウスピースとはどんなものか?
マウスピースは患者さんの歯列や顎の形状に合わせて作成されます。
口腔内の型を取ることで、患者さんそれぞれの口や歯の形状に合わせて作るわけです。
個別に作成することでマウスピースはしっかりと歯にフィットし、適切な位置に保持されます。
マウスピースの素材は、一般的に耐久性の高い医療グレードのプラスチックやシリコンが使用されます。これらの素材は口腔内での安全性が確保されており、長期間の使用に耐えられます。
柔軟性もあり、噛み合い力を分散させる効果があります。
マウスピースは、患者さんの口腔内の形状や咬合に合わせて調整します。
歯ぎしりや睡眠時無呼吸症候群の治療に使用されるマウスピースは、顎の位置を調整するための装置が付属することもあります。
歯医者での歯ぎしり対策マウスピースはなんのために作る?
ではまず、歯医者ではどんな目的でマウスピースを作成するのかについて見ていきましょう。
夜間用マウスピースの基本は歯ぎしり対策
歯ぎしりとは、睡眠中に無意識のうちに歯を強い力でかみ合わせて摩擦させてしまう状態です。
歯ぎしりが習慣化すると歯や顎関節に負担がかかり、歯のすり減りや顎関節症の原因になります。
歯医者で作成されるマウスピースは、睡眠中の歯ぎしりによるトラブルを減らすために使用されます。
「食いしばり」対策にも使われる
歯医者での歯ぎしり対策マウスピースは、「食いしばり」対策にも使用されます。
食いしばりとは、ストレスや不安などの心理的要因によって引き起こされる「咬筋の過度な緊張状態」のことです。
これは寝ている間でなく緊張している場合などに起きるもので、この状態が続くと、歯ぎしりと同様に歯や顎関節に損傷を引き起こす可能性があります。
歯医者で作成されるマウスピースは、この咬筋の緊張を和らげ、歯や顎の負担を軽減するのに役立ちます。
マウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる歯や顎の損傷を防ぐだけでなく、顎の筋肉の緊張も和らげることができます。
これにより、顎関節症や筋肉の疲労を軽減できます。
ホワイトニング用マウスピースも
歯医者で作成するマウスピースは、ホワイトニングにも使用される場合があります。
通常、歯科医院でのホワイトニングでは、専用のジェルを歯の表面に塗布し、それをマウスピースを用いて歯に密着させます。
マウスピースは患者の歯の形状に合わせて作成され、正確なフィット感を与え、ジェルが均一に歯に塗布されて効果的なホワイトニングが可能となります。
ホワイトニング用マウスピースは、患者が自宅でのホワイトニングケアを行う場合にも使用されます。
患者さんは、歯科医院から提供されたマウスピースに専用のホワイトニングジェルを塗布し、それを一定期間装着します。
ホワイトニング用マウスピースは、歯科医院で専門的に作成されるため、正確なフィット感と高品質な素材が使用されます。
歯ぎしり対策のマウスピースとは?
とは言っても歯医者でマウスピースを作成する多くのケースは、歯ぎしり対策となります。
歯ぎしりは、多くの場合、睡眠中に無意識のうちに歯を磨り合わせる習慣であり、歯ぎしりによって患者さんにとって不快な症状を引き起こされます
では次に、歯ぎしりがなぜ起こるのかについてもう少し詳しく見ていきましょう。
なぜ歯ぎしりしてしまうのか
歯ぎしりは、様々な要因によって引き起こされる症状です。
一つの原因として、ストレスや不安が挙げられます。
精神的な圧力が高まると咬筋が過剰に緊張し、睡眠中に歯ぎしりを引き起こすことがあります。
さらにストレスや不安が続くと、歯ぎしりの頻度や強度が増加する傾向があります。
その他に、睡眠時の呼吸異常も歯ぎしりの原因となり得ます。
睡眠時無呼吸症候群や鼻閉塞などの症状がある場合、呼吸困難に対処するために口を開けてしまうので結果として歯ぎしりをしてしまうのです。
さらに、噛み合わせの不良も歯ぎしりの要因の一つです。
歯並びの不良や噛み合わせの問題があると、噛み合いの不安定さや不快感から、歯ぎしりしてしまう可能性もあります。
マウスピースで力の分散や歯のすり減りを防止する
歯ぎしり対策のマウスピースは、歯ぎしりによる力の分散や歯のすり減りを防止する役割を果たします。
歯ぎしりの際、過剰な圧力が歯にかかると、歯の表面が摩耗して歯のすり減りが生じてしまいます。
この圧力は、顎関節に大きな負担を与えます。
歯ぎしり対策のマウスピースは、このような圧力を緩和し、歯にかかる負担を軽減します。
マウスピースは特殊な素材で作られており、歯列や顎の形状に合わせてカスタマイズされるため、マウスピースを装着することで、歯ぎしりによる圧力が均等に分散され、歯のすり減りが抑制されるのです。
顎関節や筋肉の負担軽減
歯ぎしり対策のマウスピースは、顎関節や筋肉の負担を軽減する役割も果たします。
歯ぎしりによって引き起こされる顎の強い収縮や歯の摩耗は、顎関節や咬筋に過度の負担を与えることがあります。
この負担が継続してしまうと、顎関節症や筋肉の疲労などの問題が発生する可能性があります。
そこで歯ぎしり対策のマウスピースを使用すれば、顎の筋肉を緩和させ顎関節の負担を軽減します。
さらに顎の過剰な収縮を抑制し、筋肉の緊張を和らげることもできます。
これにより、顎関節や咬筋の負担が軽減され、顎関節症や筋肉の疲労を予防できるわけです。
歯医者で作るマウスピースの価格相場
では次に、歯医者で作るマウスピースの価格の相場についてみていきましょう。
いったい歯医者でマウスピースを作ると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
マウスピースの相場はおよそ5000〜10000円
歯医者で作成されるマウスピースの価格相場は、一般的に5000〜10000円の範囲内が相場となります。
マウスピースの材料には、医療グレードのプラスチックやシリコンなどが使用され、高品質な材料を採用すると、耐久性や安全性が高まりますが、その分製造コストが増加します。
一般的な価格帯では、比較的安価で入手できる材料が使用される傾向があります。
さらにマウスピースは患者さんの口腔内の形状に合わせてカスタムメイドされ、カスタマイズの度合いが高ければ高いほど、専門的な技術や時間が必要となり、それに伴い価格が上昇します。
5000〜10000円程度の価格帯では、一般的なカスタマイズが行われますが、特に複雑なケースや細かな調整が必要な場合はもう少し価格が上がることがあります。
マウスピースを作る際に保険は適用される?
マウスピースを作る際に保険が適用されるかどうかは、条件によって異なります。一般的に、歯ぎしりや睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの症状に対するマウスピースは、健康保険の適用対象となります
この保険が適用されるかどうかという条件は、マウスピースが「治療」のために使われるかどうかによります。
ですから先ほど紹介したマウスピースを作る際の理由としていくつか紹介したもののうち、治療扱いとなる歯ぎしりや食いしばりといった、健康に害を及ぼす状態の治療のためにマウスピースを作る乗れ出あれば、これは保険の対象となる開けです。
逆にもう一つ紹介したホワイトニングのためのマウスピースに関しては、こちらは治療という扱いにならないため、保険は適用されません。
マウスピースの寿命はどのくらい?
マウスピースの寿命は、様々な要因によって異なりますが、一般的には1年から3年程度とされています。
マウスピースを毎晩使用する場合や、日中も使用する場合は、摩耗や劣化が早くなる可能性があります。使用頻度が高いほど、マウスピースの寿命は短くなります。
マウスピースは定期的な手入れが必要です。清潔な状態を保つことで、細菌やカビの繁殖を防ぎ、マウスピースの寿命を延ばすことができます。
適切な手入れを怠ると、マウスピースが劣化しやすくなります。
マウスピースは材料によって耐久性が異なります。
高品質な材料を使用したマウスピースは、長期間にわたって効果を維持しやすい傾向があります。
歯ぎしりが強い場合や、摩耗が進行している場合は、マウスピースの寿命が短くなることがあります。
これは、歯ぎしりによってマウスピースが摩耗しやすくなるためです。
このように、マウスピースの寿命は個々の状況によって異なりますが、適切な管理と手入れが行われれば、1年から3年程度の使用が一般的です。
定期的な歯科医院の診察や、マウスピースの状態をチェックすることも重要です。
まとめ
歯医者で作成されるマウスピースは、歯ぎしりや睡眠時無呼吸症候群などの問題を解決するための効果的な治療法です。
マウスピースは、高品質な材料とカスタマイズされた設計によって、患者の口腔内の形状に適合し、効果的に治療を行います。
マウスピースは市販の製品もありますが、しっかりとした効果を得るためには、患者さんに合わせたしっかりフィットする、効果的なものが必要となりますので、もし歯ぎしりや食いしばりなどでお悩みの方がいらっしゃれば、一度歯医者でしっかりとしたマウスピースの作成を検討してみてはいかがでしょうか。
監修:理事長 森本 哲郎