歯科ブリッジとは?ブリッジの種類や保険適用について解説
- 2024年5月10日
- コラム
「欠けた歯の治療方法って何があるの?」
「ブリッジ治療は歯を削る必要があるの?」
「ブリッジ治療は保険が適用されるって本当?」
ブリッジとは歯を失った場合の治療方法のひとつで、他には義歯(入れ歯)やインプラント治療があります。
ブリッジは失った歯の両隣の歯を削って土台とし、人工歯を橋のようにかけて被せる方法です。
インプラントのように外科的な治療を必要としないため、身体への負担は少なくて済みます。
しかし土台となる健康な歯を削るリスクや、失った歯が数本ある場合は土台の歯への負担が大きいため適用されません。
本コラムでは歯科ブリッジ治療のメリットやデメリット、歯を失った場合の他の治療法との違いについて解説します。
またブリッジ治療は保険が適用されるケースもあるため、自費治療との違いも紹介します。
ブリッジ治療について正しく理解でき、治療を選択する場合の一助になるでしょう。
欠損した歯を放置しておくと、歯並びや噛み合わせにも影響します。
そのためまずはご自身の状態が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
歯科ブリッジとは歯の欠損を修復する治療のひとつ
ブリッジとは少数の欠損した歯に対し、残っている歯を土台として人工歯を連結し固定する方法です。
これにより、歯を失う前の形態・機能・審美性を修復できます。
ブリッジの特徴は固定式のため、義歯と異なり取り外せずしっかり咀嚼できます。
またインプラントのように外科的治療が不要なため、身体への負担が少ないのもメリットです。
しかし一般的なブリッジ治療を選択すると、土台となる健康な歯を40〜75%削る必要があります。
ほとんどのエナメル質が失われるため土台の歯が虫歯になりやすく、歯の寿命が縮まるリスクがあります。
歯科ブリッジ主な4種類について
ブリッジ治療は欠損した歯の本数や場所、土台となる隣接する歯の状態によって下記の4つに分類されます。
1.延長ブリッジ
2.ロングスパンブリッジ
3.インレーブリッジ
4.接着ブリッジ
それぞれの特徴について解説します。
1.延長ブリッジ
一般的なブリッジは欠損した歯の両隣を土台としますが、延長ブリッジは一番奥の歯が欠損している場合に、手前の歯を土台としてブリッジを延長する方法です。
奥歯がないと噛み合わせが悪いが、身体的な理由でインプラント治療ができなかったり、義歯のように取り外したくなかったりする場合に用いられます。
しかし片側しか支えがないため、支えになる歯への負担が大きく歯の寿命が短くなるデメリットを考慮すると、第一選択にはなりにくい方法です。
2.ロングスパンブリッジ
ロングスパンブリッジは複数の歯がない場合に行う長いブリッジの方法です。
複数の歯を土台として、欠損した数本をカバーする大きい被せ物になるため、支える歯への負担は大きくなります。
土台の設計がブリッジの寿命を左右するため、以下のようなケースには向きません。
・支える歯の本数が少ない
・神経がない弱い歯
・歯周病があり、すでに歯が揺れている
無理な設計は、場合によっては支えていた歯までも失いかねないため、注意が必要です。
3.インレーブリッジ
インレーブリッジとは土台となる歯を少し削り、部分的に詰め物(インレー)をして人工歯を支える方法です。
通常のブリッジと比較すると土台の歯を削る量は少なく済み、歯の神経を残せる可能性があります。
しかし土台との接着面が部分的なため、固定力は弱く外れやすいのがデメリットです。
ブリッジそのものが外れることもあれば、片側のみインレーが外れ、土台との隙間に汚れがたまり虫歯のリスクが高まります。
4.接着ブリッジ
接着ブリッジは、ほぼ歯を削ることなく土台となる歯に接着剤を使用し固定する方法です。
土台の歯を削らず表面のエナメル質に接着するため、歯の神経を残せます。
固定力が弱いのが難点で、かかる力によってはブリッジが破損したり外れます。
複数の欠損歯には向かず、適用は限られるでしょう。
歯科ブリッジのメリット・デメリット
ブリッジのメリットとデメリットは、下記の表のとおりです。
メリット |
デメリット |
・手術が不要で身体的負担が少ない ・入れ歯のように取り外す必要がない ・治療期間が比較的短い ・保険が適用になる場合は費用が安い(適用外もあり) ・口腔内での違和感が少ない ・自分の歯と同じ感覚で噛み合わせを改善できる ・人工歯の素材によっては、より自然な歯に見える |
・健康な歯を削る必要がある ・削った健康な歯の寿命が短くなる ・ブリッジの土台となる歯の虫歯リスクが高まる ・保険適用の場合、人工歯の素材が限られる(治療部位によっては銀歯になる) ・両隣の歯が治療中の場合は適用できない ・過度な衝撃でブリッジが外れることがある ・金属が見える場合がある |
ブリッジ治療のメリットとデメリットを理解したうえで、ご自身にとって最適な治療方法かどうか歯科医師としっかり相談しましょう。
歯科ブリッジに使われる素材の種類と保険適用について
ブリッジの治療は、使われる素材にもさまざまな種類があります。
素材によって強度や耐久性が異なり、保険適用の有無によって予算もかわってきます。
選択する素材によってより自然な歯の色にも近づけられるため、審美性にこだわりがあれば素材の選択は重要なポイントです。
ここでは保険適用と自費治療の場合にわけてご紹介します。
保険適用の素材2種類
保険が適用される素材は、主に以下の2種類です。
レジン |
金銀パラジウム合金 |
|
特徴と費用相場 |
・金属とプラスチックの混合素材 ・主に前歯のブリッジに使用される ・1~2万円/本 |
・金、銀、パラジウムなどの混合素材 ・主に奥歯のブリッジに使用される ・5,000~1万円/本 |
メリット |
・見た目が白い ・保険が適用されるため安価 |
・レジンと比較すると割れにくい ・レジンよりも安価 |
デメリット |
・耐久性に弱く変色する ・金属アレルギーがある場合には使用できない |
・銀歯のため、審美性は劣る ・金属が溶けだし歯ぐきの着色の原因になる ・金属アレルギーがある場合には使用できない |
保険適用される素材のメリットは価格の安さで、ブリッジの場所によっても使用できる素材がかわります。
金銀パラジウム合金の場合は安価である一方、重金属が口腔内で溶けだす身体への影響も考慮する必要があるでしょう。
自費治療の素材3種類
自費治療の素材は、主に以下の3種類です。
セラミック |
メタルボンド |
ジルコニア |
|
特徴と費用相場 |
・陶器の素材 ・8~10万円/本 |
・中身が金属で外観がセラミック素材 ・8~12万円/本 |
・人工ダイヤモンドの一種 ・10~15万円/本 |
メリット |
・自然な色と質感で見栄えがよい ・汚れが付着しにくい |
・変色しにくい ・汚れが付着しにくい ・中身が金属なのでオールセラミックよりも安価 |
自然な歯よりも耐久性がある |
デメリット |
衝撃が加わると破損の恐れがある |
衝撃が加わると破損の恐れがある |
・耐久性が強いゆえに他の歯を傷つける恐れがある |
いずれの素材も保険適用の素材と比較すると、より自然な歯の色や質感に近づくため、審美性は高いでしょう。
しかし保険が適用されないため、費用相場は8〜15万円と高額です。
耐久性や審美性のこだわり、また予算と相談しながら選択すると良いでしょう。
歯科ブリッジのメンテナンス3つのポイント
ブリッジの寿命を少しでも延ばすには、日頃のメンテナンスが重要です。
メンテナンスのポイントは、下記の3つです。
1.歯間ブラシやフロスを使用し念入りにブラッシングする
2.定期的に歯科受診する
3.歯ぎしりやくいしばりがある場合はナイトガード(マウスピース)を使用する
ブリッジは土台の歯と歯ぐきの間に、食べかすや汚れが溜まりやすい構造になっています。
ブリッジ自体は人工の歯ですが、土台の歯が虫歯や歯周病になれば、当然ブリッジの寿命は縮まります。
よって通常の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシや専用のフロスを使用し丁寧にブラッシングしましょう。
ブリッジの素材によっては、食いしばりや歯ぎしりなどの強い力が持続的にかかることで、破損・接着が外れる問題を引き起こします。
少しでも歯にかかる衝撃を緩和するためにナイトガードも有効です。
またブリッジ装着中に限らず、定期的な歯科受診も重要です。
自身で取りきれない歯垢や、ブリッジの不具合を早期に発見するためにも受診しましょう。
ブリッジと義歯(入れ歯)やインプラントの違い
欠損した歯の治療として、ブリッジのほかに義歯(入れ歯)やインプラント治療があります。各治療法の特徴と、メリット・デメリットは下記のとおりです。
ブリッジ |
義歯 |
インプラント |
|
特徴 |
隣接する健康な歯を土台として失った歯を固定して補う |
一部または全部失った歯を取り外し可能な人工歯で補う |
土台となる歯根部を失った歯の顎骨に埋め込み、人工歯を接着する方法 |
メリット |
・外科的処置が不要 ・噛み合わせの違和感は少ない ・治療期間は短い(1~2ヵ月) ・保険適用可(素材によっては自費治療) |
・取り外し可能なため、手入れしやすく衛生的 ・治療期間は短い(1~2ヵ月) |
・残っている歯への負担が少ない ・自分の歯に近い機能性や審美性が修復可能 |
デメリット |
・隣接する健康な歯を削る必要がある ・残った歯への負担が大きい ・ブリッジが破損するリスクがある |
・異物感があり食事や会話で違和感がある ・残った歯に金属をひっかけて固定するため負担がかかる |
・外科的処置が必要 ・自費治療になるため高額 ・治療期間が長い(半年~1年) |
それぞれにメリット・デメリットがあり、欠損した歯の本数や隣接する歯の状態、どこまで審美性を求めるかによっても選択は変わります。
口腔内の状態だけでなく、インプラントであれば外科的処置が必要になるため全身状態も考慮する必要があります。
それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、最善の治療方法を歯科医師としっかり相談しましょう。
まとめ
ブリッジは欠損した歯を隣接する歯を土台として、人工の歯を被せて修復する治療方法です。
欠損した歯を修復する方法として、義歯(入れ歯)やインプラント治療があります。
ブリッジはインプラント治療と違い、外科的な処置を必要としないため身体への負担が少なく短期間で完了します。
またブリッジは固定式のため義歯よりもしっかり咀嚼でき、違和感も少ないのがメリットです。
一方で土台となる健康な歯を削るため健康な歯の寿命が縮まることや、審美性を優先する場合は、ブリッジに使用する素材が保険適用にならず高額になります。
またブリッジの寿命を延ばすためには、日ごろのブラッシングや歯科受診などのメンテナンスが重要です。
海岸歯科室は患者様のお悩みに寄り添い、世界一優しい歯科を目指しております。
欠損した歯の治療や、実際にブリッジを装着されている方の定期受診やケアが気になる場合にもぜひ一度ご相談ください。
スタッフ一同お待ちしております。
監修:理事長 森本 哲郎