義歯(入れ歯)とブリッジのどちらを選ぶべきか?メリットやデメリットを徹底比較
- 2024年5月11日
- コラム
「抜けた歯には入れ歯?それともブリッジ治療?」
「どちらがいいか分からない…」
「それぞれの違いやメリット・デメリットを知りたい!」
歯を失った場合の治療方法として、義歯(入れ歯)やブリッジ治療があります。
失った歯を放置すると、見た目だけでなく咀嚼や歯並びにも影響するため治療が必要です。
義歯やブリッジ治療は条件によって保険が適用されますが、自費であればインプラント治療もあります。
本コラムでは義歯とブリッジ治療の違いやメリット・デメリットについて解説します。
また義歯を作成するにあたって保険適用と自費の場合の種類や費用相場も紹介するため、義歯を検討している方は参考にしてみてください。
欠損した箇所や状態によって最適な治療方法は変わるため、まずはご自身の状態が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
義歯(入れ歯)とブリッジ治療の特徴について
歯科では失った天然歯の代わりに、入れ歯やブリッジなどの人工歯で歯を補うことを「補綴(ほてつ)」といい、人工歯の総称を「義歯(ぎし)」とよびます。
しかし部分入れ歯や総入れ歯のみを義歯とよび、他の補綴治療と区別する場合もあります。
本コラムでは、義歯は部分入れ歯や総入れ歯を指すものとして記載します。
義歯(部分入れ歯・総入れ歯)について
義歯とは大きく部分入れ歯と総入れ歯の2種類に分けられます。
部分入れ歯は、失った数本の歯を人工歯で補い、本来の機能や見た目の修復をおこなう入れ歯です。
生まれつき歯が少なくて隙間が広く開いていたり、むし歯や歯周病、あるいは事故・手術などで歯や骨の一部がなくなった場合に適応されます。
部分入れ歯は人工歯と、残っている歯に引っかけて固定するためのバネ(支持装置)、歯ぐきの代わりになるピンクの義歯床(ぎししょう)で構成されています。
また総入れ歯とは、上顎・下顎の歯をすべて失った場合の入れ歯です。
歯がないと食べたり喋ったりできないため、総入れ歯の装着は患者さんの生活の質に直結します。
ブリッジ治療について
ブリッジとは少数の欠損した歯に対し、残っている歯を土台として人工歯を連結し固定する方法です。
これにより、歯を失う前の形態・機能・審美性を修復できます。
ブリッジの特徴は固定式のため、義歯と異なり取り外せずしっかり咀嚼できます。
またインプラントのように外科的治療が不要なため、身体への負担が少ないのもメリットです。
しかしブリッジ治療は土台となる健康な歯を40〜75%削るため、ほとんどのエナメル質が失われ、虫歯になりやすく歯の寿命が縮まるリスクがあります。
>> 歯科ブリッジとは?ブリッジの種類や保険適用について解説
義歯(入れ歯)のメリット・デメリット
保険適用の有無によって義歯の種類はさまざまですが、ここでは一般的な義歯のメリットとデメリットについて解説します。
メリット |
デメリット |
・ブリッジと違い、失った歯の本数に応じて作成できる ・残った歯へのダメージが比較的少ない ・ブリッジのように健康な歯を削る必要がない ・比較的短い治療期間で済む ・インプラントのように外科処置の必要がない ・取り外し可能である ・義歯の種類によっては保険適用される |
・固定式ではないので、ブリッジと比べて噛む力が劣る(健康な歯に比べて30%程度) ・固定のためにバネをかけている歯に負担がかかる ・固定のための金具等は汚れが溜まりやすいため、こまめに洗浄する必要がある ・使用せずに放置していると入れ歯が合わなくなる可能性がある ・装着中の異物感がある ・バネの金属が見える場合がある ・食べ物の味や温度を感じにくい |
ブリッジは少数の欠損した歯に対応した治療法ですが、義歯は上下全ての歯を失った場合でも対応可能な点が最大のメリットです。
種類によっては保険が適用されるため、費用が抑えられるのも大きなメリットでしょう。
またインプラントと違って外科的処置が不要な点や、健康な歯を削る必要がないため、残された歯にかかる負担は少なくて済みます。
一方で、固定式でないためブリッジやインプラントよりも噛む力は劣ります。
義歯の種類によりますが、装着時の違和感や味・温度を感じにくい点は、食事をおいしく食べる楽しみが損なわれるでしょう。
取り外しができるのは衛生的に保つ利点にもなりますが、長く装着しないと義歯が合わなくなるデメリットもあります。
保険適用の義歯の種類と相場費用
保険適用の義歯は使用できる素材に制限があり、作成手順も決められています。
価格が抑えられるメリットがある一方で、緻密性は自費より劣るため、装着時の違和感を感じるのがデメリットです。
また作成後6か月間は作り直しができない保険上のルールがあります。
レジン床義歯
レジン床義歯は、人工歯と歯ぐきの役割をする床(しょう)の部分がレジンと呼ばれるプラスチック素材でできている義歯です。
床部分のプラスチックは耐久性をもたせるために厚みがあり、装着時に違和感があります。厚みによって食べ物の温度を感じにくく、味がわかりにくいと感じる場合もあるでしょう。
強く噛めない、または噛むと歯ぐきと擦れて痛みが出る場合もあります。
部分入れ歯の場合は、土台となる歯にひっかけて固定する金具が見えてしまいます。
また素材がプラスチックなため、天然の歯と比較すると色や質感は劣るでしょう。
費用の相場は保険で3割負担の場合、片顎で10,000〜15,000円程度です。
自費の義歯の種類と相場費用
自費の場合は材料の自由度があり、審美性や耐久性を向上させたものや、厚みが薄く違和感が少ないものなど、個別のニーズにそった入れ歯の作成が可能です。
代表的な4種類の義歯を解説します。
金属床義歯
金属床義歯は、歯ぐきの代用となる床(しょう)部分が薄い金属でできている義歯です。
使用される代表的な金属の種類には、コバルトクロム・チタン・ゴールドがあります。
金属は耐久性があり、熱伝導性に優れているため食べ物の温度を感じやすく、おいしく食事ができます。
また金属の床部分が薄いため装着時の違和感が軽減され、発声しやすいのも特長です。
しかし金属アレルギーの人は使用できません。
価格は使用する金属によって異なり、総入れ歯の場合、コバルトクロムは20〜40万円程度、ゴールドが一番高価で50〜70万円程度です。
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは歯ぐきの部分に歯科用の特殊ナイロンを使用し、金具(クラスプ)を使わない部分入れ歯です。
金具がないため義歯を装着しているのが目立ちにくく、金具で残っている歯を傷つけにくいのが特徴です。
ナイロンの柔らかい素材でできているため密着性が高く、装着時の違和感が軽減されます。
しかし補修不可能な素材で耐久性に乏しく、使用年数は2〜3年と短いため破損したら作り直しが必要です。
費用の相場は本数によりますが10万円前後です。
マグネット義歯
マグネット義歯は歯と義歯に金属を埋め込み、磁力で固定させる方法です。
固定のための金属バネがないため、隣接する歯にも負担がかかりません。
磁力でしっかり固定できるため、金属バネを使わないノンクラスプデンチャーよりも安定感があり、しっかり噛めます。
注意点としては、歯に金属を埋め込むため、受診時にMRIなどの磁力が発生する撮影機器や医療機器を使用する際は必ず申告が必要です。
費用の相場は、12万円前後です。
インプラントオーバーデンチャー(インプラント義歯)
顎の骨に2〜6本のインプラントを埋め込んで土台を作り、土台と入れ歯を連結させて装着する方法です。
インプラントの強固な固定力で義歯が浮いたり、外れたりすることなくしっかり咀嚼できるのが最大のメリットです。
インプラント埋め込みのための外科的処置が必要となるため、基礎疾患や口腔内の状態によっては治療が難しい場合があります。
またマグネット義歯と同様に歯に金属を埋め込むため、受診時にMRIなどの磁力が発生する撮影機器や医療機器を使用する際は必ず申告が必要です。
費用の相場は片顎で50万円からで、インプラントが入っているためメンテナンスにかかる費用も高くなります。
失った歯を放置するデメリット
歯を失う原因はさまざまです。
1〜2本の歯がなくとも、短期間であればすぐに生活に支障はないかもしれません。
しかし矯正治療のための抜歯や親知らずを抜いた場合を除いては、失った歯を放置するのはおすすめしません。
失った歯を放置するデメリットは、下記のとおりです。
機能への影響 |
・歯が抜けたスペースに他の歯が動くことで歯並びや噛み合わせが変わる ・嚙み合わせが変わると、顎関節症の原因にもなる ・歯がないことで咀嚼が不充分になる ・残った歯への負担が大きくなる |
審美面への影響 |
・抜けたままだと見た目に影響する ・顔の輪郭が変化してくる ・抜けた歯の歯ぐきがさがってくる |
身体への影響 |
・抜けた箇所によっては、空気がもれて発声に影響する ・咀嚼が不充分になることで、胃腸へ負担がかかる ・歯がないと食べられるものが制限され、栄養面にも影響する ・食べたいものが食べられないストレスがかかる ・咀嚼が弱まると脳への刺激が減り、認知症のリスクが高まる |
生活への影響 |
・抜けた歯の周辺まで悪影響が及ぶと、治療期間や費用がかかる |
歯が抜けると見た目の問題だけでなく、歯がない状態が長期化するほど咀嚼や歯並び・嚙み合わに影響します。
咀嚼が不充分であると食べられるものが制限され、心理的なストレスだけでなく胃腸への負担が増します。
また脳への刺激が減るため、認知症のリスクがあがるといわれています。
放置すればするほど他の歯への影響も大きくなるため、治療期間が延び、その分費用もかさみ経済的な負担も増えるでしょう。
歯を失った場合、短期的には支障を感じていなくても、放置するメリットはありませんので早めに治療しましょう。
まとめ
歯を失った場合の治療として、義歯(入れ歯)やブリッジ治療があります。
ブリッジ治療は失った歯の本数が少ない場合に適用されますが、義歯は全ての歯を失った場合でも対応可能です。
義歯は保険適用の有無によって使用できる素材や作成方法に違いがあり、価格も大きく異なります。
保険適用の義歯はレジンと呼ばれるプラスチック素材で出来ているため、価格は抑えられますが、密着度や使用感は自費の義歯よりも劣るでしょう。
一方、自費の義歯は保険適用の義歯よりも高価ですが、種類が豊富なため審美性や機能性の優先順位によって、より自分にあった義歯が作成できます。
海岸歯科室は患者様のお悩みに寄り添い、世界一優しい歯科を目指しております。
歯を失った際の治療に悩んでいる方や義歯の作成、定期的な歯科検診やケアが気になる方はぜひ一度ご相談ください。
スタッフ一同お待ちしております。
監修:理事長 森本 哲郎