親知らずが生えると歯並びが悪くなるのか?その理由と対策
- 2023年12月18日
- コラム
親知らずが生えることによって歯並びが悪化するのではないかという心配は、特に若い人たちにとっては大きな問題です。
実際、親知らずは成人になる過程で生えてくることが多く、時に痛みや不快感を伴います。
しかしその一方で、親知らずが歯並びにどのような影響を与えるのかは、ある程度専門的な知識がないと理解しにくいはずです。
そこで今回は「親知らずと歯並び」の関係について、特に、親知らずが歯並びに与える影響と、それをどのように管理し対処すればよいかについて詳しく解説していきます。
これを機会にぜひ親知らずの扱い方を理解し、キレイな歯並びと口腔の健康を保つための知識を身につけてください。
親知らずとは何か?歯並びにどう影響するのか
ではまず、問題の親知らずとは一体どのようなものなのかについてみていきましょう。
親知らずはなぜ生えてくるのか
親知らずとは、一般的に成人初期に生えてくる「第三大臼歯」のことを指し、多くの人にとって生える場所が限られて、その上なんらかの問題を引き起こすことがあります。
通常、人間の口腔内には28本の永久歯がありますが、親知らずが生えてしまうとこれが32本になってしまいます。
一般的な顎のサイズの人に親知らずが生えてしまうと、顎のスペースがそこまで広くないため正常に生えることができず、その結果様々な問題が生じることがあるのです。
親知らずが生える年齢は一般的に17歳から25歳の間であり、この時期になると、親知らずが顎の後ろから突出し始めます。
多くの場合親知らずは生えるための十分なスペースがなく、斜めに生えたり完全には生えきらない「埋没歯」となってしまいます。
これが原因で歯並びが乱れてしまったり、痛みや感染症を引き起こしたりすることがあるのです。
さらに、親知らずが原因で他の歯に圧力をかけ、既存の歯並びに影響を及ぼすこともあります。
親知らずはこのように顎のスペースと親知らずのサイズの不一致によって問題が起こります。
このため、親知らずが生えてくる時期には、多くの人が歯科医に相談し、適切な処置や管理が必要となるのです。
親知らずの生える時期と一般的な症状
親知らずが生えるのは、通常17歳から25歳頃になります。
ただし現れる症状は人それぞれ異なります。
多くの場合、歯茎の腫れや痛みが最初の兆候として現れることが多く、これは親知らずが顎骨を通って突出しようとする際に生じます。
歯が正しく生えてこない場合、埋没歯や部分的にしか顔を出さない状態になることもあり、これによって歯茎の一部が刺激されてしまいます。
その他にも歯並びに圧力がかかることで隣接する歯への不快感や痛みが生じることもあり、時には頭痛や顎の痛みを引き起こしてしまうかもしれません。
こうした症状は、親知らずが正常に成長しきれずに生じる問題であり、顎のスペースが特に狭い人に顕著にあらわれます。
親知らずが歯並びにどのように影響するのか
親知らずが歯並びに与える悪影響は主に、親知らずの成長と顎のスペースの不足に起因します。
多くの場合、顎の大きさが親知らずが生える充分なスペースがないため、親知らずの歯が生える際に問題が生じるのです。
親知らずが正常に垂直に生えるスペースがないと、親知らずは斜めに生えるか、他の歯を押し出す形で成長してしまいます。
これにより、すでに生えている歯が圧迫され、歯が移動したり詰まったりして歯並びが悪化してしまうのです。
特に、既に矯正治療を受けている人の場合、親知らずの成長は治療結果に悪影響を及ぼしてしまいます。
さらに、親知らずが完全に顎の中に埋没している場合、歯茎や顎の骨にまで影響を与えてしまい、痛みや腫れを引き起こすことがあります。
こういった問題は、親知らずが生える位置や角度、そして個々の顎の形状によって異なりますが、一般的には親知らずが原因で歯並びの問題が生じることがあり、適切な歯科治療を要する場合があります。
親知らずは抜かなければいけないのか?その管理と対処法
では続いて、親知らずが生えてしまった場合に、どのように対処すれば良いのかについて説明していきます。
親知らずを抜くか抜かないかは何で決めるか
親知らずを抜くかどうかの判断は、痛みや不快感、感染の有無、歯並びへの影響、そして顎のスペースの有無など複数の要因から判断します。
親知らずが引き起こす痛みや不快感は、これらの歯が正常に生えてこないことや他の歯に圧力をかけることが原因であることが多く、これが抜歯の主要な理由となります。
親知らず周辺の歯茎が頻繁に腫れたり感染を起こしたりする場合、特に部分的にしか生えてこない親知らずは歯磨きが困難となり、これも抜歯を考慮する重要なポイントです。
親知らずが他の歯を押し出して歯並びを悪化させる可能性がある場合、特に矯正治療を受けている人にとっては、抜歯が推奨されることがあります。
もちろん矯正治療をしていなくても、親知らずによって適正だった歯並びが悪くなってしまう可能性もありますので、歯並びの悪化を心配する場合も抜歯した方が良いことがほとんどとなります。
その他に、顎に十分なスペースがなく、親知らずが正しく成長することができない場合も抜歯が検討されます。
これらの要因を総合的に評価し、患者の全体的な口腔健康と快適性を考慮して、歯科医師が抜歯の必要性を判断することになるのです。
親知らずを抜かないとどんな問題が起こるのか
親知らずによる歯並びの悪化は、まずは見た目の問題が主な要因となるはずです。
しかしそれだけではなく、親知らずでは並びが悪く張ってしまうと口腔全体の健康に多大な影響を及ぼすこともあります。
歯並びが悪化するとブラッシングやフロッシングが困難になることから、虫歯や歯周病のリスクを高めることがあります。
それ以外にも上下の歯のかみ合わせに影響を与えることで、顎関節症になってしまったり咬筋の疲労、頭痛などの問題を引き起こしてしまうかも知れません。
あるいは噛み合わせの悪化によって、特定の音の発音が難しくなることがあり、これがコミュニケーションに支障をきたすこともあります。
気になる歯並びの悪さによる外見的な見た目の悪化は、自己意識の問題や自信の喪失など、心理的な影響も無視できません。
これらの問題を総合的に考慮すると、親知らずによる歯並びの悪化は早期に対処することが重要で、適切な治療によってこれらの問題を最小限に抑えることができます。
親知らずが原因で生じる問題を予防・管理する方法
親知らずが原因で生じる問題を予防し、効果的に管理するためにはいくつかの方法があります。
これらの方法は、潜在的な問題を最小限に抑え、親知らずに関連する不快感や合併症を予防するのに役立ちます。
まず、親知らずが生え始めたら、早めに歯科検診を受けるようにしてください。
歯科医師は、X線検査を通じて親知らずの位置や成長の方向をチェックし、将来的な問題を予測でき、早期に親知らずの位置や状態を把握することで、必要な場合には早めの治療が可能となります。
親知らずが部分的にしか生えてこない場合や、完全に埋没している場合、歯茎の腫れや雑菌感染のリスクが高まります。
これを予防するためには、親知らず周辺の徹底した歯磨きが効果的です。
柔らかい歯ブラシを使用し、歯茎を優しくマッサージするようにブラッシングすることで、食べ物の残りやプラークの蓄積を防ぎます。
親知らずが他の歯に圧力をかけている場合、不快感や痛みを感じることがあります。
このような症状が現れた場合は、冷やしたり必要に応じて痛み止めの服用が役立ちます。
ただし、これらの対処法は一時的な解決策であり、症状が続く場合は歯科医師に相談することが最善です。
親知らずが原因で歯並びや噛み合わせに影響を与えている場合、抜歯を含む治療を検討する必要があります。
患者さんの全体的な口腔の健康と将来的なリスクを考慮し、抜歯や他の治療が必要になるからです。
定期的な歯科検診の重要性と抜歯の選択肢
親知らずの管理において、定期的な歯科検診の重要性は非常に重要なものとなります。
歯科検診により、親知らずの位置や成長の状態をチェックすれば、潜在的な問題や合併症のリスクが早期に特定できます。
これにより、親知らずが引き起こす可能性のある歯並びの悪化、咬合の問題、感染、または痛みなどの問題を予防できるわけです。
歯科医師はX線検査を用いて親知らずの正確な位置を特定し、周囲の歯や顎の骨に与える影響をチェックします。
このことで親知らずを残しても良いのか、あるいは抜歯する必要があるかを判断するのです。
親知らずが部分的にしか生えてこない、あるいは完全に埋没している、または他の歯に悪影響を与えている場合には、抜歯を検討することがあります。
抜歯は、親知らずによって引き起こされる問題を根本的に解決する方法であり、痛みや感染のリスクを減らし、歯並びの問題を事前に防げます。
抜歯した場合、抜歯後のケアに関しては個人差がありますが、適切なケアによって素早く回復でき、合併症のリスクを最小限に抑えることができるのです。
このように、定期的な歯科検診と必要に応じた抜歯は、親知らずに関連する問題を予防し、長期的な口腔健康を維持するための重要な要素です。
患者さんは自身の口腔状態を理解し、歯科医師の指導に従って適切な対応をとることが推奨されます。
まとめ
親知らずは、多くの人にとって避けられない問題であり、その成長は時に歯並びの乱れや痛みなどの問題を引き起こす可能性があります。
しかし定期的な歯科検診を受けていれば、これらの問題を早期に発見し、適切に対処することが可能です。
親知らずの抜歯は、問題を根本的に解決する効果的な方法で、抜歯後のアフターケアも非常に重要です。
抜歯後は、指示に従った適切なケアにより合併症のリスクを最小限に抑え、適切なブラッシング、バランスの取れた食生活、そして定期的な歯科検診によって、健康な口腔環境を保つことが可能となります。
この情報が親知らずの問題に直面している方々に役立ち、適切なケアと予防措置によって口腔の健康を保つための参考になれば幸いです。
親知らずに関連する問題や疑問がある場合は、適切な時期に歯科医師に相談することを強くお勧めします。
監修:理事長 森本 哲郎