高齢者でもインプラント治療は可能?そのメリットや注意点を知っておこう
- 2024年1月13日
- コラム
高齢者がインプラント治療を検討する際、その適応条件やメリット、同時に注意が必要なポイントについて知っておくことは重要です。
そこで今回はで、高齢者が安心して治療を受けるための条件や期待できるメリット、そして治療を検討する際の留意点を詳しく解説していきます。
高齢者の口腔健康に対するインプラント治療のアプローチについて理解を深められるように役立ててみてください。
インプラントに年齢制限はあるのか?
まず気になるのが、インプラントには年齢制限があるかどうかという問題でしょう。
まずはそこからじっくりと見ていきましょう。
一般的に年齢制限はない
結論から言えば一般的に、インプラント治療においては年齢制限はないといっても問題はありません。
健康な高齢者であれば、インプラントを受けることができる場合があります。年齢よりも患者の全身状態や口腔状態が治療の可否に大きな影響を与えます。
ただしいくつかの条件があることも忘れてはいけません。条件に関しては後ほど説明していきます。
高齢者の場合いくつかの条件がある
ただし 高齢者のインプラント治療には、一部の条件があることも否定できません。
例えば、心臓病や糖尿病などの全身的な健康状態がインプラント治療に制約を与える場合があります。
さらに、インプラントがしっかりと骨に結合するためには適切な骨密度が必要であり、高齢者の中には骨密度の低下がみられることがありその場合もインプラントができない可能性があります。
インプラント治療の高齢者へのメリット
では続いて。高齢者がインプラント治療をすることのメリットについてチェックしていきます。
咀嚼(そしゃく)機能が向上する
高齢者におけるインプラント治療の第一のメリットは、咀嚼機能の向上です。
インプラントは天然の歯と同様の安定性を持ち、正確な噛み合わせを可能にします。
これにより、高齢者は食事を十分に噛むことができるので、栄養の吸収もよくなります。さらに咀嚼機能が向上することで、全身の健康を維持し、食事から得られる栄養を最大限に利用できるようになります
自然な外見の維持
次に、高齢者にとってのインプラント治療のメリットとしてあげられるのが、自然な外見が保てるというポイントです。
インプラントは天然の歯に近い外観を持っており、違和感なく口元の美しさを保つことができます。
高齢者もまた笑顔や表情を大切にするべきと考えている方はたくさんいらっしゃいますので、インプラントによって自然な歯並びを実現できれば、自信を持って積極的に笑顔を取り戻せるようになるはずです。
周囲の歯の保護:
高齢者にとっては、周囲の歯の保護も重要です。
従来のブリッジ治療は周囲の歯を削らなければなりませんが、インプラント治療ではインプラントを埋め込むだけで済むため、周囲のな歯の状態を保てます。
周囲の歯にかかる負担やダメージを最小限に抑えれば、口腔全体の健康が維持され、残存歯の健康も保てるようになります。
自然な発音のために
自然な発音の維持も、高齢者にとってのインプラント治療の重要なメリットの一つです。
インプラントがしっかりと噛み合えば、発音が自然で明瞭になります。高齢者は発音がしにくくなるものであり、歯の問題で撥音ができないと、コミュニケーションにが取りにくくなりがちです。
インプラント治療によって正確で自然な発音を保てば、コミュニケーションの向上に寄与し、高齢者が円滑に会話を楽しむ手助けとなります。
高齢者がインプラント値用をする場合の条件
このように高齢者がインプラントを利用することには多くのメリットがありますが、高齢者ならではの条件があることも事実です。
では一体インプラント治療を受けるために必要な条件にはどのようなものがあるのでしょうか。
一般的な健康状態
高齢者がインプラント治療を受ける際の条件としては、まず一般的な健康状態が重要となります。
もし一般的な健康状態が悪いと、インプラントの手術や治療が難しくなる可能性があります。したがって、高齢者がインプラント治療を検討する際には、事前に十分な健康診断を受け、治療に耐えうる状態であるかどうかを確認することが重要です。
これには慢性疾患の有無や既存の医学的な条件などが含まれます。例えば、高血圧、糖尿病、心臓病などの慢性的な健康問題がある場合、これらの疾患が治療にどのように影響するかを正確に把握する必要があります。
口腔内の健康状態
高齢者がインプラント治療を検討する際、口腔健康は極めて重要です。
歯周病や歯の腐食などの口腔疾患が存在し、問題が解決されないままインプラント治療を行うと、治療が成功しにくくなります。
そのため、事前に歯科医師との相談を重ね、適切な処置を施してから治療を開始することが必要です。
例えば、歯周病やその他の口腔疾患がないかどうかを確認することが重要です。歯周病は口腔内の炎症を引き起こし、これがインプラント治療の障害となる可能性があります。また、既存の歯や歯ぐきが健康でなければ、インプラントが正常に機能しづらくなります。
骨密度と量
高齢者がインプラント治療を受ける場合、骨密度と量のチェックが欠かせません。なぜなら、インプラントは人工的な歯根として骨に結合する必要があり、骨の状態が治療の成功に直結するからです。
高齢者の場合、骨密度が低下していることが一般的です。骨密度が低いと、インプラントがしっかりと安定せず、治療の効果が損なわれる可能性があります。そのため、事前にレントゲンやCTスキャンなどを使用して骨の密度と量を確認し、治療計画を立てることが不可欠です。
骨の量も考慮する必要があります。
十分な骨量がない場合、インプラントを安定して配置することが難しくなります。骨の不足を補うために、骨移植などの補強手段が検討されることもあります。
一般的な手術リスク
インプラントには外科手術が必要となり、手術にはいくつかのリスクが伴います。
しかし一般的に考えて、高齢者は他の年齢層よりも手術によるリスクが増加することがあります。
これらのリスクには感染症や麻酔に関連する合併症などが含まれます。高齢者がインプラント治療を検討する際には、一般的な手術リスクにも留意する必要があります。手術には常にリスクが伴いますが、高齢者の場合、これらのリスクが増加する可能性があります。
一般的な手術リスクには、以下のような点が挙げられます。
まずは麻酔に伴うリスクです。
高齢者は全身の状態が脆弱な傾向にあるため、麻酔に対する耐性が低下している可能性があります。そのため麻酔の合併症や影響について慎重に検討されるべきです。さらに 手術に伴い、感染のリスクが存在します。
高齢者は免疫系が弱まっていることがあるため、感染症に対するリスクが高まります。
手術部位からの出血が発生する可能性もあります。特に抗血栓剤を服用している場合など、凝固能力に影響を及ぼす要因がある場合は慎重な対応が必要です。
インプラント手術に伴う手術部位の合併症も考えられます。これには痛みや腫れ、術後の不快感などが含まれます。
患者の希望とライフスタイル
インプラント治療は、患者さんの希望やライフスタイルに基づいて治療計画を立てることになります。
もし高齢者が手術を受けることに抵抗がある場合や、治療後のケアやフォローアップに参加できるかどうかが心配な場合は、治療をするべきかもしっかり事前に検討しなければなりません。
歯のストレスなどの問題
過度なストレスの回避も考慮しましょう。インプラントには適切な噛み合わせの状態が求められます。
高齢者は歯ぎしりや噛み砕く習慣がある場合がありますが、これらの習慣がインプラントに過度な力やストレスをかけないように心掛けることが重要です。
定期的な歯科健診やカウンセリングを通じて、患者が自身の口腔健康に気を配り、不必要な力がかからないような習慣づけが必要となります。
患者自身の自己管理
インプラント治療後も日常生活での注意が必要です。
高齢者はインプラント治療中、治療後の口腔ケアを怠らず、適切な清掃やフロスなどを用いた歯周ポケットのケアを行う必要があります。
もちろん定期的な歯科検診やクリーニングを受けることで、インプラント周囲の健康状態を維持しなければなりません。
まとめ
近年、高齢者でも歯科治療が進化し、インプラント治療が生活の質を上げるための価値のある選択肢となっています。
今回は高齢者がインプラント治療を受ける際の条件やメリット、注意点についてチェックしてきました。
高齢者がインプラント治療を受ける場合、一般的な健康状態や口腔健康がまずできるかどうかの判断基準となります。特に骨密度や手術リスク、生活習慣にも配慮が必要です。
これらの条件を満たすことで、高齢者でも安全に治療を受けることができます。
高齢者がインプラント治療をするメリットとしては、咀嚼機能が向上し、自然な外観が維持されます。周囲の歯を保護し、外見的なイメージアップも期待できます。発音や心理的な側面にも良い影響を与え、長期的な口腔健康を維持できるでしょう。
ただし注意点としては、手術に伴うリスクやストレスへの注意が必要です。
高齢者においてはこれらの要因がインプラント治療の負担や良い結果が得られない可能性を増加してしまうかも知れません。まずは患者さん自身が治療に納得し、定期的なフォローアップを行うことが重要となるのです。
このように、高齢者でもインプラント治療は適切な条件と注意があれば十分に受けることができるメリットのある治療法です。
監修:理事長 森本 哲郎