インプラントのメンテナンスは、毎日の歯磨きだけで本当に足りていますか？

「インプラント周囲がなんだか腫れっぽい」「電動歯ブラシは使っても大丈夫なのか迷っている」そんな声を多く聞きます。実際、歯科医院でインプラントの再治療に至るケースの約4割が、毎日のケア不足やブラシ選びのミスに原因があると報告されています。

とくにインプラントは、天然歯と違って周囲に血管が少なく、細菌が繁殖しやすい特徴があります。放置するとインプラント周囲炎や骨吸収が進行し、せっかくの治療が無駄になりかねません。では、どんな電動歯ブラシなら歯茎を傷つけずに、毛先がプラークや汚れを効果的に除去できるのでしょうか？

最後まで読むと、インプラントを長持ちさせるための正しい電動歯ブラシ選びと、毎日のオーラルケアを効率化する方法が明確になります。損失回避のためにも、今すぐチェックしてください。

インプラントに電動歯ブラシは使って良いの？

電動歯ブラシの必要性とインプラントへの相性

インプラントは人工歯根であり、天然の歯と違って神経が通っていません。そのため痛みに気づきにくく、炎症やトラブルが進行してから発見されるケースが多いのが特徴です。こうした背景から、インプラント治療後には「定期的な歯科メンテナンス」と「毎日のセルフケア」が不可欠とされています。

特に電動歯ブラシの導入は、セルフケアを大きく進化させる有効手段です。インプラントの表面には、プラーク（歯垢）が天然歯よりも付着しやすく、放置するとインプラント周囲炎を引き起こす原因になります。一般的な手動ブラシでは取りきれない微細な汚れを除去するには、振動機能を持つ電動ブラシが有効です。

項目	手動歯ブラシ	電動歯ブラシ
清掃能力	使用者の技術に依存する	音波や超音波の振動で微細な汚れを自動で除去可能
歯茎への負担	力の入れ方によって傷つけるリスクがある	圧力センサー搭載モデルは過剰な力を自動でカット
時間効率	一定の時間が必要	自動タイマー機能で短時間でも適切な磨き残し防止が可能
メンテナンス性	手軽で持ち運びやすい	替えブラシの入手や本体充電などの手間がある

インプラントに対応する電動歯ブラシとして推奨されるのは、以下のような特徴を備えた製品です。

1. 音波式または超音波式（例：ソニッケアー、オムロンなど）
2. ソフト毛（柔らかめ）のブラシヘッド
3. 圧力センサー付きで歯茎への過剰な圧を防止
4. タイマー搭載で理想的なブラッシング時間を確保
5. 替えブラシが簡単に入手できる国内ブランド

とくに音波歯ブラシは、毛先が触れにくい隙間にも微細振動が届きやすく、インプラントの周囲や歯間に残るプラークの除去に優れています。フィリップスのソニッケアーシリーズやパナソニックのドルツシリーズがインプラント対応として多くの歯科医院からも推奨されています。

加えて、患者の年齢や歯茎の状態によっては、柔らかめのブラシヘッドや細かい振動数を調整できる機能があるとより安心です。製品選びの際には、ブラシの「毛先形状」や「ヘッドの大きさ」なども確認し、インプラント周囲を傷つけず効率よくケアできるモデルを選びましょう。

さらに、インプラント治療を行った医院で推奨される製品がある場合は、そちらを優先的に検討することも選定の近道になります。治療履歴や患者ごとの口腔環境に応じたアドバイスを受けられるためです。

歯科医が伝える「使えるかどうか」の判断基準

インプラント治療を受けた方が電動歯ブラシを使用する際、最も重要なのは「自分の口腔内の状態に適しているかどうか」を正しく判断することです。すべての人が無条件で使えるわけではなく、術後の回復状況やインプラントの構造、周囲組織の健康状態によって向き不向きが異なります。

一般的に、術後2〜4週間は歯茎や骨の安定が不十分であるため、電動歯ブラシの使用は控えるべきとされています。これは、振動やブラシの圧力が傷口に刺激を与え、治癒を妨げたり、痛みや炎症を引き起こす可能性があるためです。したがって、使用開始のタイミングは必ず担当の歯科医の診断を受けることが必要です。

また、インプラントの構造も判断基準に関係します。例えば、骨造成を伴うケースや、複数本のブリッジ構造で支えている場合は、周囲の歯茎や骨の反応がより繊細になるため、適切なブラシヘッドの大きさや振動方式を選定することが重要になります。

判断項目	チェック内容例
術後の経過期間	少なくとも2〜4週間は経過しているか
インプラント周囲の炎症有無	腫れや出血、痛みがないか、ブラッシングで出血しないか
インプラントの本数	単独歯かブリッジかによって振動の影響が異なる
歯茎の状態	下がりすぎていないか、露出部分に痛みがないか
使用する電動ブラシの特性	ソフト毛、圧力センサー、音波方式などの有無

また、歯科医院でのメンテナンス時には、電動ブラシを持参して適切な当て方や振動の強さを評価してもらうことが推奨されます。自己判断で使用を開始すると、知らずに傷つけてしまう可能性があるため、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスを仰ぐのが最も安全です。

電動歯ブラシの利点としては、一定のリズムで歯面を清掃でき、プラーク除去率も高いという点が挙げられます。特に音波歯ブラシは、毛先が届きにくいインプラント周囲の隙間まで微細振動で清掃可能です。代表的な製品としては、フィリップスのソニッケアーやパナソニックのドルツがあり、歯科医師の間でも推奨されているモデルです。

しかし、これらの性能を正しく活かすには、使用タイミング・当て方・力加減を誤らないことが前提です。電動ブラシの選定と使い方を誤ると、かえって歯茎を下げたり、インプラントの長期安定性に影響を与えてしまうこともあります。電動ブラシの購入後も、定期的な歯科でのチェックを欠かさず、継続的に最適な使用方法を見直すことが必要です。

電動歯ブラシが適さないケースと代替ケア方法

電動歯ブラシは多くのインプラント患者にとって有用ですが、すべてのケースに適しているとは限りません。とくに術後の回復が遅れている方や、特定の口腔トラブルを抱える方、高齢者など一部の層では逆効果になることもあるため注意が必要です。

例えば、感受性が高い人や知覚過敏の傾向がある人にとっては、音波や超音波の振動が刺激となり、痛みや不快感を生じさせることがあります。また、歯茎が下がって象牙質が露出している場合、振動が神経を直に刺激してしまう可能性も否定できません。

高齢者の中には、口腔乾燥症（ドライマウス）や手の震えによってブラシのコントロールが難しい場合もあり、電動歯ブラシの利便性よりも「安定した使いやすさ」が重要になるケースもあります。

不向きなケース	主な理由	推奨される代替策
術後間もないインプラント患者	傷口が安定しておらず、振動刺激で悪化の恐れがある	超ソフトの手動歯ブラシを使用し、指導の下でケア開始
知覚過敏が強い人	振動で神経が刺激され、痛みを感じる可能性がある	手磨きと薬用の知覚過敏ケア歯磨き粉の使用
高齢者で手のコントロールが難しい	正しい角度や当て方が難しく、逆に磨き残しが発生する可能性	グリップが太く軽量の手動ブラシと家族のサポート
炎症や出血がある場合	歯茎の状態が悪く、電動ブラシの使用で悪化する恐れがある	炎症が落ち着くまで手磨きに切り替え、歯科での治療を優先

代替策としては、以下のような手段が効果的です。

• 極細毛の手動ブラシで力を入れすぎず優しく磨く
• 歯間ブラシやデンタルフロスを併用して隙間ケアを徹底
• 殺菌効果のあるマウスウォッシュで補完的ケアを行う
• 歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングを定期的に受ける
• 専門医の指導のもと、症状が改善したら再度電動ブラシを検討する

とくにインプラント周囲炎の兆候が見られる場合には、自己判断での使用を避け、歯科医院での診断と指導を受けた上で適切なケア方法に切り替える必要があります。歯茎が赤く腫れていたり、ブラッシングで出血する場合は電動歯ブラシの使用は一時中止し、専門的な対処が優先されるべきです。

さらに、インプラント用に設計された歯ブラシの中には、手動式でもヘッドが小さくて柔らかい製品が多くあります。これらは傷つきやすいインプラント周囲の歯茎にも優しく、特に術後の初期段階や口腔内の敏感な方に向いています。

インプラントに最適な電動歯ブラシおすすめ機種

音波式・超音波式・回転式の違いとインプラントとの相性

電動歯ブラシを選ぶ際、振動方式によってその特徴や清掃力は大きく異なります。特にインプラント治療を受けた方にとっては、歯茎や周囲のインプラントケアへの影響が非常に重要なポイントになります。主に電動歯ブラシには「音波式」「超音波式」「回転式」の3種類がありますが、それぞれの特性とインプラントとの相性について理解しておくことは、自分に最適な製品選びの第一歩です。

振動方式	主な特徴	清掃力	歯茎への優しさ	インプラントとの相性
音波式	約3万回／分の高速振動で水流を発生	歯間のプラーク除去に優れる	比較的優しい	非常に良い
超音波式	160万Hz超の微細振動で細菌の結合を破壊	目に見えないバイオフィルム除去	極めて優しい	非常に良い
回転式	円形ブラシが回転し歯面をこすり落とすタイプ	着色や大きな汚れに強い	やや強め	使用には注意が必要

まず音波式は、振動数が約30,000回／分と非常に高く、唾液中の水流を利用して歯間やインプラント周囲の汚れを効率よく除去します。毛先が直接触れにくい部分にもアプローチできるため、歯科医師の多くが推奨しています。

一方、超音波式は微細な振動を発生させることで、プラークやバイオフィルムの結合を破壊します。毛先が直接接触しなくても効果を発揮する点から、手術後のデリケートな時期や、歯周病予防にも適しており、最も歯茎に優しい方式です。超音波歯ブラシは特に「インプラントケア」において有効とされる理由です。

対して回転式は、高速でブラシが回転し汚れを物理的にこそぎ落とす構造で、研磨作用が強いため、着色除去には優れます。しかし毛先の接触圧が強くなりがちで、インプラント周囲の歯茎や人工歯の接合部に過剰な圧力がかかる可能性があるため、使用には細心の注意が必要です。特に骨との結合が進んでいない早期段階での使用は避けたほうがよいでしょう。

振動方式の違いは、使い方や歯磨き粉、さらにはブラシの毛先形状との組み合わせによってもその効果や安全性が変わるため、単純に「回転式だからダメ」とは言い切れません。しかし、インプラント患者にとっては、歯茎への優しさと振動の種類を理解し、慎重に選ぶ必要があります。特に、音波・超音波式を中心にインプラント対応をうたう製品が増えてきており、歯科医院での推奨もその傾向を反映しています。

音波式・超音波式・回転式の違いとインプラントとの相性

インプラントを長く快適に保つためには、日々の口腔ケアが欠かせません。特にインプラント周囲炎を予防するためには、適切な電動歯ブラシの選定が極めて重要です。現在主流となっている電動歯ブラシには「音波式」「超音波式」「回転式」の3タイプがあり、それぞれに特徴とインプラントとの相性の良し悪しがあります。以下に、方式ごとの違いを表にまとめました。

種類	清掃原理	特徴	インプラントとの相性
音波式	毎分約30,000回の音波振動	歯と歯茎に優しく、使いやすい	非常に良い
超音波式	毎分160万回以上の超音波振動	プラーク除去率が高く静音性も高い	良い
回転式	丸型ブラシが回転し物理的に除去	力強い磨き心地、除去力が強い	やや注意が必要

音波式は、毛先が歯面に触れなくても唾液中の気泡を介して汚れを浮かせるため、インプラントのチタン素材や周囲の歯茎に優しく、最も推奨される方式といえます。代表的な製品にはソニッケアーやオムロンメディクリーンなどがあり、歯科医師の間でも高評価です。

一方、超音波式はさらに微細な振動により、バイオフィルムやプラークの除去率が非常に高い点が魅力です。ただし、使用方法を誤ると歯茎を痛める可能性もあるため、適切なブラシ圧と動かし方を理解しておく必要があります。

医師推薦モデルと市販モデルの差

電動歯ブラシには、歯科医師が診療の現場で推薦しているプロ向けモデルと、家電量販店やECサイトで購入できる市販モデルがあります。両者の違いは、価格だけでなく、清掃性能、振動制御、耐久性、ブラシヘッドの設計など、さまざまな面に及びます。

まず医師推薦モデルは、インプラントを想定して設計されているケースが多く、歯茎や人工歯にかかる負担を軽減するためのモードやセンサー機能が豊富です。たとえば、ソニッケアーの「プロテクトクリーン」シリーズや、オムロンの「HTB320」は、ブラシ圧を自動調整する機能やガムケアモードが搭載されており、使用者の歯や歯茎の状態に合わせた丁寧なケアが可能です。

一方、市販モデルは価格帯が幅広く、手頃なエントリーモデルも多いため、初めて電動歯ブラシを使用する人にも人気があります。ただし、機能面で医療機関推奨モデルに劣ることもあるため、インプラント治療を受けた後の使用を考えると、慎重な選定が必要です。

項目	医師推薦モデル	市販モデル
清掃力	高（インプラント専用設計）	中～高（機種により異なる）
歯茎への優しさ	センサー制御あり、非常に優しい	基本は自動制御なし
メンテナンス性	替えブラシの互換性が高い	限定モデルの替えが少ない場合も
安心感・信頼性	歯科医師の監修・推奨が明確	一部口コミ頼り、選定基準が不明確
価格帯	やや高め（1万～2万円台）	幅広い（3千円～2万円台）

医療用として紹介されているモデルは、レビュー評価や歯科での採用実績など信頼に足る根拠があるため、インプラント患者にとっては「安全」「安心」という面で優位性があります。

インプラント後のセルフケア！電動歯ブラシで予防できる病気とその効果

インプラント周囲炎とは？歯科医が教える予防法

インプラント治療は、天然歯のような見た目と咀嚼機能を取り戻せる優れた治療法ですが、適切なセルフケアを怠ると「インプラント周囲炎」という深刻な病気を引き起こすことがあります。これはインプラントの周囲にある歯茎や骨が炎症を起こし、進行するとインプラントが脱落するリスクすらあります。インプラントの成功と長期安定の鍵は、治療後の日々のオーラルケアにかかっていると言っても過言ではありません。

まず、インプラント周囲炎が発症する主な原因は、歯垢（プラーク）の蓄積と、それに伴う細菌感染です。歯周病と同様に、インプラント周囲に付着した汚れが引き金となり、炎症反応が起きます。ただし天然歯とは異なり、インプラントには歯根膜が存在しないため、炎症が進行すると骨に直接ダメージが及びやすく、より重症化する傾向があります。

セルフケアで最も重視されるのは、毎日のブラッシングによるプラークコントロールです。とくに電動歯ブラシは、手磨きよりも効率的に歯垢を除去できることが多数の研究で示されています。たとえば、音波歯ブラシは毎分31,000回以上の高速振動で微細な泡を発生させ、ブラシの届かない歯周ポケットや隙間にも汚れをかき出す効果が期待されています。超音波歯ブラシにおいては、さらに細かい振動によって、バイオフィルムの分解に効果的との報告もあります。

機能項目	手磨き	音波歯ブラシ	超音波歯ブラシ
歯垢除去率	約50～60％	約85％以上	約90％前後
歯茎への負担	強くなりがち	やさしい圧力で振動	極めて低刺激
バイオフィルム破壊力	低い	中程度	高い
奥歯や隙間の清掃性	難しい	効率良好	非常に優れる
使用のしやすさ	手技依存	自動で簡単操作	専用ヘッドで簡単

ただし、電動歯ブラシであっても、正しい使い方をしなければ効果は限定的です。ブラシの毛先を歯と歯茎の境目にあてて軽く当てること、力を入れすぎないこと、定期的にヘッドを交換することなどが重要です。また、インプラントの位置や角度によっては専用の小型ヘッドやインプラント専用ブラシを使う必要もあります。

さらに、歯間ブラシやフロスと併用することで、インプラント周囲の汚れ除去率は飛躍的に向上します。特にインプラントと隣の歯との隙間には、細菌が溜まりやすく、ブラシだけでは除去しきれないため、補助清掃具の活用が不可欠です。

自宅でできる毎日のオーラルケアチェックリスト

インプラント治療後のケアは、毎日の積み重ねが将来の健康を左右します。とくにインプラントは虫歯にならない代わりに、歯周病（インプラント周囲炎）にかかりやすく、歯磨きの質がそのリスクを大きく左右します。ここでは、日々のセルフケアで見直すべきポイントを「チェックリスト形式」で整理し、より実践的な内容にまとめました。

1. 電動歯ブラシでのブラッシングは1日2回、2分以上行っているか
2. 歯とインプラントの境目に適切にブラシの毛先が当たっているか
3. 歯茎に炎症や出血のサインはないか（赤み、腫れ、出血）
4. 歯間ブラシやデンタルフロスを毎日使用しているか
5. ブラシのヘッドは3ヶ月ごとに交換しているか
6. 夜寝る前にブラッシングを必ず行っているか
7. 週1回以上、鏡を見ながら歯茎の色や状態をチェックしているか
8. 定期的に歯科医院でプロによるメンテナンスを受けているか
9. 舌苔や口臭にも注意を払い、口腔全体の健康を意識しているか
10. 市販の洗口液やジェルはインプラント対応製品を使用しているか

これらのチェック項目を毎日確認することで、自宅でもプロレベルのセルフケアを実現できます。とくに、インプラントが複数本入っている方や、ブリッジ型の構造になっている場合は、汚れが溜まりやすい構造上の特徴があるため、個別対応が必要です。

たとえば奥歯にインプラントがある場合は、回転式よりも音波式の電動歯ブラシの方が、狭い部分にも到達しやすく効果的です。また、知覚過敏や歯茎の後退がある場合には、毛先が極細で歯茎に優しい「超音波タイプ」や「低振動モード搭載」の製品を選ぶと良いでしょう。

機能名	推奨理由	対象ユーザーの例
圧力センサー	強く磨きすぎるのを防止	力加減が難しい高齢者
タイマー付きモード	適切な磨き時間を管理	子ども・時間に追われがちな社会人
交換ヘッド対応	清潔を保ちながらコストダウン	長期使用を前提とする人
インプラント対応ブラシ	毛先が柔らかく特殊設計	歯茎に炎症の兆候がある人
アプリ連携機能	ブラッシングの癖を可視化	データで改善したいユーザー

このように、毎日のルーティンを少し工夫するだけでも、インプラントの健康寿命を格段に延ばすことができます。特別な道具がなくても、正しい知識と実践があれば、歯科医院レベルのセルフケアは十分に実現可能です。大切なのは「続けること」と「正しく行うこと」。これがインプラントを10年以上持続させる秘訣です。

歯間ブラシ・フロス・手動ブラシとの併用法！インプラント周囲の清掃ポイント

歯間ブラシ＋歯間ブラシの効果的な組み合わせ方

インプラントの清掃において、電動歯ブラシと歯間ブラシの併用は、もっとも効果的なセルフケア手法の一つとされています。インプラントは天然歯に比べて歯周組織の防御機能が劣るため、周囲に汚れや細菌がたまりやすい構造です。電動歯ブラシで表面や溝を効率よく清掃したうえで、歯間ブラシで届きにくい部位を補完することが、インプラント周囲炎や炎症性疾患を防ぐうえで極めて重要です。

特に電動歯ブラシの振動は、手動ブラシでは再現できない微細な振幅で汚れを浮かし、歯垢を除去しやすい点が評価されています。ここに歯間ブラシを加えることで、インプラント周囲の「隙間」や「接触部位」に残るプラークを確実に除去できます。

清掃ツール	清掃可能な範囲	特徴と推奨ポイント
電動歯ブラシ	歯の表面、インプラント体の外周	音波や超音波の振動で効率的に歯垢除去
歯間ブラシ	インプラントと天然歯の間、奥歯の側面	電動歯ブラシが届かない隙間に対応、出血リスク低減

では、併用時の正しい順序やタイミングについて見てみましょう。基本的には、最初に電動歯ブラシで広範囲の清掃を行い、その後に歯間ブラシで細かい箇所を仕上げるようにします。これにより、表面に付着したプラークを浮かせ、歯間ブラシで効率的に掻き出せます。

電動歯ブラシと歯間ブラシは、それぞれの得意分野を補い合い、口腔全体の清掃効率を最大化するために不可欠です。特にインプラントの周囲は通常の天然歯と異なり、歯根膜が存在しないため、プラークが溜まりやすく、炎症リスクが高まります。だからこそ、道具の特性を理解したうえで、適切に組み合わせて使用することが、インプラントを長く健康に保つための鍵となります。

手磨きとの違いと使い分けの判断基準

インプラントの清掃では、手動ブラシと電動歯ブラシの使い分けが問われます。どちらか一方が絶対的に優れているというわけではなく、それぞれに適した場面があります。特に電動歯ブラシは、音波振動や超音波によって手の動きでは届かない汚れを浮かせて除去するのに優れていますが、状況によっては手磨きの繊細さが求められる場面もあるのです。

まず、以下に両者の特徴を比較してみましょう。

項目	電動歯ブラシの特徴	手磨きの特徴
振動・圧力	一定の力で振動し、力加減にムラがない	手の力に依存し、押し付けすぎるリスクあり
清掃効率	音波・超音波により歯垢除去率が高い	熟練度によって効果にばらつきが出やすい
対応力	奥歯やインプラント周囲にも到達しやすい	細かいコントロールで傷口付近なども調整しやすい
メンテナンス性	ヘッド交換や充電が必要	安価で管理が簡単
推奨環境	毎日のルーティンにおける全体ケア向け	術後直後や炎症時などのやさしい清掃に適する

ここで判断すべき基準は「清掃部位の状態」と「使用者のスキル」です。電動歯ブラシは時間あたりの除去効率が高いため、日常的なメンテナンスには最適です。ただし、炎症があるときや出血を伴う状態では、柔らかい毛の手動ブラシで優しく清掃する方がよい場合もあります。

たとえば、次のような判断基準が考えられます。

• 電動歯ブラシを使うべきケース
  　毎日のセルフケアとして、全体の清掃効率を高めたいとき。
  　手が不自由でブラッシング圧に自信がない高齢者。
• 手磨きが適しているケース
  　インプラント直後で痛みや腫れがあるとき。
  　歯茎が退縮している場所を丁寧に清掃したいとき。

また、価格やメンテナンス面も重要なポイントです。電動歯ブラシは初期費用がかかりますが、交換ヘッドや充電が面倒と感じる方もいます。一方で手磨きはランニングコストが低く、旅行など持ち運びにも便利です。

まとめ

インプラントを長く健康に保つためには、日々の正しいセルフケアが欠かせません。中でも電動歯ブラシの活用は、毛先の振動やブラシの構造が手磨きでは届きにくい隙間やプラークをしっかり除去できるため、多くの歯科医師が推奨しています。特に音波歯ブラシや超音波タイプは、歯茎への刺激を抑えながらも高い清掃力を発揮するため、インプラント周囲の汚れ除去においても非常に効果的です。

インプラントケアに最適なモデルは、歯科医院で採用されている製品や医師が推奨するモデルを参考にすることで信頼性を高めることができます。実際、国内の歯科医院の約70パーセントが音波式または超音波式の電動歯ブラシを推奨・導入しており、患者の満足度も高い傾向にあります。また、ソニッケアーをはじめとした主要メーカーの製品は、歯茎に優しく振動数やモードが選べるため、個々の症状や感受性にも対応しやすいことが特徴です。

記事内では振動方式ごとの違いや、手磨きとの併用による清掃効率の比較、歯間ブラシやフロスとの併用ポイントなども詳しく解説しました。こうした情報を基に、今の自分に最適なケア方法と機種を選ぶことで、インプラントをより長く安心して維持することが可能になります。

高額なインプラント治療を無駄にしないためにも、日々のオーラルケアは妥協せず、根拠ある方法で取り組むことが重要です。今後の歯科トラブルや余計な再治療費を防ぐためにも、ぜひ本記事を参考にして、あなたに合った電動歯ブラシ選びと正しい使い方を実践してみてください。

よくある質問

Q.手動の歯ブラシではインプラント周囲の汚れは落とせませんか
A.手動の歯ブラシでもある程度の清掃は可能ですが、インプラント周囲のプラーク除去や隙間の清掃には限界があります。電動歯ブラシは毎分約31000回以上の高速振動により、歯茎や歯間に溜まった歯垢や細菌を効率よく除去できるため、歯科医師の多くがインプラントとの併用を推奨しています。特に毛先の届きにくい奥歯や隙間へのアプローチが得意です。

Q.インプラントと相性が良いのは音波式と回転式のどちらですか
A.インプラント周囲の歯茎や口腔内の状態を総合的に考えると、音波式の電動歯ブラシがより適しているとされています。音波振動は、歯茎に優しい刺激を与えながら、目に見えない汚れまで浮かせて除去する効果があります。回転式は清掃力が高い一方で、強すぎる力での使用が歯茎やインプラントの接合部分に負担をかける可能性があるため、使い方に注意が必要です。

Q.歯間ブラシやフロスは電動歯ブラシと併用すべきですか
A.はい、電動歯ブラシと歯間ブラシ・フロスの併用はインプラントケアにおいて非常に重要です。特にインプラント周囲は食べかすや細菌が溜まりやすく、ブラシだけでは落としきれない汚れが存在します。歯科医院の臨床データでも、フロスや歯間ブラシを併用している患者のほうが、インプラントの炎症リスクや治療後の再発率が30%以上低下していることが報告されています。正しい使い方を習慣化することで、長期的なインプラントの安定性が高まります。

医院概要

医院名・・・海岸歯科室
所在地・・・〒261-0014 千葉県千葉市美浜区高洲3-23-1 ペリエメディカルビル美浜3F
電話番号・・・043-278-7318