40代からはじめる後悔しない歯列矯正のポイント|メリットやデメリットも解説
- 2024年9月22日
- コラム
「歯並びが気になるけど40代からでも矯正は遅くない?」
「歯列矯正は若いときにするものでは?」
「40代になって歯の健康が気になりはじめた」
など40代からの歯列矯正を検討している人や将来の健康面について気になりはじめた方もいるでしょう。
正しい噛み合わせや歯並びは審美面だけでなく、咀嚼や口腔内の健康状態に直結する重要な要素です。そして歯列矯正は何歳からでもはじめられます。
本コラムでは、40代から歯列矯正を開始する場合に、後悔しないポイントをメリットとデメリットを比較して解説します。
年齢があがるにつれ、歯周病や全身の健康状態が理由で歯列矯正が難しいケースもあるため、40代で歯列矯正を検討している人は参考にしてみてください。
40代で歯列矯正をはじめるきっかけ
日本臨床矯正歯科医会が全国の20代~60代男女1030人を対象に実施した「矯正歯科治療に関する意識調査」によると、40代で歯科矯正を受けてみたいと回答した人は男性で26%、女性で34%でした。
歯列矯正は子どもや若年層で終えてしまうイメージがあるかもしれませんが、40代からでも遅くはありません。
歯列矯正を40代からはじめようと思うきっかけは、主に次のようなものがあります。
・長年の口元のコンプレックスを解消したい
・歯の健康が気になりはじめた
・子育てが落ち着き時間の余裕ができた
矯正治療の目的は見た目のコンプレックス解消だけでなく、噛み合わせの改善で口腔内の環境や全身の健康状態を整えることです。
特に40代からの矯正治療はケアしやすい口腔内の環境作りや、歯への過剰な負担を減らすことで歯周病リスク軽減につながります。
40代で歯列矯正をはじめるための3つの条件
歯列矯正をはじめるのに年齢制限はありません。
しかし歯列矯正で後悔しないためには、矯正前に次の3つの条件を確認しましょう。
1. 歯の状態
2. 歯ぐき・骨の状態
3. 全身状態
歯列矯正では歯の根元周囲にある歯根膜と歯を支えている骨を、歯を動かす力により刺激しながら動かしていくため、歯や歯ぐき・骨の状態が非常に重要です。
1. 歯の状態
永久歯は全て生え揃うと親知らず4本も含めて全部で32本ですが、親知らずが生えなかったり抜いたりする場合もあるため、人によって28本~32本です。
基本的に矯正治療が可能な歯の本数は20本以上で、特に奥歯は歯を動かす支点となるため、奥歯がない場合は歯列矯正は難しいかもしれません。
しかし人工歯であるインプラントを使用し、歯を動かす支点をつくれば矯正治療が可能になる場合もあります。
年齢があがるにつれ歯周病などで歯を失うリスクが高くなるのを考えると、40代で歯列矯正を始めるのは遅くありません。
2. 歯ぐき・骨の状態
歯にゆっくりと力をかけながら動かしていく歯列矯正では、歯ぐきと骨の状態が歯列矯正の成功に非常に重要です。
歯ぐきが腫れて歯周病が進行していると、歯を支えている骨が減っているため歯列矯正が難しい場合があります。
骨が少ないまま矯正治療すると歯を動かす力により更に骨が少なくなり、歯がグラつきはじめる可能性が高くなります。
しかし歯ぐきのみが炎症を起こしている状態や軽度の歯周病であれば、先に歯周病治療を行い、症状改善後に矯正治療が可能です。
3. 全身状態
40代からの歯列矯正は、全身状態も考慮しなければなりません。
例えば歯周病は糖尿病の合併症のひとつといわれているように、糖尿病の治療中は歯周病のリスクが高くなり、歯列矯正にも影響する可能性があります。
また女性は閉経の影響により50歳前後から女性ホルモンの分泌低下、骨密度の低下により「骨粗鬆症」と診断されるケースがあります。
骨は吸収と形成のバランスを保ちながら維持されますが、骨粗鬆症になると骨が吸収される働きの方が上回ってしまうため、骨密度が減少しやすいのです。
矯正治療も骨の吸収と形成を利用しながら歯を動かすため、骨粗鬆症の方は治療が難しい場合があります。
40代で歯列矯正する5つのメリット
40代から歯列矯正をはじめる場合のメリットは、主に次の5つです。
1. 噛み合わせの改善により全身の健康状態が改善
2. 長年のコンプレックスが解消
3. 虫歯や歯周病のリスク減少
4. 顔立ちが整う
5. 発音や滑舌の改善
40代からの歯列矯正でも遅いことはなく、さまざまなメリットについて解説します。
1. 噛み合わせの改善により全身の健康状態が改善
40代からの歯列矯正の大きなメリットは、審美面だけでなく健康状態の改善が期待できる点です。
嚙み合わせが改善し歯並びが整うと、次のような影響があります。
・食べ物をしっかりと噛めるようになり、消化吸収が良くなる
・顎を使う筋肉の左右差がなくなり頭痛や肩こり、顎関節症が解消する
・一部の歯への過剰な負担が解消され歯のすり減りを予防できる
・歯周病のリスクが減り、糖尿病や心疾患への影響が減る
噛み合わせは全身のバランスに影響するため、重要なポイントです。
2. 長年のコンプレックスが解消
歯並びが気になり人前で笑ったり話したりするのが苦手な方は、コミュニケーションにも積極的になれない場合があります。
歯並びが解消されると、笑顔にも自信がもてるようになるでしょう。
3. 虫歯や歯周病のリスク減少
歯並びが整うと隙間にたまりやすい食べかすが少なくなり、ブラッシングもしやすくなるため虫歯や歯周病のリスク低下につながります。
歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位でもあります。
いつまでも健康な歯で食事ができることは、健康状態だけでなく精神的な満足度にもつながります。
定期的な歯科医院でのメンテナンスも重要ですが、根本的に歯列矯正で歯並びと噛み合わせを整える意義は大きいでしょう。
4. 顔立ちが整う
歯列矯正は歯並びの改善とともに顎の位置も正しい位置に矯正するため、顔の輪郭が引き締まり小顔効果が期待できます。
噛み合わせが悪いと表情筋がうまく使えず、口周りの筋肉が衰えるため顔のたるみが進行します。
矯正治療によって歯並びが整えば口輪筋も引き締めやすくなり、ゆるやかに顔の変化を感じられるでしょう。
5. 発音や滑舌の改善
歯並びは発音・滑舌にも影響します。
歯列から外れた歯に舌があたると滑舌に影響し、噛み合わせた際に上下の前歯に隙間があると空気が漏れて聞き取りにくい発音になることがあります。
歯並びが整うと発声や滑舌が良くなり、話がスムーズになると人前で話すことにも自信が持てるようになるでしょう。
40代の歯列矯正で気を付けたい4つのポイント
40代から歯列矯正を始める際に気を付けたい4つのポイントは、以下のとおりです。
1. 顔つきが変わる可能性がある
2. 虫歯や歯周病の悪化リスクがあがる
3. 歯に隙間ができる・歯が長くなる
4. 治療期間が長い
メリットとデメリットを比較して、歯列矯正を選択できるように気を付けたいポイントについても解説します。
1. 顔つきが変わる可能性がある
歯列矯正のために抜歯した影響や矯正中の違和感が原因で、噛むのが億劫になり口元の筋力が衰えてほうれい線が目立つ・面長になったと感じる人もいます。
しかし筋力が原因の場合には、治療終了後に顔の筋力トレーニングで改善が期待できるでしょう。
また歯列矯正で抜歯が必要なケースで抜歯しなかった場合、口もとが出てしまい出っ歯になったようにみえることがあります。
2. 虫歯や歯周病の悪化リスクがあがる
歯列矯正のひとつであるワイヤー矯正は、取り外し不可能な矯正装置のため歯磨きしづらく、虫歯や歯周病のリスクがあがります。
取り外し可能なマウスピース矯正であっても、唾液の自浄作用が減るためリスクは同様です。
どの矯正方法であっても丁寧なケアが必要で、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどの補助用具も併用しましょう。
歯科医院での定期的なクリーニングも虫歯・歯周病予防に効果的です。
3. 歯に隙間ができる・歯が長くなる
歯と歯の接触点と歯ぐきに囲まれた三角のすき間が、後ろの影で黒く目立つ状態がブラックトライアングルです。
もともと40代以降では歯ぐきの衰えによりブラックトライアングルになりやすいため、そこに歯列矯正の影響で余計に目立つ可能性があります。
また歯ぐきが下にさがることで歯の白い露出部分が増え、歯が長くなったように見えることもあります。
4. 治療期間が長い
子供の矯正治療は歯のはえ変わりと顎骨の成長時期に行うため、歯が動きやすい状況にあります。
しかし大人の場合はすでに顎骨の成長が完了し、さらに年々骨が硬くなるため子供の歯より動きにくくなっています。
よって治療期間が長くなりやすく、手術を伴わない一般的な症例でも治療期間の目安は2〜3年程度と見込んでおきましょう。
もし虫歯や歯周病が進行している場合は、歯列矯正の前に治療が必要なためさらに時間を要します。
40代の歯列矯正方法
歯列矯正には大きく「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」があります。
ワイヤー矯正は歯の表面に装具を装着しワイヤーを通して固定するため、取り外しができません。また装具の装着が歯の表側か裏側かによっても変わります。
マウスピース矯正はマウスピースを装着する方法で、取り外し可能ですが代わりに装着していないと矯正効果はありません。
40代での歯列矯正の場合、仕事の兼ね合いでワイヤー矯正が目立ちたくない人がマウスピース矯正を選択するケースもあります。
それぞれのメリット・デメリットを比較し検討しましょう。
まとめ
40代からでも歯列矯正は始められます。
歯列が整い噛み合わせが改善されると、全身の健康状態やコンプレックスの解消にもつながり心身への影響は、はかり知れません。
一方で40代から始めるからこそ、治療期間や歯周病の悪化リスクなど気を付けたいポイントもあります。
海岸歯科室は患者様のお悩みに寄り添い、世界一優しい歯科を目指しております。
40代からの歯列矯正を検討している方や、歯並びや口腔内のトラブルに悩んでいる方はぜひ一度ご相談ください。スタッフ一同お待ちしております。
監修:理事長 森本 哲郎