美しい笑顔のための歯並びを追求する今、セルフ矯正が注目を浴びています。しかし、本当に自己での矯正が有効なのでしょうか?また、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?

 

この記事では、セルフ矯正のメリットとデメリット、そしてセルフ矯正に臨む前に知っておくべき重要な注意点について深堀りします。皆様の安全で成功的な歯のケアのための参考にしていただければ幸いです。

セルフ矯正とは

セルフ矯正とは、自分自身で歯並びを矯正しようという取り組みのことを指します。専門家への定期的な通院が必要な従来の矯正治療と異なり、セルフ矯正では自宅で特殊な矯正器具を使って歯を動かすという手法を取ります。

 

ネット通販などで購入できる矯正器具を使用し、自身で歯の状態をモニタリングしながら行うのが特徴です。近年では時間とコストを節約できるというメリットから、セルフ矯正は広く受け入れられてきています。しかし、その一方で潜在的なリスクも存在します。

 

これらのリスクについては、後ほど本記事で詳しく解説します。

セルフ矯正のメリット

セルフ矯正のメリットは、値段・始めやすさ・抜歯の有無という要素があります。以下で具体的に解説しています。

①値段が安い

市販のマウスピースやアライナーを使用した自宅での矯正治療は、歯科医院での矯正治療に比べて費用が抑えられます。

 

一般的なオーダーメイドのマウスピースやアライナーの価格は、数万円から数十万円程度であり、通常の矯正治療に比べて負担が軽減されます。

 

また、セルフ矯正では自宅での治療が可能であるため、通院回数や医療費の面でも節約ができます。

 

ただし、値段が安いからといって無責任な方法を選ぶことは避けるべきです。安価な製品やメーカーのマウスピースを選ぶ際には、品質や信頼性を十分に確認することが重要です。

②すぐに矯正治療を始められる

市販のマウスピースやアライナーを使用したセルフ矯正は、通常の矯正治療に比べて手続きが簡単で即時に始められます。

 

歯科医院での矯正治療は、初診やカウンセリング、型取りなどの手続きが必要で、治療開始までに数週間から数ヶ月かかることがあります。

 

しかし、セルフ矯正では市販のマウスピースやアライナーを購入し、使用するだけで矯正治療が始められます。自宅で手軽に装着できるため、歯のゆがみや隙間の気になる方は、すぐに治療を開始できます。

③定期的に医院に通わなくていい

セルフ矯正では患者自身が自宅で矯正器具を使用し、治療を進められます。定期的な医院への通院が必要な場合でも、セルフ矯正の場合は通院の頻度が少なくて済むことがあります。

 

例えば、矯正治療では通常、一定の期間ごとに医院で調整や検診を受ける必要がありますが、セルフ矯正では自宅で矯正器具を調整できるため、通院の回数を減らせます。

 

忙しいスケジュールを持つ方や交通の便が悪い地域に住んでいる方でも、治療を続けられます。

④抜歯をしなくていい

マウスピースやアライナーを使用したセルフ矯正では、通常の矯正治療に比べて抜歯の必要性が少ない場合があります。

 

例えば、軽度な歯のゆがみや隙間を修正する場合には、セルフ矯正の方法が選択肢となります。マウスピースやアライナーは、歯列を徐々に移動させるため、矯正を進める過程で抜歯が必要なく、自然な形で歯の位置を調整できます。

 

抜歯に伴う痛みや負担を軽減し、歯を残すことができる利点があります。

セルフ矯正の注意点(デメリット)

セルフ矯正は確かに手軽で経済的な魅力などがありますが、そこには見過ごすことのできない重要なデメリットや注意点が存在します。

 

医師の介在がない矯正器具の使用、効果の限定性、治療中のトラブルへの対応不足、そして最終的なかみ合わせの問題など、これらは全て個々の口腔健康に影響を及ぼす可能性があります。以下の見出しで、これらのリスクについて詳しく解説していきましょう。

①医師が携わった矯正器具とは限らない

市販の歯列矯正器具やマウスピースを使用したセルフ矯正では、専門医の監修や調整が受けられない場合があります。一般的なセルフ矯正器具は、自宅で使用するため、医師が直接装着や調整を行うことはありません。

 

矯正の進行や適切な装着方法に関してのサポートが限定される可能性があります。また、自己判断での矯正治療は、正しい力のかけ方や適切な装着時間などの知識と技術を必要とします。

 

②特定の症状でないと効果が薄い

セルフ矯正器具やマウスピースは、軽度な歯のゆがみや隙間修正には有効ですが、重度な矯正が必要な場合には限定的な効果しか得られません。

 

例えば、歯並びの大幅なズレや咬合異常など、矯正が必要な深刻な症状に対しては、専門医が携わった矯正治療が適切です。

 

セルフ矯正は自宅で行える手軽な方法ですが、医師が症状を評価し、適切な矯正器具や治療プランを提案することが重要です。

③治療中のトラブルに対応できない

セルフ矯正を行っている際に装置や器具が破損したり、矯正中に予期せぬ痛みや不快感が生じたりすることがあります。専門医が関与していない場合、これらのトラブルに適切に対処できません。

 

例えば、矯正器具が壊れた場合、自己修理や代替品の選択が難しくなります。また、矯正中に歯茎や口内が炎症を起こしたり、異常な歯の動きがあったりした場合も、専門医の診断と指導が不可欠です。

④かみ合わせが悪くなる

 

セルフ矯正によって歯の位置が変わる場合、かみ合わせのバランスが崩れることがあります。

 

例えば、歯の移動によって上下の歯の接触が不均衡になり、噛み合わせが正常でなくなる可能性があります。通常、矯正中に噛み合わせの調整や微調整が必要な場合、専門医のアドバイスや調整技術が欠かせません。

 

かみ合わせの問題は、咀嚼や発音に影響を及ぼすだけでなく、顎関節や周囲組織への負担や痛みを引き起こす可能性もあります。

 

歯科医院で矯正治療を行う方がセルフより安心

 

歯科医院の矯正治療は、シンプルに医師の認可のもと矯正器具が作られるため安心です。対して、セルフ矯正は市販のものであり、そうでない可能性があります。

 

また、他にも以下で解説する点で歯科医院が患者にとってメリットがあることが分かります。

 

専門医師の診療が受けられる

歯科医院では専門医師が治療を担当し、適切な診断と個別の治療計画を提供してくれます。

 

専門医は長年の経験と知識を持ち、矯正治療の専門家です。患者の歯の状態を詳しく評価し、最適な治療方法を選択します。また、治療中には定期的なフォローアップや調整が行われ、進捗状況や不具合に対応できます。

 

さらに、歯科医院では高品質な矯正器具や最新の技術を利用して治療が行われます。

治療中のトラブルに対応できる

治療中のトラブルに対応できるという点で歯科医院は安心感があります。

 

具体的な例を挙げると、治療中には予期せぬ問題が発生することがあります。例えば、矯正器具の破損や外れ、不快感や痛みの増加などが起こることがあります。

 

しかし、歯科医院では専門医師とスタッフが常に患者の側におり、治療中のトラブルに迅速かつ適切に対応できます。経験豊富で専門知識を持っており、緊急時にも迅速な処置を行います。

 

また、定期的なチェックアップや調整のための予約も設けられており、治療の進捗状況を確認しながら必要な修正や調整を行えます。

患者専用の矯正器具が作れる

歯科医院では患者の口腔状態や矯正の必要性に合わせて、専用の矯正器具を作製できます。

 

例えば、矯正治療にはブラケットやワイヤーなどの装置が使用されますが、これらの器具は患者の歯並びや咬合に合わせてカスタマイズされます。

 

歯科医師は患者の口腔内を詳細に診察し、歯列の歯並びやかみ合わせの状態を確認した上で、専用の矯正器具を作成します。

まとめ

セルフ矯正は安価で始めやすいことがメリットとしてありますが、歯科医院の監修が行き届いているか不安な点や、個人に合わせた矯正器具ではないため効果が得にくいなどのデメリットもあります。

 

海岸歯科室では、患者に合わせた矯正器具の提案や、定期的な観察を行うため安全に治療ができます。

 

本人の理想に合わせた計画で矯正治療をしましょう。

 

監修:理事長 森本 哲郎