噛み合わせ矯正とはどんな治療で何が改善する?その効果と方法を詳しく解説
- 2024年8月20日
- コラム
噛み合わせが悪いと、ただ見た目の問題だけでなく、健康にさまざまな影響を及ぼしてしまいます。
例えば、顎の痛みや頭痛、肩こり、消化不良など、原因がはっきりしない体調不良の背後には、実は噛み合わせの問題が隠れていることかもしれません。
今回は、噛み合わせの悪い状態やそのデメリット、さらには噛み合わせ矯正の具体的な種類などをご紹介します。
今噛み合わせに悩んでいる方や、矯正治療を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
噛み合わせが悪いとどんな問題が起こる?
噛み合わせが悪い状態は、単に歯並びが見た目に悪いだけでなく、様々な健康問題を引き起こす原因となります。
噛み合わせが悪い状態は、見た目以上に健康に深刻な影響を及ぼすことが多いため、適切な矯正治療を行うことが重要となるのです。
顎関節症になるリスクがある
まず重視しなければならないのは、噛み合わせが悪いと、顎関節に不自然な力がかかり続けるため、顎関節症を引き起こすリスクが高まるということです。
顎関節症とは、顎の関節や咀嚼筋に痛みや違和感が生じる症状のことで、口を開け閉めする際に「カクカク」という音がしたり、口がスムーズに開かなくなったりしてしまいます。
特に、偏った噛み合わせが続くと、顎関節にかかる負担がさらに増し、慢性的な痛みや頭痛、肩こりといった二次的な症状を引き起こすこともあります。
消化器官に負担がかかるリスクがある
噛み合わせが悪いと、食べ物を十分に咀嚼できず、未消化のまま胃や腸に送り込まれることになります。
これにより、消化器官に過度の負担がかかり、常時胃もたれや消化不良、さらには胃腸炎などの消化器疾患を引き起こすリスクが高まってしまいます。
さらに、噛み合わせがよければ、食べ物をしっかりと咀嚼し、消化酵素が効果的に働くようになりますが、噛み合わせが悪い場合は、消化に必要なエネルギーが余分に消費されるため、消化器官全体が疲弊しやすくなってしまいます。
そうなると、栄養の吸収効率も低下し、全身の健康状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。
滑舌が悪くしゃべりにくくなるリスクがある
噛み合わせが悪いと、舌や唇、歯の位置が正しく機能しなくなり、言葉を発音する際に滑舌が悪くなることがあります。
特に、歯が前後にずれている場合や、すきっ歯の状態では、発音時に空気が漏れやすく、明瞭な発音が難しくなります。
顎の位置がずれている場合には、声が出しづらくなることもあることでしょう。
虫歯や歯周病のリスク
噛み合わせが悪いと、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなり、歯磨きが難しくなってしまいます。
そうなると虫歯や歯周病のリスクが高まり、特に歯が重なり合っている場合や、歯が斜めに生えている場合は、ブラシが届きにくく、プラークが溜まりやすくなります。
プラークが蓄積すると、虫歯の原因となる酸が生成され、歯のエナメル質が侵食されます。また、歯周病菌が歯茎に侵入しやすくなり、歯茎が炎症を起こして歯周病が進行するリスクもトラブルに繋がるはずです。
頭痛や肩こりの原因にも
噛み合わせが悪いと、顎の筋肉や関節に過度のストレスがかかり、これが頭痛や肩こりの原因となることがあります。
特に、顎関節の不調が慢性的になると、顎から首、肩にかけての筋肉が緊張しやすくなり、これが頭痛や肩こりを引き起こす原因となるのです。
噛み合わせの不良が続くと、全身のバランスが崩れ、姿勢の悪化や首の痛みといった症状が現れることもあります。
噛み合わせが悪い状態とそれぞれのデメリット
噛み合わせが悪い状態には、様々なケースがあり、それぞれが異なるデメリットを持っています。
例えば、出っ歯や受け口のように上下の歯が前後にずれている場合や、八重歯や叢生のように歯が重なり合っている場合、さらにはすきっ歯や過蓋咬合のように歯と歯の間に大きな隙間がある場合など、噛み合わせの不良が様々な形で現れます。
これらの問題は、見た目の問題だけでなく、健康にも悪影響を与える可能性が高いため、それぞれのケースについて詳しく理解し、適切な治療を行うことが重要です。
出っ歯(上顎前突)のケース
出っ歯、または上顎前突とは、上の前歯が下の前歯よりも大きく前に突き出している状態のことを指します。
出っ歯は見た目の問題だけでなく、口を閉じることが難しく、唇の乾燥や口内の乾燥を引き起こすことがあります。
さらに、上の前歯が突出しているため、転倒や衝撃によって歯が折れやすくなるリスクも高まるのです。
その他に、発音が不明瞭になりやすく、特に「サ行」や「タ行」の発音に影響を与えるといった問題も引き起こしてしまいます。
反対咬合・受け口(下顎前突)のケース
反対咬合、または受け口(下顎前突)は、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態を指します。
この状態は、顎の成長バランスが崩れていることが原因であり、咬み合わせの機能に大きな影響を与えるのです。
受け口では、食べ物を効果的に咀嚼できず、消化器官に負担をかけることが多くなります。
さらに顎関節症のリスクも高まり、口の開閉に支障をきたしてしまうかも知れません。
見た目の問題としても、顎が前に突き出ていることで顔のバランスが崩れ、コンプレックスを抱える原因となることがあるため、矯正治療による改善が求められるのです。
八重歯や叢生のケース
八重歯や叢生とは、歯が重なり合って生えている状態を指し、顎の大きさに対して歯のサイズが合わず、歯が正しく並びきれない場合に発生します。
この状態では、歯と歯の間に隙間ができやすく、食べ物が詰まりやすくなり、歯磨きが難しくなるので、プラークが溜まりやすい状態になってしまうのです。
その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
あるいは見た目の問題としても、自分の外見に自信が持てなくなることが多く、社会生活にも悪影響を及ぼすことがあります。
すきっ歯(空隙歯列)のケース
すきっ歯、または空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間がある状態を指します。
この状態は、歯が小さかったり、顎が大きかったりすることが原因で起こるのです。
すきっ歯は、食べ物が歯の間に挟まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、発音にも影響を与えることがあります。
「サ行」などの発音が不明瞭になりやすく、言葉を明瞭に発音することが難しくなることがありますし、見た目の問題としても、歯と歯の間の隙間が目立つため、笑顔に自信が持てなくなりがちです。
過蓋咬合のケース
過蓋咬合とは、上の前歯が下の前歯を過度に覆ってしまう状態で、上下の前歯が正常に噛み合わず、下の歯が上の歯の裏側に隠れてしまいます。
その結果噛む力が不均等にかかり、顎や歯に余計な負担がかかってしまいます。
下の前歯が上の歯茎に接触しやすく、歯茎にダメージを与えるかもしれません。
見た目の問題としても、口元が引き締まりにくく、老けた印象を与えることがあるため、早期の矯正治療が望ましいといえるでしょう。
叢生(そうせい)のケース
叢生とは、歯が重なり合っている状態を指します。
この状態では、歯と歯の間に隙間ができたり、歯が重なり合って生えていたりするため、見た目の問題だけでなく、口腔衛生にも悪影響を及ぼします。
特に、ブラシが届きにくい場所にプラークが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうのです。
その他に顎関節症や消化器系の問題が発生する可能性もあります。
噛み合わせ矯正の種類と方法とメリット
噛み合わせを改善するためには、さまざまな矯正方法があり、それぞれに特徴とメリットがあります。
標準的な表面矯正
表面矯正とは、歯の表側に矯正装置を装着する一般的な矯正方法です。
この方法は多くの症例に適用でき、確実な治療効果が期待できるため、多くの患者さんに選ばれています。
表面矯正では、ワイヤーとブラケットを使用して歯を正しい位置に動かし、噛み合わせを改善します。
表面矯正のメリットとしては、治療の進行が見えやすく、歯科医が装置の調整を行いやすい点が挙げられます。
さらに、この方法はコストパフォーマンスに優れ、広範囲の噛み合わせの問題に対応可能です。
目立ちにくい裏面矯正
裏面矯正とは、歯の裏側に矯正装置を装着する方法で、目立ちにくい矯正治療方法として人気です。
裏面矯正は、外見を気にすることなく治療を進めたい患者さんに適し、特に社会的に活躍する大人や学生向けとも言えます。
この方法では、歯の裏側に装置を取り付けるため、笑ったり話したりしても装置が見えにくく、治療中も自然な表情を保つことができますが、技術的に難易度が高く、治療期間がやや長くなりがちです。
装置が舌に触れるため、慣れるまでに多少の違和感があることもあります。
ワイヤーを使わないマウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを使用して歯を動かす方法で、ワイヤーを使用しないため非常に目立ちにくいのが特徴です。
軽度から中程度の噛み合わせの問題に適し、食事や歯磨きの際に装置を外すことができ、口腔内を清潔に保つことが容易なことがメリットとなります。
マウスピース矯正は痛みが少なく、矯正装置による口内炎などのトラブルも少ないため、快適に治療を続けられます。
噛み合わせ矯正は大人でもできる?
噛み合わせ矯正は、大人でも十分に効果を期待できる治療です。
成長期を過ぎた大人でも、矯正治療によって歯を動かし、噛み合わせを改善することが可能です。
特に、現代の矯正技術は進歩しており、目立ちにくい装置や取り外し可能なマウスピースなど、大人のライフスタイルに合わせた治療方法が豊富に用意されています。
さらに大人の矯正治療は、見た目の改善だけでなく、健康面でも大きなメリットがあります。
噛み合わせが改善されることで、咀嚼能力が向上し、消化器官への負担が軽減されるほか、顎関節症や肩こり、頭痛などの症状が改善されることもあります。
矯正治療は歯周病の予防にもつながり、口腔内の健康を維持するためにも重要です。大人の矯正治療は、生活の質を向上させるための有効な手段と言えるでしょう。
まとめ
噛み合わせの問題は、顎関節症や消化器官への負担、発音の不明瞭さ、虫歯や歯周病など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
こういった問題を解決するためには、矯正治療が効果的です。
噛み合わせ矯正には、表面矯正や裏面矯正、マウスピース矯正など、さまざまな方法があります。それぞれの方法にはメリットがあり、患者のニーズやライフスタイルに合わせて選択可能です。
もし噛み合わせに問題を感じていたり、それに該当する症状に悩んでいるのであれば、大人になってからでも十分効果は期待できますので、是非一度ご相談ください。
監修:理事長 森本 哲郎