大人の歯の本数は?生え替わりの時期やグラグラしたときの対処法を解説
- 2024年8月24日
- コラム
赤ちゃんの頃から生えている乳歯は、成長すると抜け、代わりに大人の歯が生えてきます。大人の歯は、一生生え替わることはないため、1本1本大切に扱う必要があります。お子さんを持つ方の中には「大人の歯は何本生えてくるのか」「大人の歯へはいつ頃生え替わるのか」などを知りたいという方もいるでしょう。
このコラムでは、大人の歯の本数や生え替わりの時期、もしも生えてきた大人の歯がグラグラしてしまったときの対処法を紹介します。大人の歯について詳しく知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
大人の歯とは?
大人の歯は、永久歯と呼ばれます。永久歯は、乳歯が抜けた後に生える歯です。乳歯から永久歯に生え変わった後は、一生永久歯を使っていくことになります。
大人の歯は、以下の3つの層で構成されています。
- エナメル質
- 象牙質
- 歯髄
歯の一番外側には、エナメル質があります。エナメル質は、人体で一番硬い組織です。その内側には象牙質があります。エナメル質は半透明の組織のため、目に見える歯の色は象牙質の色で決まるといわれています。
歯髄は、血管や組織が集まる組織です。歯に栄養を供給する役割を持っています。
このように歯はいくつかの層に分かれ、それぞれに役割があります。
大人の歯の本数は?
しかし、人によっては歯が32本よりも多く生える過剰歯や、少ない本数しか生えてこない先天性欠損などのケースもあります。
歯が多すぎたり少なすぎたりする状態を放置すると、見た目に影響するだけでなく、食事や発音、噛み合わせが悪くなることによる全身への影響も考えられるでしょう。
歯の本数が通常と異なる場合は、早めの治療がおすすめです。
大人の歯の役割
大人の歯には、食べ物を咀嚼する以外にもさまざまな役割があります。
上顎にある4本の切歯と4本の犬歯の役割は、主に食べ物を噛み切ることです。犬歯は、歯の先が細く尖っていることが特徴です。小臼歯と大臼歯は、食べ物をすりつぶして細かくする役割があります。
特に大臼歯は大人の歯の中でも最も大きく、噛む力が最も強い歯です。食べ物を噛み砕く際に重要な役割を担っています。
下顎にも切歯や犬歯、小臼歯、大臼歯があり、上の歯とほぼ同じ役割をになっています。
歯は食事だけでなく、発音や体のバランスを保つためなど、色々な役割をになうものです。そのため、歯が抜けてしまうと見た目だけでなく、全身に影響を与える可能性もあります。歯を健康に保つためにも、毎日の歯磨きと定期的な検診が必要です。
乳歯から大人の歯への生え変わり
赤ちゃんのころから生えていた乳歯も、身体の成長にともない、大人の歯に生え替わります。
乳歯から大人の歯に生え変わる時期や、生え替わる仕組みについて、それぞれ詳しく解説します。
生え変わる時期
乳歯から大人の歯に生え変わるのは、6歳〜12歳ごろにかけてです。身体が成長するのにともない顎も発達し、徐々に生え替わりが進みます。下の前歯から抜け始め、徐々に奥歯に向かって生え替わりが進むケースが多いようです。14歳ごろまでには全ての歯が大人の歯に生え替わるでしょう。
ただし、生え替わりの順番や時期には個人差があります。なかなか生え替わりが進まない子がいれば、1度に2本抜ける子もいます。乳歯から大人の歯に生え替わりが進んでいれば、問題はありません。
生え替わる仕組み
大人の歯へ生え替わる仕組みは、次の通りです。
まず、顎の下で大人の歯のもとになる歯胚ができ、成長します。大人の歯の歯冠部が完成して歯根が作られると、乳歯の根を溶かす細胞があらわれるようになります。
この細胞の働きによって乳歯の根が溶けていくと、歯がどんどんグラグラしていき、乳歯が抜け落ちる仕組みです。
大人の歯が生えてこない原因と治療法
一般的には乳歯から大人の歯に生え変わる時期は、6歳ごろといわれています。生え替わる時期には個人差があるため、6歳になっても生え替わらない場合でも、歯科医に相談しながら数年は様子を見ても良いでしょう。
しかし、中には元から大人の歯が存在しない場合があります。
ここでは、大人の歯が生えてこない原因と治療法について見ていきましょう。
先天性欠如の可能性がある
大人の歯が生えてこない原因の1つに、先天性欠如があります。
先天性欠如とは、生まれつき大人の歯が生えてこない症状のことです。大人の歯は親知らずを含めない状態で28本あります。先天性欠如の方の場合、だいたい1〜2本、多い場合は6本程度であるケースが多いです。
大人の歯が生えてこない場合、乳歯が抜けてから時間が経っていない場合は、少し様子を見ても良いかもしれません。一般的に、乳歯が抜けてから大人の歯が生えてくるまでは3ヶ月程度かかります。
しかし、半年経っても大人の歯が生えてこない場合は、一度病院を受診すると良いでしょう。
大人の歯が生えてくるかどうかは、レントゲン撮影を行えば判断できます。大人の歯が生えてこないことが不安な場合は、医師に相談してみてください。
先天性欠如の治療法
乳歯が抜けていない場合は、乳歯をそのままにしておくケースが多いです。ただし、乳歯は大切にケアしても30〜40代頃になると抜けてしまいます。乳歯が抜けてしまった後は、インプラントなどの治療をしましょう。
すでに乳歯が抜けてしまった場合は、噛み合わせが安定していれば一旦様子を見ることもあります。ただし、乳歯が抜けたままの状態にすると歯に隙間ができて咀嚼や発音に影響を及ぼす可能性もあるため、入れ歯や矯正治療、インプラント治療を受けるのが良いでしょう。
大人の歯がグラグラしたら?
大人の歯は、一度生えてきたら生え替わることはありません。それにもかかわらず歯がグラグラする場合は、歯にトラブルが起こっている可能性があります。大人の歯がグラグラする原因について、詳しく見ていきましょう。
大人の歯がグラグラする原因
大人の歯がグラグラする原因の多くは、重度の歯周病です。歯を指や舌で押すとグラグラする場合は、歯周病の可能性が高いでしょう。
歯周病とは、歯垢が溜まって炎症を起こし、歯を支える骨を溶かす病気です。骨が溶けることで歯が抜けるリスクがあります。歯周病の初期の症状は、歯茎の腫れや出血などです。歯周病が進むと歯抜ける可能性があるため、早めに治療しましょう。
大人の歯がグラグラするときの治療法
歯周病が原因で大人の歯がグラグラするときは、まず口内のクリーニングを行います。歯に溜まった歯周病菌が原因で炎症を引き起こしているケースが考えられるため、歯垢を除去することが必要です。
歯垢は放置すると固まって歯石になり、歯磨きで取り除くことは困難です。歯科医院で治療を行う必要があるため、早めに受診しましょう。
また、歯がグラグラしている場合、無理に触ると症状が悪化する可能性があります。あまり触らないように注意しましょう。
大人の歯に関するよくある質問
最後に、大人の歯に関するよくある質問3つについて回答します。
大人の歯は虫歯になりにくい?
大人の歯は、乳歯に比べて虫歯になりにくいわけではありません。
特に生え変わった直後は、歯質が未成熟な状態です。歯の表面に汚れがつきやすい上に酸に弱く溶けやすいため、虫歯になりやすいです。そのため、歯磨きを怠ったり糖分の高い食事をとっていたりすると、虫歯になってしまいます。大人の歯が虫歯になると入れ歯やインプラント治療をする必要があるため、しっかりケアするようにしましょう。
大人の歯が生えてきたのに乳歯が抜けない時は?
大人の歯が生えてきたのに乳歯が抜けない場合、基本的には抜歯が必要です。
乳歯が生えたままになっていると大人の歯が生えるスペースがなくなってしまい、歯並びに影響する可能性があります。また、隣り合う歯や大人の歯に虫歯ができるリスクもあるため、早めに抜いたほうが良いでしょう。乳歯を抜く場合は、グラグラしていれば指で触ったり押したりして徐々に動かしていきます。それでも抜歯できない場合は、病院で抜歯する方法もあります。
乳歯と大人の歯の違いは?
乳歯と大人の歯の大きな違いは、歯の構造の厚みです。
歯はエナメル質と象牙質、歯髄からできていますが、乳歯のエナメル質と象牙質は、大人の歯の半分しかありません。また、乳歯の方が歯の歯の間に隙間があり、大人の歯が生えてくる隙間がある分、食べかすなどが詰まりやすいです。
そのほかにも、乳歯は大人の歯に比べて歯質が柔らかい点も特徴です。大人の歯よりも酸に弱く、虫歯になると進行が早い特徴があります。
まとめ
大人の歯は、永久歯と呼ばれます。親知らずも含めると32本あり、食べ物を咀嚼するほかにも、発音や噛み合わせなどにも影響する歯です。乳歯から大人の歯へは、6歳ごろに生え替わりが進みます。乳歯が抜けてからも大人の歯がしばらく生えてこない場合には、先天性欠損の場合があるため、早めに病院を受診しましょう。
海岸歯科室では、大人の歯への生え替わりの時期のアドバイスや、虫歯治療など、小児歯科治療を行っています。
お子さんの歯でお悩みのことがあれば、ぜひお気軽に受診ください。
監修:理事長 森本 哲郎